小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

後悔の連鎖

INDEX|3ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

「つまりは、あいつらのやり方とすれば、まずは、会員、つまり原稿を送ってくる連中をたくさん掴んで、その中から、本を出すカモを見つける。そのためには、相手を安心させるために、まず、宣伝で人を募り、そして送ってきた原稿に真摯に向き合って、返事と提案をする。だから、出資として、会社側は、まず宣伝費用と、相手を安心させるために批評をできるだけの人材に対しての人件費が必要になる。ここまでは分かっていたんだろうが、本を作っても、売れるわけではない。そもそも、売るつもりなどないわけで、本を作るのに出させる金が利益のすべてになる。出ていく金の中で気づかないのは、本をどんどん作り続けると、作った本はすべて、在庫ということになる。筆者とすれば、まるで自分の命とも言えるような、なけなしの金で出版したもの。人によっては、借金してでも、本を出しているかも知れない。そんな思いがあるので、処分もできない。やつらはそれを最初から分かっていたのかね? だけど、そのうちに本を出した人もおかしいと思うようになる、まったく本を出しても反応がないからだ。有名書店には置くと言っていたのに、置かれた気配がない。当たり前のことである。そんな無名の訳の分からない出版社の本を、有名書店が置くわけがないだろう。そうやって、次第に追い詰められていくんだよ。そんな会社はね。それで、裁判沙汰になったりして、信用という絶対的なものが崩れると、宣伝しても人が集まらなくなる。次第に皆詐欺だと思い始めると、元々が零細企業、潰れ始めると一気だった。バタバタと潰れていったものだよ」
 と言っていた。
「要するに、自転車操業だったということですか?」
 と聞くと、
「そう、まさにその通り。一つがおかしくなると、後は油がキレてしまったかのような感じだよね。まったく動かんくなり、前にも後ろにも進めない。要するに、本当に詐欺以外の何者でもなかったということだからね」
 ということだった。
「自転車操業の恐ろしさというところなのかな?」
 というと、
「それ以外ないということだろうね」
 と、全面的に意見の一致があったのだ。
 そういう意味で、自転車操業を行っていると、
「近い将来、立ち行かなくなる」
 ということは、今までの事例が証明していることである。
 宅配事業に関しては、今はまだ上昇気流なのかも知れないが、自費出版系は完全に詐欺だったので、没落も仕方がないが、それにしても、
「没落し始めてからというものが早かった」
 と言えるであろう。
 そんな時代が、あっという間に過ぎていき、最近感じることとして、
「世間は住みにくくなったな?」
 と思うことと、
「自由に過ごせるようになった:
 と思うことが、両方あるということだ。
 一種の、コンプライアンスであったり、プライバシーなどという言葉がキーワードになったりしているのだろう。
 元をただせば、時代としては、昭和の終わり頃からであろうか?
「嫌煙権」
 などと言う言葉とともに、キーワードになったのが、
「副流煙」
 という言葉であった。
 今しか知らない人は分からないだろうが、昔、特に昭和の50年代くらいまでは、タバコはどこでも吸えたのだ。
 会社の会議室であったり、電車の中、さらには、学校の職員室で、タバコの煙が充満しているなどというのは、当たり前のことだった。
 今でこそ、
「室内で吸えるところは、自宅しかない」
 と言われる時代になってきたが、禁煙室などというのがあり、タバコを吸わない人はそっちに行けばいいというような感じで、圧倒的に喫煙者の方が強かった。
 まるで、
「タバコを吸うのは当たり前だ」
 と言わんばかりであった。
 しかし、それから30年の間に、変わってきたのだ。
 公共の交通機関である、ターミナルや電車の中を見れば分かること。
 例えば電車で、8両編成の電車があったとすれば、最初はすべての車両で吸えていたのだが、そのうち、嫌煙権が叫ばれるようになると、
「前から4両目と8両目は禁煙車両というように、まるで、今の、
「通勤時間帯による、女性専用列車」
 のような扱いであった。
 それが、そのうちに、逆になってきた。
 電車は基本的に禁煙車となり、禁煙車両が今度は喫煙者量に変わるという感じである。
 そして、その頃には、ホームでは全面禁煙となった。
 ただし、大きなターミナルのホームに喫煙ルームを設け、そこ以外では吸えないというような今に近い状態になってきた。
 そして、今が、それまで、大っぴらに吸えていた、パチンコ屋や、スナックなどでも禁煙が義務付けられるようになり、基本、室内では吸ってはいけないことになったのだった。
 この時代になると、完全に喫煙者は、
「悪人」
 ということになる。
 ただ、これはほとんどの人がマナーを守っているのに、一部の不心得者がマナーを守らない。
 パチンコ屋で吸えなくなったので、表に出て、駐車場などで吸っている。本当はいけないことなのに、平気でやっているのを見ると、普通(タバコを吸わない)の人間には、そんな連中が悪党にしか見えない。そういう目で結局は、マナーを守って吸っている人たちにまで、同じような目で見るのだ。
 ということは、
「あんな不心得者がいるから、マナーを守っている俺たちまで白い目で見られるんだ」
 と言って腹を立てている。
 つまり、不心得者に腹を立てているのは、普通にタバコを吸わない人たちではなく、マナーを守って吸っている人たちからすれば、これほど迷惑な話はないのだ。
 もし、
「喫煙者はすべて俺たちの味方だ」
 などという不心得者がいたとすれば、
「これ以上救いようのないバカだ」
 ということになるのだろう。
 今、タバコを吸っていない人も、その中にはかなりの人が、
「以前は吸っていたが、今は辞めた」
 という人がかなりいるはずだ。
 努力をして辞めた人にも申し訳ないと思わないのだろうか? そんな連中が、この世をおかしくしているということであろう。
 また、もう一つ、コンプライアンスであったり、プライバシーというのも、ここ十数年くらいの間に叫ばれてきたことだ。
 プライバシーというと、いわゆる、
「個人情報保護」
 の観点から来ているものだ。
 プライバシーで問題になってきたのは、ネットの普及が大きいのではないだろうか?
 特に問題になったのは、パソコンの中に、個人情報を置いておいて、電話番号や住所、氏名などを盗んでいって、迷惑メールを送りつけたり、下手をすると、詐欺に使ったりしていたのだ。
 さらに、銀行口座のIDやパスワードを盗んだり、買い物サイトでパスワードを盗むことで、勝手に買い物をされてしまったりという、被害もあったりした。
 そのため、個人情報保護の法律が作られ、パソコン業界でも、ウイルス駆除ソフトの開発などに奔走していたりするのだ。
 これこそ、IT時代における問題の一つと言えるだろう。
 さらに、今度はコンプライアンスと呼ばれるもので、これは、いわゆる、
「ハラスメント」
 と呼ばれるものである。
「セクハラ」、
「パワハラ」
 などという言葉が叫ばれるが、これも、ほぼ同じ時期くらいに施工された、昔から言われてきたことであるが、
作品名:後悔の連鎖 作家名:森本晃次