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風俗の果て

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「安い値段で、少しでも遊べるようにはするが、ギャンブル性の高いことはできない」
 ということである。
 どうしても、
「ギャンブル依存症」
 の人が多いので、それも仕方がないことなのかも知れない。
 その工夫の一環として、店内にあるATMなどでお金をおろそうとすると、上限金額が決まっていて、さらに、下ろす回数も決まっている。したがって、近くのコンビニまで走らないといけないなどということが起こるのだ。
 これも、
「ギャンブル依存症」
 をなくすということが目的なのだろう。
 まずは、
「パチスロで、人生をメチャクチャにしないことが大切だ」
 ということであろう。
 そのおかげで、ある意味客足があ遠のいてしまっているのも事実だった。
「今の機種は面白くないからな」
 ということで、パチスロ離れが顕著になってきた。
 さらに、次に問題なのは、
「受動喫煙防止法」
 というものである。
 基本的には、
「自分の家などの自分のプライベートな場所以外の室内では、タバコが吸えなくなる」
 ということである。
 会社の事務所。さらには、一般企業では、完全なる分煙にしても、いけないということのようだ。
 もっとも、会社の方でも、そんなに広くない事務所において、ただでさえ狭いのに、完全分煙の、喫煙ルームを作るなどという非効率的なことを考えるところなどないだろう。
 それなら、
「国がそういう方針なのだから、これからは、本当にどこでも吸ってはいけなくなる流れになっているのに、いまさら喫煙ルームを作るというのは、時代に逆行しているのと同じだ」
 ということになるのだった。
 法律が施行されてから、喫茶店でもほとんど禁煙。飲食店ともなると、まず禁煙であろう。
 全国チェーンのカフェなどは、元々喫煙室を設けていたとこなどあるだろうから、そのままでいいのだろうが、食堂などは、昔から、ランチタイムやディナータイムは禁煙というところが多かったので、さほど気にはなっていないかも知れない。
 しかし、居酒屋など、喫煙ルームなど関係なく、
「酒を呑むところは、タバコも吸える」
 ということになっているところは、どこも、いまさら喫煙ルームを作るようなことができるはずもないので、禁煙としてやるしかない。そういう意味では客離れも甚だしいことだろう。
 もっとも、表に出て、道でタバコを吸っている連中がいるので、法律ができても、あまり意味はないのだ。
「気が付けば道路が、灰皿のようになっている」
 というところは結構あり、パチンコ屋や、居酒屋の近くなどでは、ほとんどがそうであった。
 ただ、コンビニなど、以前から表に灰皿を置いてあるところはそのままで、タバコの臭いが、空気に混ざって歩行者に寄ってくるのは、本当はたまったものではない。今のように、タバコの臭いをほとんど感じることがなくなると、ちょっとした匂いでも目立つのだ。本当に嫌なものである。
 そしてパチンコ屋にとどめを刺したのは、
「数年前から全世界で猛威をふるった、パンデミック」
 である。
 タイミング的に、一番最初の波が来た時と、受動喫煙が一緒にきたので、受動喫煙防止が目立たなかったが、この時、一か月くらい、パチンコ屋に限らず、商店のほとんどが、国からの要請で、休業することになった。
 開いているのは、薬局であったり、スーパー、コンビニなどくらいしかなかった。
 正直、中心の地下街からも、動いている鉄道、バスから人が消え、朝の通勤ラッシュでも、一車両に、10人も乗っていればいいという程度だった。
 会社も学校も、保育園も休みになり、会社では、
「リモートワーク」
 なる言葉が流行った。
 リモートワークができない会社などが通勤をしているのだ。当然、ラッシュ時間でも、街自体がゴーストタウンになっているのだから、当然のことだろう。
 そんな毎日において、国から補助金が出るというが、パチンコ屋などでは、一日の収益が1000万円はないと、損益で、赤字になるというところもあったりする。それなのに、一日5万円とかいう微々たる金で、やっていけるわけもなく、何もせずに潰れるのを待っているだけにはいかないということで、開業している店もあった。
 そのためか、その時に、開業に対して、賛否両論バラバラで、極端な意見が出たりしていた。
 特に、
「自粛警察」
 なる連中がいい例で、
「他の店は皆閉まっているのに開けているなんて」
 と、まるで、戦時中の、非国民扱いのものだった。
 かと思えば、開いている店があると聞くと、開店前から、普段はほとんどいないパチンコ屋でも、長蛇の列ができているくらいだった。
 他府県から来たという人も結構いて、さらに、
「車で、10時間かけてやってきた」
 などという猛者もいた。
 そもそも、県をまたぐ移動は自粛だったはず。というよりも、表に出ることも、ほとんど厳禁に近かった。何しろ、
「通勤してはいけない」
 という時代だったからだ。
 そんな時代、実はパチンコ業界から、クラスターなど出したわけでもなく、むしろ、閉店率が、限りなく100%に近かったのがパチンコ屋だったのに、なぜかパチンコ屋だけが叩かれたのだ。
 きっと、ギャンブルということで叩かれたのだろうが、基本的にパチンコは、ギャンブルではない、あくまでも娯楽の一種であり、括りとしては、ゲームセンターと同じなのだ。
「三店方式」
 という大阪府警が考え出したやり方で、
「ギャンブルではない」
 ということになっているだけだ。
 もっとも、そういう考え方が昔からあることに不満を抱いていた連中が、パチンコ屋というものを、本当は必要悪にすぎないものを、煽ることで、
「絶対悪」
 ということにしたて挙げられてしまったのだ。
 あの頃は、
「どこか一つを生贄にして、不満を他にそらすというようなやり方をしなければいけない」
 ということだったのかも知れない。
 それを聞いて、
「西郷隆盛の征韓論」
 を思い出す人も少なくないだろう。
 そんな感じで、自分の正論をSNSなどでぶちまけて、いかにも、
「パチンコ屋だけが悪い」
 などという風潮を流したことが、いわゆる、
「自粛警察」
 と呼ばれる連中が、ネットの世界で蔓延るようになってきた。
「警察」
 などという名前がついてはいるが、要するに、
「ネットで一つを攻撃することで、自分のストレスを発散させよう」
 という、
「自分一人では何もできないくせに、言いたいことをほざく」
 という連中である。
 完全に、信憑性のないデマを流すというのは、昔から天災などの時にはよくあることで、関東大震災の時なども、
「朝鮮人がやったことだ」
 という、何の脈絡の根拠もないことで、罪もない朝鮮人が虐殺されたという。
 そういうことを歴史でちゃんと勉強していれば、自粛警察の口車に乗ることはないはずである。
 ただ、自粛警察が悪かったのも、パチンコ屋が攻撃されたことが、気の毒だというのも事実であるが、そこばかりに注目が集まるのも問題なのだ。
 そもそも、問題はそこにあるのだろうか?
 開いているからといって、ネットで調べたりして、開いている店に、
「してはいけない」
作品名:風俗の果て 作家名:森本晃次