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最後のオンナ

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 というが、まさにその通り、そういう意味で、あまり美人を指名しないのは、飽きることを恐れてというのもあるが、実際には、ぽっちゃり系のふくよかさを感じさせる子が好きだったのだ。
 だが、最近になって思うようになったのは
「飽きるのは、美人ばかりではない」
 ということだった。
 自分が好みだと思ってきた、ぽっちゃりでかわいい系お女の子でも、三日もしないうちに飽きてくるのを感じたのだ。
 しかし、最近では、
「あれは飽きているということなのだろうか?」
 という思いであった。
「ぽっちゃりな子は、安心できるんだよな」
 と思っていた。
 だから好きだったのだ。きれいなタイプはあまり好きではない。それは
「飽きるからだ」
 と思っていたのだ。
 では、今まで好きだと思ってきたぽっちゃり系の女の子が、飽きてきたというのはどういうことだろう?
 ひょっとすると、
「自分が飽きると思っている女の子は。好きなタイプの子で、きれいだと思う女の子も好きだったのかも知れない」
 と思った。
 きれいな女の子というのは、細身な子が多い。以前、勝沢は、好きでもなかったが、キレイ系の女の子から、言い寄られたことがあった。
 他の人から見れば、
「まるで夢のようなことじゃないか?」
 と言われるのだろうが、どうにも、勝沢には信じられなかった。
「この俺がキレイ系のオンナから好かれるわけなんかないんだ。絶対俺のことをからかっているんだ」
 とばかりに、
「騙されないようにしよう」
 と感じたのだった。
 あれは確か、就職してからすぐのことだっただろう。舞い上がってしまった気持ちが一瞬にして奈落の底に叩き落された気がした時だった。
 その女性のことを好きになろうと真剣に考えた時、すでに彼女の気持ちは離れていた。
 どうやら、彼女のプライドを傷つけたことが原因だったようだ。
 少々優しくしたことで、その時ちょうど彼と別れたその子は、寂しさから、勝沢に言い寄ってきた。
 しかし、勝沢は、心の中で、
「何か違うな」
 と思っていたのだ。
 キレイな女の子は、自分なんかになびくはずがあく、どちらかというと、
「ツンツンしている」
 という女の子というイメージが強い。
 勝沢は、ちょうどその時、流行し始めたデリヘルというのを呼んでみることにした。
 基本的に、あまり新しもの好きという感じではなかったので、興味のないものは、自分から手を出すことはなかった。
 だが、その頃、自分の中で、
「最近流行っているという、デリヘルを利用してみようか?」
 という気持ちになった。
 考えてみれば、今までに、ラブホというものを利用したこともなかった。
 基本的に彼女ができてから、その女の子と行くのが基本だと考えていたからだったが、
「彼女がほしい」
 という思いはおろか、
「彼女を作ろう」
 という前向きな気持ちもなかったので、ラブホというものを、頭の中から、その存在自体を消していたような気がする。
 デリヘルというものは、基本的に、自宅に呼ぶか、ラブホ、そして一部のビジネスホテルということは分かっていたので、ラブホを利用したことがない自分には、あまりピンとくるものではなかった。
 だが、
「物は試しで」
 ということで利用するのも悪くない気がしていた。
 最初に利用した相手は、可愛い系の女の子だった。最初はどのように利用していいのかもわからなかったので、まず、気になるお店に連絡し、
「何もかもが初めてなんですが」
 と正直に話した。
 要するに、デリヘルの使用はおろか、ラブホにも、行ったことがないということ、ただ、他の風俗、ソープなどは、何度か利用したことがあるという趣旨のことだった。
 ここでの、
「ソープ経験の有無」
 というものは、それほど関係がないということだった。
 その時、受付の人が結構優しくて、いろいろと教えてくれた。
 まず、現在地がどこかということから、
「手近なホテルは、どこがある」
 ということを教えてくれた。
 なるほど、勝沢がいるあたりから、ホテル街はすぐそばにあった。ホテルを利用したことはないが、そこに乱立しているということだけは知っていた。テレビでよく見るラブホがが、電話で導かれ歩いていると、そこには広がっていた。
 時間的には、日が暮れたくらいの時間だったので、ネオンサインがそれなりにくっきりとしていた。
 しかし、その数年前くらいから、ネオンサインは鳴りを潜めていて、規制がかかっているのか、ほとんど、暗かったのだ。
 数年前に、この地域で、大きな地震が発生し、発電所が数か所いうことが利かなくあった。そのせいで、電気供給がままならなくなり、無駄あ電気は節約するということにあり、一般家庭や、工場や企業などへの送電は余裕ができてきたが、いつ何が起こるか分から愛ということで、ネオンサインの自粛が始まった。
 そもそも、昔からネオンサインの仰々しい明かりには、ウンザリしている人も多かっただろうが、企業お宣伝ということで、禁止するわけにもいかなかったのだが、地震ということではしょうがないということで、世間の声に押されて、ネオンサインの仰々しさはなくなっていったのだった。
 勝沢は、電話で聞きながら、ホテルを決め、そこの一階ロビーい行くと、目の前に部屋の写真のパネルが光っているのが見えた。中には消えているのもあって、それを電話で聞くと、
「消えている部屋はすでに入室されている人がいます。だから、すべてが消灯していれば、そのホテルを使用することはできません」
 という。
 部屋は、30部屋あるところで、果たしてこの部屋数が多いのか少ないのか、その時はピンとこなかったが、その時は、
「きっと多いんだろうな」
 と、漠然と感じたものだった。
 さすがに、30部屋もあれば、すべてが満室ということもなかった。
「7部屋くらい空いてます」
 というと、
「じゃあ、その中からお好みのお部屋を選んでください、ホテル代は、お客様持ちになりますので、そのあたりを計算されてお選びください」
 ということだった。
 それくらいのことは分かっていたので、ちょうど中間くらいの部屋が空いていたので、そこに入ることにした。
「ノータイムと書いてますが?」
 と聞くと、
「その時間内であれば、どの時間に入っても出ても、そのノータイムと書かれた時間のお値段になります。だから、長い時は、12時間を、そのお時間で過ごせるわけです。だから逆に、夕方の6時まではノータイムだったとすれば、4時頃に入ったとして、3時間と値段があまり変わらないのであれば、3時間の方がいいわけです。4時から6時までしかそのお値段では利用できないということになりますからね。お部屋は利用できますが、その分、お部屋の延長料金を払わないといけなくなります。今は、まだ昼前くらいですから、ノータイムで十分だと思います」
 というのだった。
 確かに、部屋に入ってから、女の子が来て、そこからの時間にあるので、3時間ではバタバタかもしれない。
 それよりも、
「2時間くらいを彼女との時間にして、そこから先は夕方まで、ホテルでゆっくりするというのも、一つの手ではないだろうか?」
 と感じたのだ。
作品名:最後のオンナ 作家名:森本晃次