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もう一人の自分の正体

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「まるで、イチゴのメロンソーダのようだな」
 と感じ、そう思うと、青の信号機も、
「メロンソーダというよりも、まるで、ハワイアンブルーのような感じだと言えば、一番スッキリと来るかも知れないな」
 と思うのだった。
 そんな岡崎が、不登校になり、まるで判で押したような引きこもりになった。これが、彼の最初の二重人格になったきっかけだったのかも知れない。

                 都合の悪いこと

 岡崎には、半年前から付き合っている彼女がいた。知り合ったのは、実に偶然といってもいいのかも知れないが、
「それが運命だったのかも知れない」
 と感じたとすれば、付き合っている期間が、半年だからなのかも知れない。
 岡崎は今まで付き合った女性、いや、付き合ったといえる女性を含めて、半年というのは、自分でも長い方だと思っていたのだ。
 初めて彼女ができたのも、大学時代。彼を知っている人の証言を得られるとすれば、
「彼は晩生だったからな」
 と皆がいうだろう。
 しかし、女性からすれば、「
「あんな人に彼女がいたことがあるなんて、何かの間違いなんじゃないの? 私はあんな人、結婚どころか、彼女だってできないタイプだって思うわよ」
 というほどの辛辣な言われ方をするのではないかと思われた。
「どうして、そこまで言えるんですか?」
 と聞かれたとすれば、
「だって、あの人の言い方には、デリカシーというものがないんですもの。考えてから物を言っているのかどうかも分からないし、考えているのであれば、きっと、自分中心の考え方しか持っていないということなんでしょうね?」
 というであろう。
「それは、どういう意味ですか?」
 と聞くと、
「いつも、一言多いんですよ。それは、自分が目立ちたいというのか、それとも、マウントを取りたいと思っているからなのか分からないんですが、その一言がまわりをどれだけ白けさせているかということをまったく理解していない。そう、しいて言えば、アニメや特撮の見過ぎなんじゃないかって思うわね」
 というだろう。
 確かに、アニメや特撮のヒーローは、いつも独り言を言っているイメージはあるが、それは、主人公だから許されるというもので、見ているのが子供だったりするので、どうしても、状況や主人公の心境を分かるようにするには、主人公に喋らせるということも必要なのかも知れない。
 そう考えると、余計なことを言っていることを、格好いいと思って、違和感を感じていないということになると、それだけ、
「考え方が、まだ、子供なのではないか?」
 といってもいいだろう。
 子供というのは、ヒーローに憧れるもので、
「ヒーローなのだから、格好いい」
 と思い込み、それをマネするという単純な発想でマネをしているというのであれば、実に単細胞だといえるだろう。
 それよりも、子供の頃から自分がヒーローにでもなったかのような思いを抱いていたとすれば、一言多いのも、別に悪いことだと思っているわけではなく、自分がヒーローになったかのように感じていて、
「何をしても許される」
 とでもいうような意識が、頭の中に普通の意識として、子供の頃から普遍にあるのかも知れない。
 だから、他の人が聞いていて、恥ずかしくなるようにことでも、本人は悪いなどという意識がまったくないのだから、そういう無意識な行動に出たとしても、それは無理もないことなのではないだろうか?
 そんな男性に、女性がついていくはずもない。辛辣な印象を言われても、別に違和感がないといえるのではないだろうか?
「あれは、中学の頃だったかな?」
 と、彼を知っている人が言っていたのだが、
「何かあったんですか?」
 と聞かれた友達は、
「岡崎も一緒につるんでいた仲のいい友達の中にいたんだけどね。その時の友達の中に、障害者の子がいて、たまに、発作を起こして、痙攣を起こす子がいたんですよ。まわりに一緒にいる友達は皆そのことを理解していて、皆で、気を遣ってあげようという雰囲気だったんですよ。僕もその輪の中にいたので、よくそのあたりの空気は分かっていました。だから、皆、それなりに緊張感を持っていたんですが、岡崎君がどこまで分かっていたのかということでした。実際に、一度、学校からの帰り道、その友達が、痙攣を起こしたんです。皆は知っていたので、口にハンカチを入れたり、救急車を呼んだり、道端に横にならせたりなどしていたんですよ。でも、岡崎は、まったく何もできない様子で、おたおたするばかり、まるで何も知らないかのような雰囲気でした。でも、救急車が来て、友達は、その時には友達は、だいぶ、落ち着いていたんですが、それで岡崎もすっかり普段と変わらない状態になって、一人が救急車に乗り込んでついて行ったんですが、残った自分たちは、やれやれという気分だったので、そのまま帰ろうとしたところで、岡崎は、何を思ったのか、救急車が走り去る後ろから、しっかり診てもらえよって、叫んでいるんですよね。俺たちからすれば、一体何なのかって思いますよね? 聞こえもしないのに、大声で叫んで、しかも、皆が知っているはずのことを、まるで知らなかったかのように、最初はビビっていて、落ち着いてくれば、言わなくてもいいことをいう。その一言が何を意味するのかってまったく分かっていないんですよ」
 というではないか。
「どういうことなんですか?」
 と聞くと、
「彼が言ったその一言で分かることは、岡崎が、友達の病気を知らなかったといっているのと同じですよね? 皆一緒に聞いたはずなのに、そんな大切なことを、いまさら知らなかったというのはありえないでしょう? 要するにやつは、自分の興味のないことは、右から左なんですよ。最初から、真面目に聞こうとしないのか、それとも、聞いたけど忘れてしまうのかのどっちかなんでしょうね」
 という、
「あなたは、どっちだと思いますか?」
 と聞かれたその人は、
「さあ、ハッキリとは分からないけど、やつと一緒にいた中で感じたことというと、後者ではないかと思っています。聞いたけど、覚えていない。忘れてしまったといっていいのか。もしそういうことであれば、それが彼の性格というよりも、むしろ、病気なんじゃないかって思えてくるんですよね。健忘症ではなく、どちらかというと、症状としては、最初から何も聞いていなかったという症状に限りなく近く見える、そんな雰囲気ですね」
 というのだった。
「なるほど、そうだったんですね。そういえば、彼のことを、小学生時代に一緒だった人に聞いたことがあったんですが、その人がいうには、彼は、いつも宿題を忘れてきていたというんですよ。ほとんど、常習犯的だったようなですね。親が先生に呼び出されて、そのあたりの話をしたらしいんですが、親は、先生の話をまったくうて合わなかったということらしいんです。いわゆる、『うちの子に限って』ってやつですよね。先生に対して、自分の子供に因縁を吹っかけるのか? と言わんばかりだったとも聞いています。つまり、あの親にして、この子ありって感じなんでしょうね」
 というのだった。
「なるほど、相当、厄介な子供だったんですね?」
 と聞くと、
作品名:もう一人の自分の正体 作家名:森本晃次