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双子

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 それはそうであろう。前国王である自分の息子を粛清ということなのか、殺害したりしたのだから、自分の死後、清国を支える人間は誰もいないだろう。
 あっという間に、清国は革命軍である、中国国民党に滅ぼされ、中国は、そこから、名目上の、
「共和制国家」
 が建国されることになったのだ。
 そんな
「義和団の乱」
 である義和団を最後は、自分の身を守るために、欧米列強に売ってしまった西太后と同じ道を歩もうというのか?
 下手をすれば、そこに待っているのは、
「街を売った暴君」
 というありがたくない称号になるかも知れない。
 たいていそういう場合の首長というのは、
「独裁者」
 というイメージがついてしまい、追われるように辞任に追い込まれ、悪名だけが、後世に残っていくだけである。
 その時はよくても、後で悪名だけが残ってしまうのは、
「とてもいいことだとは思えない」
 ということであろう。

                 復讐

 そんな街だったが、別荘のあたりは結構平穏だった。治安が悪かったり、問題が頻繁だったのは、観光地と呼ばれている、いわゆる、
「小京都」
 のような、作られた街だった。
 民芸品だったり、ご当地の野菜や果物から作ったアイスや、スイーツなどがm評判だった。
 近くには温泉もあることで、温泉と民芸村がセットの観光も結構多かったのだ。
 だが、別荘地は違った。裕福な人たちが静かに過ごすというそんな場所で、そっちにまで観光客が足を踏み入れることはそんなにはない。
 なぜなら、完全に別荘地は隔絶されたようなところにあり、森のようなところを抜けないといけないという、若者が集団で行くようなところではなかったからだ。
 しかも、
「別荘地を守ろう」
 という治安部隊が、別荘地を私有している有志から自然と出た、
「治安計画」
 それは、警備会社とタイアップしての、警備体制だった。もちろん、警備装置も最新のものを設置しているのはもちろんのこと、さらに、警備員による目視も欠かさないという。まるで、
「アリ一匹通さない」
 という、完璧な警備体制を敷いていたのだった。
「これを、これからの宣伝として、モデルコースにすればいい」
 ということを警備会社に売り込んだが、半分は、
「相手にされないかも知れないな」
 と思ったが、さすがにそこまではなかった。
 相手にされないどころか、
「それは面白いですね」
 という話もあった。
 一つは、当時警備会社の方とすれば、機械だけに頼っていて、そのため、無実の人間を犯人にしてしまうというような事件が、地味ではあったが、起こっていたのだ。
 気にする人は一定数いるもので、そういう人たちが、警備会社にとっては困りものだった。
「だったら、人海戦術でできることを証明しようではないか」
 ということで、原点に返るということを考えるようになった。
 ここで、信用を取り戻せは、また、機械の設置が有効だと証明できるように、今から開発していけばいいということであった。
 それが実際に証明されるような事件が、ちょうど、少しして起こったのだ。
 あれは、子供たちが遊んでいる時だった。かくれんぼをしていた。都会では、そんなことができる場所もないし、まず、
「お前たち、危ないぞ」
 といって、頭ごなしに叱ることしかしないので、何もできるわけはない。
 それを思うと、田舎の別荘地であれば、そこまではないだろう。
 大人もおおらかだし、
「子供は表で遊ぶものだ」
 と考えているからだっただろう。
 ただ、かくれんぼをするのにも、危ない場所がないわけではない。別荘地から少し離れたところ、もっといえば、そこから森を深く分け入ったところに、ゴミの投棄場所があった。
 今は、
「ゴミを捨てるにも金のかかる時代」
 ということで、すぐに廃棄できないような場合を想定して、別荘地で出た大きな電化製品のようなものを勝手に投棄しないようにということで、公共の投棄場所が定められた。
 もちろん、そこに投棄する場合には、お金がかかる。しかし、それは、実際に取られるリサイクル料よりも安かったのだ。
 というのも、リサイクルをするところに直接大量に渡すことを目的としているので、安くなるというわけだ。
 普通だったら、そうもいかないのだろうが、それができるというのが、この別荘地の一種のマジックだった。
 それだけ、この別荘のオーナーの中には、それぞれの道で、
「顔が利く」
 という人が結構いるということであろう。
 実際に顔が利くことで、その投棄場の土地も、安く利用させてもらっている。しかも、業者と折半なので、リサイクル料が少し安めでも構わなかったのだ。
 逆にいえば、各自治体や電気屋に任せてリサイクルをした場合、その間にいくつも通ることで、値段が嵌めあがるということであったり、ひどいものによっては、中間マージンを法外に取っているという、悪質な、
「中抜き」
 というものも存在していると聞いたことがある。
 もっとも、何の信憑性もないデマなのかも知れないが、それだけ、自治体や政府が、
「まったく信じられない」
 といって、諦めている人が多いということであろう。
 子供たちが、そんなところで遊んでいるなどと、大人は思っていないだろう。子供は、その場所が、危険なところだという意識はない。
「こんな田舎の村に、危険なことはないさ。何か幽霊や妖怪でも出ない限りな」
 と言っている人がいるが、皆口にしないだけで。思っていることは同じに違いない。
 実際に遊びに行っても、そんなに危ないことはなかった。
 ただ、それは、昼間の時間だけが安心だったのだ。
 普段は、その場所では、業者の人が作業しているので、近寄ることができないが、業者も週に2、3回の休みがあるようで、その時を狙って遊びにいくのだった。
 日曜日は、必ず休みだが、平日は、パターンがあるようだ。
「日曜を飛ばして、4日おきに休みが連休になっているようだ」
 という法則を発見した友達がいることで、案の定、その時を狙っていけば、そこに誰かがいるということはない。
 つまり、子供たちは、そこで作業している人たちも顔を知らなければ、作業員も、子供を見ることもないので、
「まさか、休みの日に遊びに来ているなんて、思ってもみなかった」
 と思っているのであった。
 元々は、
「どうせ廃棄のものであるし、持ち出すにも重たい者ばかり:
 ということで、
「こんなところに泥棒が来ることなどない」
 ということで、防犯カメラすら設置もされていない。
 子供たちもそのことは知っていた。一度気になることがあると、徹底的にしらべないと気になって仕方のないやつがいることから、本当に、防犯カメラがないことを調べたやつがいた。こういうことを、趣味にしているやつだったのだろう。小学生のくせに、本当いすごいやつがいるものだ。
 その日、青天で、
「鬼ごっこ日和だ」
 ということで、鬼ごっこなのか、かくれんぼなのか分からないような遊びをしていた。
 その範囲は結構広かった。放っておけば、どこまでも行けてしまうので、ルールも子供たちの間で決められた。
作品名:双子 作家名:森本晃次