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一足す一は?

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「そんなものですよ、若い連中というのは。もし、少しでも出てくる気があるのなら、遅れてでも手伝いに来ます。何よりも、見た瞬間、あのような開き直ったような態度は取りません。だから、私は分かりましたよ。掃除しにくるわけではないってね。少しでも、気まずいと思うのであれば、終わるまで出てきたりはしませんよ。彼らは掃除がしたくないわけではないんですよ。町内会で何かをやるということに参加したくないんです。一度参加すれば、また次もということになるでしょう? そうやって行政に利用されるのが嫌だと思うのでしょうね」
 というのだった。
「そんなに行政を嫌っているんでしょうかね?」
 と母親が聞くと、
「まあ、好かれていると思うのは、自惚れというレベルですよ」
 と相手は答えた。
 そんな近所づきあいなどというのは、今の時代では、まったくないといってもいいだろう。マンションなどでは、
「隣に誰が住んでいるか、分からない」
 というのは、当然のことであり、そもそも、住んでいるのか空き家なのかも定かではない。
「最近、何か静かだと思ったら、引っ越していた」
 などということは普通に当たり前で、隣の部屋に、引っ越し業者が来ているので、
「お隣さんがどこかに引っ越すのかと思ったら、実は逆で、空いている部屋に入ってきただけだった」
 というのが、本当だったりする。
 まず最初に考えるのは、
「静かにしてくれるだろうか?」
 ということをまず考える。
 近所迷惑を掛けられても、下手に文句も言えない、なぜなら、文句を言おうものなら、「逆恨みを受けて、何をされるか分からない」
 と考えるからである。
 近所づきあいなど、これほど面倒臭いことはないということであった。

                 あるなしの法則

 マンション住まいをしているが、父親は、マンションを買うという発想はなかったようだ。
 それは母親も同じで、父親は、市役所に勤めているので、基本的に退職でもしない限り、他県に勤務することはないということだった。同じ県内であれば、正直分からないが、同じ県内であれば、県の中心部に住まいを設けていれば、引っ越さなくても、通うことはできるのではないだろうか。
 しかも、この県の、県庁所在地は、県の中心部にあり、ここからであれば、少々遠くであっても、勤務時間は、2時間以内で済みそうだった。
 それに、通勤電車でも、車で移動したとしても、ラッシュの時間は反対方向になるので、それほど混むことを気にしなくてもよかったのだ。
 ただ、給料はお世辞にもいいとは言えなかった。だが、それは、サラリーマンの平均年収に比べてという意味であって、民間企業でも、給料の安い人から見れば、きっと羨ましがられていたことだろう。
 それでも、転勤はあっても、単身赴任などの心配がないことは、ありがたいことだったのだ。
 公務員住宅として、分譲マンションが、公務員価格で買えるという話もあったが、両親は頑なに、拒否していた。
 その理由は
「一度入ってしまうと、引っ越しが利かないからだ」
 ということであった。
 もし、隣に近所迷惑なやつが引っ越してきたとして、分譲だと、まず、相手が引っ越していくということは考えられない。
 もちろん、こちらも、ローンが残ったままで引っ越すわけにもいかず、引っ越せたとしても、かなり面倒な手続きが必要だったりするだろう。
 そんな一連の騒動で、プレッシャーから、精神的にかなりのストレスを抱え込むようになり、それがトラウマにでもなってしまうと、これほど厄介なことはない。
 それを思うと、
「身動きが取れない、分譲マンションなどに入るものではない」
 と考えてしまう。
 それを考えずに毎月の家賃とローンの返済を考えると、確かにローンの方が安いこともあるだろう。ただ、その間身動きが取れないと考えると、まるで見えない鎖に縛られて、気が付けば。逃げることのできない状態に追い詰められてしまい、
「ヘビに睨まれたカエル」
 のようになってしまうことは明らかだった。
 もちとん、そこには、近所づきあいのようなものが絡んできたり、子供ができた時の、子供会であったり、父兄会などと言った、学校行事や、町内の問題などが絡んでくると、どこまで協力できるか分からないということから、ずっと、縛られるという状況は、それこそ、
「人生の墓場」
 を見ているようではないだろうか?
 賃貸であっても、一度借りてしまうと、他に移るということには、勇気がいる。
「移ってしまえばいいじゃないか」
 と他人は言うだろう。
 確かにそうなのだが、問題は、
「いろいろな可能性を考慮しないといけない」
 ということであった。
 移ったからといって、移転した先の隣に、どんな人が住んでいるか分からない。今と変わらないのであれば、引っ越しの手間などを考えれば、
「余計なことをした」
 ということになるだろう。
 この発想は、転職でも言えることではないか?
 普通に会社に不満を持って辞めた場合、もし、就職難の時代でなかったとしても、
「今までの会社と同等以上のところには、就職なんかできっこない」
 と言われていた。
 つまり、
「転職すればするほど、条件はどんどん悪くなってくる」
 というわけである。
 相手が、社員を募集するということは、
「今までいた人間が、何らかの理由で退職したので、仕事が回らなくなった」
 という場合であったり、
「引き抜きに遭ってしまって、ポストが開いた」
 あるいは、単純に、結婚などの寿退社などが理由で、人が足らなくなってしまった。
 などという理由である。
 最後の寿退社というのは、考えようによっては、この結婚が、社内恋愛で、社内恋愛であるがゆえに、一緒に仕事をする場合に、仕事に支障をきたすということが考えられるのだろう。
 だが、今の時代は男女平等の観点から、
「社内恋愛による結婚であっても、寿退社ということであれば、何か、会社のブラックな部分を疑わないわけにはいかない」
 といえるのではないだろうか?
 それを考えると、最期の考え方には、ブラック性を感じるということで、考え物だと言えるだろう。
 確かに昔の、
「終身雇用」、
「年功序列」
 などと言われていた時代と違って、
「転職は、スキルアップのため」
 ということもできるという意味で、転職はしやすくなっただろうが、その分、どこがブラックなのかということも分かりにくくなっているというのも、一つの事実だといってもいいのではないだろうか?
 確かに、戦国武将の、藤堂高虎のように、
「主君を、七人も変えた」
 という人もいるくらいの人もいるが、それも何か特別な技能であったり、素質を持っていなければ、なかなかうまく行くわけがない。
 何もないのに、転職をしようなとどいうのは、今であっても昔であっても、変わりのないことに違いない。
 藤堂高虎の場合は、
「築城の名手」
 と言われるくらいの人物だ。
 戦国時代のように、城というと砦のようなものも加えれば、
「コンビニの数よりもおおかった」
 というくらいにたくさんできている。
作品名:一足す一は? 作家名:森本晃次