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最後のオンナ

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 という考え、これは性癖を知られるためではなく、知られたことで、会社を辞めなければならないということだ。
 つまり、会社を辞めることになりさえしなければ、まわりを無視してでも、続けられるという気持ち現れなのかも知れない。
 それこそ、彼女の覚悟というものであり、何かを天秤に架けようとすると、その先に見えてくるものがどういうものか、分かるというものではないだろうか? 
 そもそも、昼職と夜の仕事を天秤に架けるということがおかしいと思っている人が多いだろう。それは、借金などの、のっぴきならない理由がなければ、どちらを辞めたとしても、あくまでもその人の都合だということだ。
 昼職を辞めれば、夜の仕事に重きをおいていて、その理由がお金なのか、承認欲求が満たされるからなのか、だということだ。
 昼職ということであれば、
「一度足を洗った業界とは、手を切る必要がある」
 ということなのに違いないと思うことだろう。
 だが、彼女はどちらも辞めていない。彼女にとって、いや、誰にとっても、この二つの両立はきっと難しいであろう。そんなことは分かっていながら、それでも必死にしがみついているのは、
「風俗という仕事に、自分なりの誇りを持っているからに違いない」
 と思った。
 だが、もう一つ、
「結局、風俗という仕事を辞めることができないというのも事実であり、その思いがあるからこそ、広色との掛け持ちが、
「風俗という仕事に、自分なりの誇りを持っているからに違いない」
 と考えているといっても過言ではないだろう。
 ただ、彼女は、以前、小説を書いていて、詐欺商法に引っかかったことで、借金が原因で、この仕事に就くことになった。
 ただ、
「小説を書いていて、いくらコロッと騙されたとはいえ、本を出したいと思うほど、必死になって書いていたのだろうが、その割に、借金でこの世界に飛び込んだといっていた気持ちだけが表に出ていて、そもそもの情熱について、深くは語っていなかった」
 ということを思い出した。
 確かに必死で書いていたとしても、それが原因で詐欺に遭ってしまったのだったら、それをわざわざ自分で思い出そうというのも酷なことである、
 だが、彼女はきいたから話したわけではない。自分から身の上話として話してくれたのだった、
 きっと、人に話すことで、自分の置かれている立場を、再認識し、残りがどの時でどれくらいだったのか分からないが、自分に力を振り絞るために、話してくれたのだろう。
 だが、勝沢は、
「彼女は、ひょっとして、この俺のことが好きだったのではないだろうか?」
 とまるで、自惚れに近いかのような思いを抱いていたのであった。
 そのせいもあってか、他の風俗嬢と、彼女との間には、別の何かがあると自分で思っていた、
「あなたになら、話しやすい、他の人には話せないことも、平気で話せてしまう」
 といっていたのだ。
 その言葉の裏に、彼女の本心が隠れているのか、それとも営業トークなのか、正直分からない。
 だが、彼女を見ていると、何か追いかけているものが、勝沢の目にも見えてくるような気がしていた。具体的には分からないが、どこに、その思いが向いているのか、その先に、何かは分からないが存在しているのが分かった気がした。
「そうだ。俺も一度、彼女に愚痴を聞いてもらったことがあったっけ」
 というのを思い出した。
 その内容は確か仕事のことだっただろう、その時、自然と勝沢は自分の口から、
「どうしてなんだろうね、君にだったら、何でも話せてしまう気がするんだ」
 といっていた。
 ただ、これは半分、
「風俗嬢のような、自分の普段の表の世界とは、まったくかかわりのない人間だからこそ、何ら含みも偏見もなく、想像することができて、ひょっとすると、俺が想像したような回答を与えてくれるのかも知れない」
 と感じたというのが、本音なのかも知れない。
 彼女も、勝沢の中に、勝沢の愚痴を聞いてあげた時、自分が母性本能のような、穏やかな気持ちになって聞けたことを思い出したのだろう。
 本来なら、人尾愚痴を聞いてあげるほどの精神状態などであるはずもないのに、実際に話を聞いてみると、落ち着いてきけた。
「この人にだったら、あの時、彼が私に話をしてくれた時のような気持ちに、この私が慣れるのではないだろうか?」
 と感じたのだ。
 詐欺師に騙された気持ちを忘れたわけではないだろうが、その思いがあるだけに、勝沢に対して、従順な気持ちになれたのではないだろうか?

                 従順なオンナ

 その思いがあってからか、勝沢は、時々この女を、自分のオキニというよりも、
「絶えず、自分に従順なオンナ」
 というイメージに変わってきた。
 実際に、お金を払って気持ちよくしてもらうというのが、風俗遊びというもので、女の子は、自分を指名してきてくれた人に、必死になって尽くそうとする。それがプロ意識なのか、それとも、アイドルが自分のファンを大切にすることが、一つのプロ意識だと考えるのであれば、彼女たちには、プロという意識の裏に、
「自分が目立ちたい」
 という気持ちだけではなく、
「プロ意識をファンの存在で再認識する」
 という思いが潜んでいるのではないかと感じるのだった。
 ソープでは、女の子を選ぶ時、指名する場合と、指名したい人がいない場合、フリーで入るという場合がある、
 指名する場合は、基本的に指名料というものがいり、店にもよるが、平均して、1000円か、2000円というところであろうか。
 一般的に指名する方法には3種類ある。
 一つは、お店に電話を入れ、
「いついつ行くから、誰々でお願いします」
 といって、電話予約するという方法だ。
 その時に、割引を含めて、最終的にいくらになるかなどということを聞いておくことができるだろう。
 あと、もう一つは、同じ事前予約でお、
「ネット予約」
 というものがある。
 直接電話を入れなくてもいいというのは有難いことなのかも知れないが、ネット予約を入れていたとしても、電話でスタッフと、結局何度か話さなければいけないのは、仕方のないことであり、たとえば、2日前に予約を入れたとすれば、その日か、あるいは、予約前日までに電話が店の方から掛かってくる。
 というのは、
「ネット予約を入れた時点では、まだ仮予約でしかなく、予約確定というのは、店から連絡があり、そこで初めて店側が、ホームページ上で、その人が予約したことにするのだった。
 客側からすると、
「世格確定してしまうと、もしドタキャンしてしまうそうな時、キャンセル料が発生するか、それがないとすれば、以降ネット予約はその人にはできないようにする措置をとるだろうから、それをギリギリmつまり前日まで猶予を持たせてくれているのだろう」
 と、勝手に思い込んでいるかも知れないが、
 店側からすれば、まったく違う理由で、
「確定をギリギリにしているのかも知れない」
 というのは、
「人気嬢ともなると、予約合戦となり、その出勤予定が、上がったら瞬殺で、予約が埋まってしまう」
 ということのよくあるだろう、
作品名:最後のオンナ 作家名:森本晃次