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最後のオンナ

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 という女性が多いのも事実で、あくまでもドラマやVシネマでしか見たことはないが、
「ホストに狂った普通のOLや主婦が、借金をしてでも、ホストの気持ちを買おうとして、金がなくなると、ホストに捨てられ、借金だけが残ってしまい、借金を返すために、風俗にいく」
 というパターン。
 または、
「借金するまでの勇気がなくて、ホストに使う金がないのに、通い続け、ツケが借金になってしまい、それまでちやほやしていたホストが豹変し、やくざを連れてきて、暴力で脅され、そのまま、風俗に売られるということになってしまう」
 ということも多いという。
 どちらにしても、行き着く先は風俗なのだろうが、結局は、
「お金の切れ目が、縁の切れ目」
 というところであり、いや、そもそも、ホスト側に、これっぽちも女に対して感情が移入していたわけではない。ホストから見れば、オンナは、札束にしか見えないというだけのことなのだろう。
 何度もいうが、あくまでも、Vシネマでのストーリーをそのまま信じた場合の解釈でしかないのだが、見ていて、恐怖のようなものは感じるが、違和感は感じない。
 つまり、実話だと言われても、そこにリアリティがあることで、疑う余地など、どこにもないのだ。
 そんな状態を見ていると、自分が通っているソープの女の子に、
「まさか、俺の顔も札束にしか見えていないのだろうか?」
 と考えると、虚しくなってしまう。
 だが、逆に色恋に嵌ってしまい、借金をしてまで、通い詰めるという状態にならないような、抑止になるのであれば、それも無理もないのではないかと感じるのだ。
 だが、今まで何人かの風俗嬢を知っていて、それなりに通い詰めた相手もいたことで、自分としては、
「風俗嬢というものが分かってきている」
 と感じるのは、少しおこがましいのだろうか?
 そういう意味では、彼女が自分に従順なのは、まんざら嘘ではないようにも思えた。
 むしろ、これが色恋であれば、結構なオンナだということになるだろう、誰か、バックにいると見てもいいかも知れない。
 しかし、そんなことを思ってしまうと、そもそもの風俗で感じたいと思っている癒しや快感が、半減ところか、逆効果になってしまうと、まったくの無意味なことをしているとしか思えない。
 そう考えると、
「まるで気持ちが堂々巡りを繰り返しているようにしか思えない」
 といえるのではないだろうか?
 つまり、三段論法が噛み合っているのだが、どこかに結界のようなものがあるということに気づいたような感覚ではないだろうか?
 三段論法と言えばいいのか、それとも、三すくみの関係と言えばいいのか、自然界における生態系が、その代表例であり、揺るぐことのない事実なのであろうが、人間、特に、男女の関係というのは、弱肉強食のような、抗ううことのできない、
「自然界の生態系」
 のようなものを持っているに違いない。
 何しろ、男女というものは、人間だけではなく、他のほとんどの動物にあるもので、
「種の保存」
 のために、行う行為は、形こそ違え、していることは同じことなのだ。
 なぜ、それが人間界だけにおいて、
「タブー」
 と言われることのようになるのかが、よく分からないが、少なくとも、犯罪や戦争などという人間同士の行為の元凶になっているのは、間違いのないことなのだろう。
 そして、人間生活、それぞれが生きていくために先人たちが築き上げてきたものの中に、
「契約、売買関係」
 というものがある。
 この関係を保つためのものが、
「お金」
 であり、
 金銭関係のその先に見えるものが、
「見てはいけない」
 あるいは、
「開けてはいけない」
 と言われる、
「パンドラの匣」
 だと言われるのではないだろうか。
 ただ、いつまでも、怖がってばかりいては、風俗遊びなどできるわけもない。十分に危険性を感じた上で、遊ぶのであれば、それはっ問題ないと言えるのではないだろうか。
「この女が俺に従順だというのであれば、それでいいではないか。どこか、結界のようなものを感じれば、その時、引き際を考えればいいのだ」
 と思った。
 つまり、問題は、引き際だった。
 そこを間違えて、抜けられない底なし沼に足を突っ込んでしまったことになり、後で後悔しても、どうなるものでもない。
 沈みゆく沼に足を取られ、そこまでのことなのだ。つまり、底なし沼に入る前に、必ず何か警鐘のようなものがあり、そこには、結界を感じさせる、引っかかりのようなものがあるに違いない。
 そのことを、どこまで分かっているのかということが重要であり、勝沢は、
「俺にそこまで備わっているかどうか」
 というのが、一抹の不安であった。
 だから、目の前の女性の従順さを、そのまま受け入れていいものなのかどうか、それが気になっていた。
「パンドラの匣」
 それは、元々ギリシャ神話において、万能の神といわれる、
「ゼウスが、人間界に仕わせた、初めての女性」
 なのだった。
 これは、ギリシャ神話独特のもので、
「元々人間界には、男しかいなかった」
 というものだった。
 人間界には、火というものがなく、冷たさと暗黒しかないことで、人間世界は、苦しい世界だったのだ。
 神は、最初から人間界に火を与えるつもりはなかったようだ。
 人間界に火を与えるということは、自由な行動をさせるということになり、そうなると、人間は欲望から、いわゆる今の、
「犯罪「
 というものが横行することになり、今のような抑止がないことで、無法地帯になることが分かっていたからだろう。
 しかし、人間というものが好きで、人間を憐れんでいるプロメテウスが、人間界に火を与えたことで、彼自身も罰をうけ、
「人間界も罰を受けるべきだ」
 ということで、オンナというものを創造し、人間界に送るこむことで、それが人間に対しての災いとなることになる。
 その時に創造された女というのが、
「パンドラ」
 という女性だった。
 彼女は、神々からいろいろなものを与えられた。
 そこには、人間を欺く、あさとさであったり、女の魅力を引き出すことの方法であったり、男を手玉に取る方法などである。
 パンドラの魅力に人間は、さぞや心を奪われたことだろう。
 パンドラの持っていた、
「匣」
 というのは、神話や寓話などで、
「お約束」
 といってもいい、
「見るなのタブー」
 だったのだ。
 つまりは、
「開けてはいけない」
 と言われていたものを、好奇心から開けてしまったことで、人間界に、ありとあらゆる災いが降り注ぐことになる。
 戦争や疫病などと言った、まさに、
「この世の地獄」
 というものを、そのまま表したものだったのだ。
 そんなパンドラも、神から教えられた、
「男をたぶらかす」
 ということで、従順な女性を演出することに長けていたことだろう。
 従順なオンナというのは、どういうものかというのを、勝沢は考えていた。
「自分に決して逆らうことをしない女ということなのか?」
 ということを考えた。
 確かに、自分の中にあるS性から、従順な女を見ると、自分が相手を、
「束縛したい」
作品名:最後のオンナ 作家名:森本晃次