小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

風俗の果て

INDEX|15ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

 ドラマなのだから、いろいろ紆余曲折があって当たり前なのだが、そのたびに傷ついたり、無性に寂しい思いをするのだが、最期にはハッピーエンドになったとしても、印象に残るのは、その途中の煩わしさである。
 昔であれば、ハッピーエンドになることは分かっているので、
「どんなストーリー展開になるのか、それが楽しみだ」
 と思って見ていることだろう。
 だが、昔の、トレンディドラマなどと言われていた時代は、ある程度想像がつくような気がするが、最近のドラマでは、予測不可能なものも結構あったりする。
 トレンディドラマは、有料放送などで、見ることができるので、一時期嵌って見ていたが、
「トレンディドラマが流行った時期というのは、僕にとって、まだ思春期になる前だったので、見たとしても、よく分からなかっただろうな」
 と思えるのだった。
 だが、知識としては後から得たものとして、今のドラマとの違いは、一番は、
「時代の違い」
 といってもいいだろう。
 そしてもう一つは、当時のドラマは、有名脚本家が、オリジナルで書いていたものが多いが、最近のドラマは、原作がマンガで、それを脚本家がドラマにするというものが多いのだ。
 それに、最近のドラマは、恋愛ものというよりも、何かのコンセプトに沿ったドラマが多いというか、
「グルメドラマ」
 だったり、
「旅などを中心にしたものをドラマにしたり」
 と、どちらかというと、
「一話完結系」
 が多いのではないだろうか?
 昔の一話完結というと、刑事ドラマや、ミステリー系の小説ばかりで、今も探偵ものなのが結構放送されているが、同じ探偵でも、
「本職は他に持っていて、探偵は趣味のようなもの」
 という人もあれば、
「探偵だけでは食えないので、他の仕事をしながら探偵もしている」
 というような、
「変わり種」
 と言われるような人が、今は、探偵ドラマでは主流となってきている。
 そもそも、今から思えば、
「ルポライターが本職で、探偵が趣味だ」
 といっている、兄が警察庁の、
「あの探偵」
 くらいから始まったのではないだろうか?
 今では、
「○○探偵」
 などというのは当たり前になっていて、家政婦が探偵のまねごとをしたり、子供の恰好になっているが、実は高校生だという探偵や、本来であれば、架空の小説の主人公である探偵の孫だというのもある。
 ちなみに、この探偵は、小説では、最期まで独身だったので、孫どころか、子供もいないはずなのに、どういうことなのだろう?
 そんな脱線もしたくなるというものだ。

                 嫉妬という妬み

 30代以降では、時間の感覚の違いからか、風俗の回数が減ってきた。
 かといって、性欲が衰えてきたというわけではない。どちらかというと、
「性欲はあるが、もっと他のことをしてみたい」
 という感覚があったからだと、自分で思っているようだ。
「趣味のようなものを持ってみたい」
 という意識が強く、実際にいろいろと試してはみたが、そもそも、素質がないのか、どうにもうまくいかない。
「旅行であったり、食べ歩きなどのような気楽なものであればいいのだろうが、どうも、芸術的なことをやりたいと自分では思っている」
 といっていたが、それはあくまでも、建前ではないかとまわりは思っていた。
 どちらかというと、
「金がかからない趣味がいいな」
 と考えているようだった。
 風俗に金を使うのは、別に気にならないのに、自分の趣味となると、なぜかお金にこだわるのだった。
 彼のまわりの一部の同僚などは、マサムネが風俗に通っていることを知っていた。マサムネが自分から言ったからであり、本人も、
「隠したってしょうがない」
 と思っていたのだ。
 さすがに、上司の前で、平然と、
「僕、風俗に通っています」
 というほどの神経が図太いわけではないが、もし聞かれたら、
「そうです」
 と答えると思っていた。
 要するに、
「俺のことを知らないという人は、俺に興味がないからだ」
 と思っていたのだ。
 マサムネの影響か、同僚の中で、風俗通いをするようになったやつもいた。
 彼は、よく言えば、
「真面目な性格」
 であり、悪く言えば、
「融通か利かない」
 といっていいだろう。
 そのせいもあるのか、嵌ってしまうと抜けられなくなるようで、通い始めたお店の女の子に嵌ってしまい、借金まではしないが、危ないところまで来ているようだった。
 彼には結婚を考えている女性がいたようだが、風俗通いがバレてしまい、修羅場になったらしい。その時、彼女が自分を罵るのを聞いて、
「こんな女だったのか?」
 と、彼の方が冷めてしまい、彼女から距離を置いたという。最初は取り乱した彼女だったが、彼を愛していたのか、復縁を迫ったらしいが、今度は彼が承服しない。どうやら、風俗に対しての悪口雑言と、風俗に通う男のことへの嘲笑めいた言葉に嫌気が刺したのだという。
「お前が言っていた風俗というものが俺にも分かった気がしたよ」
 といっていたので、きっと、何かに目覚めたのだろうと感じた。
「そっか、俺はお前が彼女を見切ったというのなら、反対はしないが、後悔しないと自分でハッキリと思えたのなら、それでいいと思う」
 と声をかけたものだ。
 もちろん、それが正しいのか、間違っているのかなどというのは、あくまでも結果論。今分かるわけはないことである。だから問題は、本人が、
「後悔するかしないか?」
 なのである。
 マサムネは彼女を知らないので、彼の言い分しか分からない。だから、そう助言したが、それでよかったと思っている。そして、彼が自分の側の世界に入ってくれたことを、嬉しく思うのだった。
「世間における、一般常識って、一体何なんだ?」
 と思わせるちょっとした事件だった。
 マサムネにとって、
「ちょっとした事件」
 でしかないことをいまさらながらに感じたのだった。
 ただ、同僚のそんなことがあったのと、自分が時間の感覚が少し変わってきたことで、少しずつ、風俗通いの時間の感覚が変わっていくのを感じた。
 というのも、最初は、毎月は、隔月に変わっていき、そのうちに、
「もう少し行かなくてもいいか?
 と考えるようになった。
 それは、お金を意識するようになったからだ。
 毎月行っている時は、意識としては、
「お金がもったいない」
 などと考えたことはなかった。
 ストレスや欲求を満たすという感覚を、お金で買っているんだ」
 と思うからであり、それを悪いことだと思わなければ、もったいないなどと感じないからだった。
 要するに、
「自分の欲求と、お金を天秤に架ける」
 というようなものだが、すでに、最初から決まっていた。
「欲求には勝てるわけはない」
 と思うことで、そこに免罪符が出来上がる。
 言い訳するにしても、誰にするのだろう?
 別に彼女がいるわけでもなければ、結婚しているわけでもない。ましてや、自分が稼いだ金で、誰に迷惑をかけることもなく遊ぶのだ。
 他の人がどう、お金を使っているかは分からないが、
「俺は風俗に使っているだけだ。何が悪い」
 というものだった。
作品名:風俗の果て 作家名:森本晃次