後悔の連鎖
しかし、その二つを一緒にして考えることはなかった。一緒に考えれば分かるはずだと冷静になれば分かるくせに、マヒしてしまった感覚では、分かりっこないのだった。
そんなことを考えていると、
「やはり、別れるべくして別れたんだろうな?」
と思った。
しかし、
「二人が出会わなければよかった」
とは思わない。
結果として別れることになったのだが、好きだったという思いに間違いはないし、彼女もそうだったのだろう。何と言っても、結婚するという意思はあったのだから。
そこまで考えてくると、
「結婚を考えた時点から変わっていったのだろうか?」
とも思えた。
本来であれば、結婚を考えた瞬間から、劇的に何かが変わらなければいけなかったのではないか?
それが分かっていないということが、今度の場合の一番の間違いであった。それを、
「甘かった」
という一言で片づけていいものかどうか、そこは難しいところであるが、やはり、何かを感じなければいけなかったことに変わりはないに違いない。
結婚ということになると、何が一番大切なのかを考えなければいけなかったのだろう。
彼女はそのことに気づいたが、男の方が、まったく考えようとしない。それまで頼りにしていた分だけ、男に覚悟がないと分かると、
「裏切られた」
と感じるのかも知れない。
もしそうであったとすれば、その時点から、明らかに二人はすれ違ったのであって、彼女は自分のプライドと女性としての性から、
「相手に自分の気持ちを悟られないようにしよう」
と思ったのかも知れない。
マスクを外すことによって、性犯罪が増えるという理屈も、ゆっくり考えれば分からなくもない。
「抑えていた性欲が爆発する」
というのが、一番の理由だ。
だから、パンデミックが収まっても、女の子は怖くてマスクを外せないのだ。
そういえば、パンデミックの最中、ラジオで不謹慎なことを言っていた人がいたのを思い出した。
リスナーから来たハガキにこたえる形だったので、それほど悪気はなかったと思われるのだが、相談として、
「今は宣言が出ているので、表になかなか出られなくて、悶々とした生活をしている」
というようなことではなかっただろうか。
そこに答えた内容として、
「今は我慢しておけばいいよ。そのうち、女の子がお金がなくなって、可愛い子でも、風俗で働くようになる」
というような内容ではなかったか。
正直、リスナーに答えたという意味では、言い方の問題はあっただろうが、その後、その人はテレビ番組の、
「降板要求」
を放送局に要求するグループがあったり、その降板のために、署名を集めている人もいたりと、
「本当に必要なのか?」
とも感じた。
もっとビックリしたのは、同じパンデミックの時、日本オリンピック会長が、
「女性は話が長い」
というような言い方をしたので、それがm女性蔑視だということで、大問題になり、結果、委員長を辞任するということにまで発展したことがあった。
最初に聞いた時、ちょっとした違和感は確かにあったが、ここまで大げさに、一人の人間を叩き落すまでのことだったのかと思うと、実に、
「日本って、平和なんだな」
と、思わずにはいられない。
これが、男女平等のつけなのかも知れないと思った。
前者の発言も、
「本当に女性蔑視になるのだろうか?」
と感じるのだ。
「では、風俗で働いている女性は、皆、恥ずかしい職業に就いているとでも言いたいのか?」
と思うのだ。
借金のために仕方なくという人もいれば、目標を達成させるために、お金が必要だという人もいるだろう。そういう人は、きっと、誇りを持って仕事をしているはずで、
「風俗で働く女の子にかわいい子が増える」
と言った言葉に対して、
「じゃあ、今働いている子は、可愛くないというのか?」
という文句であれば、出てきても当たり前だと思うが、風俗で仕事をしようとしている人の話をして、
「女性蔑視だ」
というのであれば、それは筋が違うのだと思う。
「お前は、何様のつもりなんだ」
と言いたい。
それは、委員長を辞めさせた連中だって一緒だ。話が長いということを、悪いと言ったわけではない。話が長いから、自分が大変だと言っただけで、それをいかに捉えれば、話が長いという言葉を女性差別だというのだろう?
冷静に考えれば、それくらいのことは分かりそうなものなのに、それを分からないのは、きっと、
「集団意識のなせる業」
なのだろう。
一人で、集団で攻め立てれば、攻められている方が悪いと思う。それが、一種の集団意識というものではないだろうか?
特に最近は、女性差別など叫ばれているので、余計に、ちょっとしたことが大事件になったりする。痴漢などの冤罪が増えるのも、同じことではないだろうか?
これらの裏の問題において、すべて、根っこは一つのところで、一緒なのではないだろうか?
そんな状態において、今まで嵌めていたマスクを外すというのは、恐ろしいものだ。
女性の中には、
「今まで、人に自分の気持ちを読まれなくて済んだのに、今度は読まれると思うと気持ち悪いから、マスクを取る気にはなれないわ」
と言っている人もいるが、それは正解である。
しかも、もっと深い意味で、リアルなところで恐ろしいものを回避できるというわけである。
それが、男の欲望からの回避である。
確かに、心を読まれるのは、精神的にきつい。しかし、男は心というよりも、最期には身体なのだ。
特に、それまで抑止してきた性欲が爆発すればどうなるか。本当に恐ろしい。
パンデミックになる前であれば、
「性欲が溜まってくると、風俗で発散させればいい」
と思っていた人が、
「三密を避けないといけない」
ということで、風俗にさえいけなくなってしまう。
女の子から、
「また来てね。待ってるわ」
と言われても、さすがに今のこのご時世では、そう簡単に行けるわけはないし……。
そう考えると、はけ口がまったくない状態である。
そうなると、下手をすると、見境のない人が出てこないとも限らない。
マスクをしているので、いくら性欲が溜まっているとはいえ、相手の顔も分からないのに、襲うというのは、と考える。
そもそも、襲うということは、密着するということである。同じ密着するんだったら、風俗に行くのと何が違うというのだろう?
その方がよっぽど平和ではないか。
しかし、ストレスが弾けてしまうと、抑えが利かなくなる。ある意味、
「風俗では、もう我慢できない」
という妄想に駆られる人も出てくるだろう。
ここまで抑えたんだから、今までと同じ発散方法では、我慢できるはずもない。そうなると、犯罪だと意識していても、身体がいうことを利かないという人も出てくるに違いない。
そういう意味では、ラジオで話をしていた人の言葉は、実に的を得ているわけで、ある意味、
「犯罪抑止」
というものに、一役買っていると言ってもいいだろう。
そのことに気づかないのは、言い出しっぺが女性だからなのかも知れない。
女性蔑視だと言って、男性をやり込めようというのは、ある意味、