小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

悪魔のオフィスビル

INDEX|15ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

 だから、外人に対して、最期の最期では、
「絶対に信用できない」
 と考えている人が結構いるに違いない。
 そんな人のことを思うと、
「勧善懲悪のヒーローが現れて。滅ぼしてほしい」
 と思うのだった。
 特に、政府に対しての不満が大きい。
「政治家というのは、自分たちさえよければそれでいい」
 という連中ばかりなので、外人が日本に入ってくれば、金をばら撒いていってくれるので、それが自分たちの懐に入ってきやすいとでも思っているのだろう。
 確かに、日本経済という意味でいけば、外人どもが来て金をばら撒いて行ってくれるに越したことはない。
 だが、
「本心がどこにあるのか?」
 と考えれば、
「政治家のいうことなど、まともに聞くだけ腹が立つ」
 というものだ。
 国民がいくら困っていようが、自分たちの選挙が迫れば、票を獲得するということ以外はまったく頭の中にない。
「選挙に勝つためには、どんな悪どいことだって、捕まらなければいいんだ」
 とばかりに、中には露骨なことをしても、政治家の金の力でもみ消すなど、日常茶飯事ではないか。
 それを思うと、どこで外国などとの密約が存在するか分かったものではない。国民が騙されていることもたくさんあるだろう。特に政治家のいう、
「公約」
 などというのは、あってないようなものだ。
 この間も、Kソーリが就任した時も、
「前々首相の、悪いウワサの真相は、この私が解明します」
 などということを言って、票を集め、当選したことで、ソーリ総裁になったにも関わらず、その悪事を暴くどころか、その人の派閥の大きさに飲み込まれでも仕方のように、その前々ソーリの言いなりになっていて、まったく逆らえないという、まるで、
「前々ソーリの犬」
 と言われても、文句の言えないような立場になり、結局、どうにもならない立場がそのまま、受け継がれることになり、支持率が低迷してくるという結果になった。
 確かに、国民の多くは、コロッと騙されても懲りない人が多いのだが、さすがに、
「公約」
 を、ここまで大っぴらに守らないというのは、人間性を疑われる。
 しかも、戦争を始めた片方の国に、日本のように、戦争をしてはいけない国が加担するということは、ありえないはずである。
 少なくとも中立を最初に表明し、平和に向けての主導権を握って、調停役に名乗り出るくらいのことがあってしかるべきなのに、まったく正反対に、片方の国に、血税を送り続けるという暴挙である。
 言われている情報が間違いで、立場が逆だったら、どうするのだろうか?
 そういう意味でも、国家首脳が、浅はかなことをするのだから、
「順番が違う」
 といってもいいのではないだろうか?

                 歯医者への尋問

 現場を見ていた証言を探している刑事たちも、一度は、少なくとも現場を見ておかなければいけないということで、まわりの捜査に向かう前に、まずは、現場を見てみることにした。
「お前たちは初めてだったのか?」
 と言われたが、
「ええ、最初に見ておかなければいけないところですからね。現場百篇というじゃないですか?」
 というのだった。
 すると、それを見た日下刑事は、
「うん、それは実にいい心がけだ。どうしても、最近は科学捜査を中心に考え、楽をするということに結び付けようという若い連中が増えてきたからな。それを思うと、あまり褒められたものではないような気がするんだ」
 と言った。
 それを聴いた辰巳刑事も同じように頷いたが、気持ちは右に同じということであろう。
「ここに、被害者は倒れていたんですね?」
 と聞くと、
「ああ、そういうことだ」
 と辰巳刑事が今度は答えると、
「被害者はどうして、非常口の方に向かっていたんでしょうね? 身元がハッキリしないということなので、このビルの人間ではないということなのだろうけど、まず、どうやって入ってきたんでしょうね? 元々、他の会社が営業時間中に、どこかに潜んでいたということだったんでしょうかね?」
 と一人の若手刑事がいうと、
「そうだな、それは難しいところだな、何かをしてここから出ようとしたんだとは思うんだけどね」
 と今度は、日下刑事が答えると、
「泥棒か何かだとすると、何か盗まれたものがあったりしないのだろうか?」
 と。もう一人の若い刑事がいうと、
「そのあたりは、これから聴いて回るつもりではいたんだが、お前たちもそのことに気づくなんて、なかなかやるじゃないか」
 と日下刑事にいわれ。若い刑事は、
「これは、二人の刑事、両方とも、ここまでは考えていなかったんじゃないかな?」
 と感じたことで、急に愉快な気分になった。
「確かに、泥棒という発想はあったが、基本的にここの警備は結構厳しいものがあるので、そう簡単に、泥棒も難しいんじゃないかな?」
 と日下刑事がいうと、
「どうしてですか?」
 と聞かれると、
「このビルは、警備を掛けた階のエレベーターは止まらないようになっているんだ。だから行くとすれば、非常階段からしかいけないようで、その日、非常階段から、それぞれの階にいくカギは、内側から締まっていたんだよ」
 と日下刑事が答えた。
「じゃあ、被害者が、カギを持っていたんじゃないですか?」
 と聞かれたが、
「いや、彼の所持品からは、カギは見つからなかった。考え方としては、犯人が持っていったといえなくもないが、これが、出会いがしらの殺人という考えもあるので、もし、そうだったとすれば、わざわざカギを取っていくことはしないだろう。犯人とすれば、一刻も早く、この場から立ち去りたかったに違いないんだ、それは、犯罪者の心理というものではないんだろうか?」
 と、日下刑事が答えた。
 辰巳刑事はそれを聞いていて、
「まったくその通りだな」
 と思ったが、客観的に聞いていると、どこかぎこちなさのようなものもあった。
 それは、普段と聞いている目線が違っているからであろう。
 どちらにしても、結局、その付近から、事情を知っている人、目撃者等を知っている人が見つからなかったが、辰巳刑事の中で、この若手刑事たちと話をしたことで、気付かされたことが多かったというのが大きかったのではないだろうか?
 そのおかげもあって、すぐそばでその話を聞いていた、
「ほか弁屋担当」
 の刑事たちが、ほか弁屋に、カギのことは、
「聴くべき内容だ」
 ということを意識するようになったのは、正解だったといってもいいだろう。
 二人の刑事は、さっそく、ほか弁屋に話を聞こうと思い、来店した。
「いらっしゃい」
 流暢な言い回しで聞こえてきた言い方で、マスクをしていても、
「外人だ」
 ということは分かった。
 彼ら二人も、若手刑事ほど外人連中を目の敵にしているわけではなかったが、少なくとも快く思っていないのは、若い二人と同じだった。
 やはり、警察のような、きちっとした規則に守られている人間にとって、外国からやってきて、我が物顔で振る舞い、文化の違いをいいことに、こちらをあざ笑うかのような態度をとってきた人間が多かったことから、当然のごとく、嫌だと思うのだった。
「すみません、我々はこういう者ですが」
作品名:悪魔のオフィスビル 作家名:森本晃次