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必要悪と覚醒

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 この7人が(自分を含めてであるが)多いのか少ないのか、正直分からなかったが、前一列のすべてが埋まっているのだから、多いといってもいいだろう。
 その証拠に、入場してから、しばらくは、誰も来なかった。最初から入場の時間を目指してきているわけだから、計画通りということだろう。
 しかし、中途半端な時間、しかも、前半というのは、中途半端である。
 開始前10分や15分というと、待ち合わせでも、
「待ち合わせ時間の少し前に行くようにする」
 という、その少し前という基準が、10分から、15分前だと畠山は思っていたので、待っている人の様子を見ると、各々のことをしてはいるが、15分くらい前から、後ろを気にし始めている人もいる。
「最初は、皆同じような性格なのかと思ったが、こうやって見ていると、人それぞれなのではないか?」
 と感じるようになっていた。
 後ろを気にしている人は、2人だけだった。男女それぞれで、見た感じ、フレッシュな感じが伝わってくるので、会社では、まだ新入社員なのだろう。
 他の人はそれなりに落ち付いているのを見ると、畠山は、
「自分ほど年齢がいっているようには見えないので、30前後くらいなのではないか?」
 と思えたのだ。
 会社では、まだ、第一線の中での一番の先輩というところか。これから、主任クラスにになり、部下の指導をしなければいけない立場として、研修やセミナーに、積極的に社員を参加させようという、そんな会社なのかも知れない。
 テーブルの上には、その日の教材が置かれていたので、早く来た人は、教材を見ていた。
 もちろん、畠山も教材を見たのだが、その教材というのは、やはり、スマホの機能の説明というよりも、スマホのアプリごとに、図解がされていて、いかに利用すればいいのかということの解説が書かれていたのだ。
 たとえば、LINEや、SNSなどのアプリ、ニュースのアプリ、さらには天気予報や、災害発生情報おアプリ、ゲームのアプリなど、多岐にわたっている。
 最近、スマホを手にした自分には、却って、興味深いところであった。
 あまり詳しくはないが、少しは興味のあるところなので、情報が得られる感覚は有難かったのであった。
 何に興味があるというわけではなかったので、それぞれ、流し見をしているような感覚で見ていた。
 それぞれを、まるでフローチャートでも見ているような感覚だったが、ちょうど、パチンコはスロットなど、機種の説明書きが、台の横に掛かっている、あのフローチャートに似ている。
 つまり、
「どうなれば、高確率モードに行こうするか?」
 あるいは、
「そうなれば、チャンスになるのか?」
 などで、大当たりすれば、大当たりが終わって、どんなモードに突入し、大当たりすればいいが、どうなれば、高確率モードから転落しているか?
 などということも、描かれている。
 しかし、それはあくまでも、一般的なものであり、実際にやっていると、何ゲームくらいのところがチャンスなのかだったり、どのような演出が出ると、それが確定演出なのか? というようなことは、パネルには載っていない。
 口コミのようなチャット形式のところに書かれていて、それが、一種のSNSでいうところの、ツイッターや、昔あったブログ形式のものだったりするのだ。
 あとは、
「攻略本」4
 なるものが出ていたりするのだが、元々はゲームなどの攻略本というものがあった。
 畠山はゲームはしないので、ゲームの攻略本というものの理屈が分からない。
 元々、パチンコもしたことがなかった時、
「攻略本というのがあってな」
 と、パチンコに嵌っているやつから教えてもらったが、
「攻略本というのは、別に大当たりしたり、勝つためのものじゃないんだ。どちらかというと、負けないために見る本だということなんだ。つまり、台の特性を知っておけば、どのような状態になれば、当たりやすいかとかな? あるいは、その状態で当たる気配のない時は、その台を辞める時だとかいうことを知っておくと、深みに嵌らなかったりするだろう? そういう意味で、機種の特性を知るというのは、大切なことなんだよ」
 というのだった。
 その話を聞いて、パチンコに興味を持ち、討ち始めたのだが、
「なるほど、あいつの言っていたことはこういうことか?」
 ということであった。
 機械には、ゲーム性というものがあり、いろいろな演出がある。その演出も何種類かあって、その演出が出た時、大当たりする確率が高い場合などの確率が、台を研究している人が解析して、それをまとめたものが、攻略本になるということを教えてくれた。
 なるほど、攻略本を見ていると、例えば、リーチの種類がいくつか書かれていて、そこに、
「大当たり確率が、30%」
 などと書かれている。
 台の横にあるパネルにはそこまで書かれていない、書かれているとしても、大当たりの高い順番が書かれているくらいだ。
 なぜそんなことになるのかというと、
 パネルはメーカーが台と一緒に納入するもので、出荷、つまり、店に置かれる時点でパネルは、用意されることになる。
 しかし、確率というものは、その時には誰も分かっていない。なぜなら、確率は市場に出回ってから、解析する人たちが実践して集めた情報によるものだからである、
 大体の目安はメーカーも持っているだろう。何しろ、それくらいの確率で当たるように計算して作っているからである。
 しかし、あくまでもパチンコ、スロットは確率なので、メーカー発表と、実践とでは開きがあるだろう。
 そういう意味では生の機械の特性を見ての確率なので、解析の方があてになる。だから、最初よりも、ある程度解析が出てからの方が、客が打ち始めるということもあるに違いない。
 そんな状態を考えてみると、パチスロにおける確率というのは、結構難しいものである。
なぜなら、パチスロというのは、
「完全確率方式」
 というものを取っているからであった。
 完全確率というのは、一度回した時、例えば、100分の1の確率だった場合、その時に当たらなければ、次に回した時、99分の1になるわけではなく、またしても、100分の1だということだ。だから、100回回して、当たらずに、回した時も、また100分の1だということだ。
 まるで、
「どこを切っても金太郎」
 という金太郎あめのようではないか?
 要するに、この状態であれば、
「100分の1」
 というのは、
「100回回せば、必ずどこかで当たる」
 というものではない。
 本当に金太郎あめのようなもので、
「どこを切っても、100分の1の確率なのだ」
 ということである。
 分かりやすくいうと、おみくじのようなもので、神社で筒のようなものから出た棒の数字が、そのくじだったりするわけだ。この時、この時、一度引いたくじを、筒の中に戻すか、そのまま、1本少ないかたちで行うかということになるのだ。
作品名:必要悪と覚醒 作家名:森本晃次