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必要悪と覚醒

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 確かに、スマホというのは、今までのケイタイから比べれば、たくさんのアプリで便利なものも十分にそろっている。
 それをどんどん使っていけば、それは当然通信料がかかるし、ゲームなどをすると、それに使い金を課金しておかなければならない。
 ただ、一つ言えることは、
「便利なものが多くなっただけに、いろいろ難しいことも、面倒なこともあるのではないか?」
 ということであった。
 ガラケーからスマホに変える時、いろいろな説明や、手続きを行うのに、
「最低でも、一時間半は、時間を見といてもらわないと」
 と言われたのだった。
「一時間半?」
 と、最初はビックリしたが、それは最初ケイタイの機種編の時、30分もかからなかったような気がしたからだ。
 それなのに、
「一時間半ってどういうことだよ?」
 と聞くと、
「手続きや諸々です」
 と言われた。
 確かにそれくらいかかったし、実際には30分くらいだと思っていたのが、気が付けば一時間を過ぎていたのだった。それを思うと、
「なるほど」
 とは思ったが、後から考えると、一時間半も掛かったのに、肝心なことを教えてくれていなかったのだ。
 たとえば、前述の、
「WIFIに繋ぎさえすれば、使いたい放題だ」
 ということも、まったく教えてもらっていない。
 基本的なことをまったく話していないのと同じだったのだ。
 教育が行き届いていないのか、ただ、ショップの連中はプロどころか、ほぼバイトだというではないか。
「デジタル庁の仕事はそのあたりから考える必要があるのではないか?」
 と、畠山は感じたのだった。
「とにかく、私は。今回のセミナーのような進行方法はあまり好きではない。やつらのバックにはデジタル庁がいて、あのセミナーの目的は、世の中にスマホを普及させることを目的にするために、個人情報やプライバシーを露呈させてもかまわないと思っている連中なんですよ」
 というのを聞いて、
「でも、犯罪の抑止だったり、これからのデジタル化を考えると、ある程度は仕方がないんじゃないかって重いけど?」
 というと、
「そこが浅はかだというんですよ。やつらの狙いはそれだけではありませんからね」
 と男は言った。
「どういうことですか?」
「やつらは、いかにも国民のためということを前面に出して言っていますが、しょせんは、諸外国に負けていることが、自分たちのプライドを崩しているだけなんですよ。そのプライドを守るためなら、少々のことはやるでしょうね。私たちはそれを懸念している」
 という。
「私たち?」
「ええ、そうです。我々は政府のデジタル庁が、いかなる恐ろしいことを考えているかというのを探る組織なんです。そもそも、皆。政府がこんな生易しいことで満足するはずがないということで意見が一致しているメンバーなんですよ。そしtt、我々みたいな監視役が今の政府には必要なんです。パンデミックの時がいい例じゃないですか。政府はすべての面において、後手後手にまわって、伝染病を深刻化させた。きっと、他の国もそうだからっていうでしょう。でも。だったら、そんな他の国に歩調を合わせるって何なんでしょうね? 自分たちをわきまえていないから、そうなるんですよ」
 というではないか。
「いや、そこまで極端にならなくても」
 と少し冷静になることを促したが、
「いやいやそんなことはないです。かつての大日本帝国を考えてください。日本は鎖国をしていたこともあって、開国すると、攘夷を諦め、諸外国に追いつき、不平等条約の改正にまい進した。それはいいことだと思うのですが、そのうち、遅れていた海外進出を、武力でもって行うようにした。その結果が最後は、大東亜戦争での敗北ですよ」
 というではないか?
「ほう、君くらいの年齢の人の口から、大東亜戦争という言葉を聞くのは新鮮でいいかもな」
 というと、
「よく気づいてくださいました。太平洋戦争という言い方はおかしいんですよ。そもそも、あの戦争のスローガンは、東アジアの平和と安定のために、欧米列強の世界から、東アジアを解放するというのが、主目的で、大東亜における平和を保つために日本が主導するということで、この名前にしようと閣議決定されたものなんですよ。でも、日本が降伏したことで、敗戦国となり、日本のスローガンを戦争理由としたままでは、アメリカや欧州の国が侵略者ということになり、戦勝国による裁判がなりたたなくなってしまう。だから、急遽、大東亜戦争という名前を口にできない風潮になった。しかし、日本が独立国になった時点で、しがらみは解けて、大東亜戦争といってもかまわないのに、いまだに太平洋戦争などという。しかも、戦闘範囲は太平洋だけではない。大陸や東南アジア、インドまでと広い者なのに、なぜ、アジア太平洋戦争と言わないのか? そう思いませんか?」
 と、男は言った。
「なるほど、そこには私も納得します。私もその考えは賛成です」
 と、初めて意見が合った気がした。
「今の政府はそういう意味もあってか、占領国家の一番手だったアメリカに今も頭が上がらない。憲法でアメリカの核の傘の下にいるというのがあるからなのか、どうしてもアメリカに逆らうことができない。それが一番の問題なのだ」
 というではないか。
「なるほど」
 というと、
「特に今の時代は、サイバー戦争ともいわれていて、プロパガンダや、情報を攪乱させたりすることが戦争での、初戦の戦い方に思えるんだよな。それが一種のゲリラ戦のような感じですね」
 と男が言った。

                 大団円

「そんな戦争は、今も世界のどこかで続いていて、果たして流れてきた情報の何を信じればいいのかということも必要だと思う。そういう意味で、日本を見ていると、腰抜けにしか見えないのは僕だけなんですかね?」
 というと、
「そうなんですよ。我々が考えているのも、まったく同じことなんです。それが結果としてどういうことになるか、少なくとも、今の政府が腰抜けで、あまりにもアメリカのいうことをそのまま聞いているだけにしか思えない。アメリカなんて、真珠湾の頃がいい例で。自分たちが戦争をしたいと思う政府が暗躍して、日本を戦争に突っ込ませたのが原因で、結局自分たちが、思っていた以上の損害を被ったせいで、無差別爆撃であったり、戦争を早くやめさせるためという偽善的な言葉を使って、来るべくソ連との冷戦を見据えて、日本の都市を一発で壊滅させる威力の爆弾の成功を世界に公表し、その被害を研究するための、いわゆる人体実験として行われた原爆投下、どんな言い訳をしても、通るものではないですよね?」
 と男はいうのだ。
「この人は、自分と考え方は酷似している」
 と考えたが、それだけに、どれだけ危険なのかということも分かっているつもりだった。
 ただ、考え方が似ているだけに、門前払いもできない気もしていて、何よりも、考え方だけでは、
「協力も惜しまない」
 とさえ、考えるようになった。
「うーん、悩ましいところだな」
 と思ったが、どうにもバックに組織がいるというのは、少し怖い気もした。
 そんなことを考えていると、
「我々の組織が、どうやら恐ろしいようですね?」
 というので、
作品名:必要悪と覚醒 作家名:森本晃次