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連鎖の結末

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 スタッフの芸術家が、かつて苛めをしていて、しかもそれをかつて、武勇伝のように、週刊誌のインタビューに答えていたなどというのが発覚し、急遽クビになったり、差別的なことをしていたりした人がいたりで、数年も経ってしまうと、細かいことまでは覚えていないが、一つでも大問題なのに、
「よくもまあ、あんな短い期間に、あれだけの情けないと思えるようなことが起こったものだよな」
 と言われても仕方のないことだった。
 とにかく、数年はそんな情痴、国家のポンコツが顕著であった。
「有事の際には、支持率は上がる」
 と言われた政権アンケートも、全世界が数か国しかない、
「支持率低下」
 の国家として、赤っ恥を晒した国だったわけで、
「ひょっとすると、あのパンデミックを境に、この国は、内部(政府)から、壊れていくのではないか?」
 と言われるようになったのだった。
 最初の2年間くらいは、この伝染病のことで、世界が混乱し、経済が停滞してしまった。
 さらに悪いことに、今度は、他国で戦争が起こり、よせばいいのに、今度は、戦争をしている一方の国に肩入れをし、経済精製を課したりすることで、日本の経済を困窮させてしまった。
 今はまだ、報復がないからいいのだが、戦争をしていない国は、基本は中立でなければいけないのだから、片方に加勢するということは、もう一方の敵国になることで、そんなことも分からない政府だったのだ。
 どうせ、支持率が低下してきたから、
「人道のために、支援する」
 といえば、支持率が上がるだろうという浅はかな考えのものだろうが、そのうちにバカな国民も、自分たちの生活が先ゆかなくなれば分かるだろう。
 食糧が配給制などにでもなれば、それでも、
「人道支援が優先だ」
 などと、悠長なことを言っていられるのだろうか?
「こんなことになったのは、政府が税金を使って、片方に加勢したからだ」
 といって、暴動にもなりかねない。
 国民は、
「どの口がいう」
 ということなのだろうが、政府も、この抗議は完全に、自業自得である。
 国民生活がまともにいかずに、政府が瓦解する姿が目に浮かぶ。
 かといって、野党もロクなものではないので、政権交代が起こるわけもなく、同じ政党内で、
「首のすげ替え」
 が行われるだけである。
 そんな政治の混乱において、一体何が起こるのか? ある意味何が起こっても不思議はないということである。
 それを思うと、現在の政府がいかに、
「お花畑」
 な発想であるかということだが、国民にも批判をする資格はない。
 自分が苦しまなければ、痛みは分からないという、当たり前のことだからである。
 そんな時代に突入すると、本当に会社でも何が起こるか分からない。
 鈴村が勤めている会社でも、水面下で、リストラ候補がいるという。
「バブルが弾けた頃に言われ出した、リストラという言葉、もう感覚がマヒしてきたな」
 と、上司は言っていた。
「というと、どういうことですか?」
「あの頃は、まだ会社もいろいろと足掻いていたよね。企業の合併だったり、事業縮小、いろいろあったけど、今の時代は、そんなことをしても無理なんだ。できることはすでに先手先手で行われていて、にっちもさっちもいかなくなってきているんじゃないかな? そうなると、後は、会社が倒産するだけ、失業者が溢れてくるだろうな。今はまだハッキリとは見えていないけど、ちょっと考えれば分かることさ」
 というのだった。
 さらに上司は続ける。
「ここ数年の政府の対応は、すべてが後手後手に回っていて、政策を取っているように見えているけど、却って、首を絞めているようなものさ。国民もそのことを分かっていない。パンデミックの時はある程度分かっていただろうけど、何しろ皆が未知の世界だっただけに、どうすることもできなかった。だけど、今回の戦争に関しては、分かり切っているじゃないか。戦争をしていう場合、誰がどう考えたって、中立なんだよ。何のために宣戦布告をすると思っているんだ」
 というではないか。
「何のために宣戦布告をするんですか?」
 と聞くと、上司は少し呆れたような顔をして、
「そんなことは決まっているじゃないか。第三国がどうするかを表明するためさ。何も戦争をするのに、別に相手に戦争をしかけることをどうして宣言しないといけないんだ? 日本の昔の戦だって、中世から近世の、植民地の時代だって、宣戦布告なんかなかったじゃないか。相手国の混乱に乗じて入り込んで、そこで、その国を征服するなんてやり方をしていたじゃないか。もっとも、それではダメだからということで、戦争に関しての国際法のようなものができたのだろうけど、基本的に、戦争をするのは、他の国に、どうするかを促すためなんだ。そのいい例が、第一次大戦だったんじゃないかな?」
 と、いう。
「どういうことですか?」
 と聞くと、
「あの大戦は、ちょうど、ヨーロッパでは、民族主義のような形で、特に一つの国に、たくさんの民族がいるという、多民族国家が結構あったんだ。そのために、国内が混乱したり、さらに、日本と違って、まわりを他国と接しているために、結局、さらに混乱する。 そのために、一触即発な状態での緊張感が続くので、国防のために、まわりの国と、同盟を結んでいたりしたんだよね? つまりは、同盟を結んだ国の間で、どこかの国が攻められたり戦闘状態に陥れば、他の国は、その相手国に宣戦布告をするという同盟なんだよ。そんな同盟が、いくつも存在していたから、一か所で戦争になると、同盟を結んでいる国が次々に参戦して、あっという間に世界大戦になったというわけさ」
 というではないか。
 話の理屈はよく分かった。しかし、実際に経験したわけでもないし、歴史の勉強は、その時代のその事件だけを知ったとしても、その前後が分からないと、本当の理解はできない。
 となると、その前後を勉強しても、さらにまた、その前後を勉強しないと分からないというような、いわゆる、
「逆マトリョシカ現象」
 とでもいえばいいのか、どんどん、人形を開けていくと小さくなるというわけではなく、どんどん、まわりを固めていくことで、次第に大きくなるような、そんな感覚であった。
「そういう意味では、今の社会も、この時に似ているのかも知れないな」
 と上司がいうので、
「どういうことですか?」
 と聞くと、
「だって、昔の同盟が、今の会社の吸収合併のような気がいないかい? 小さなところは、どんどん。バックの大きなところに委ねる形で、そして、大きなところは守ってやるかわりに、その会社の顧客などを回してもらうような形といえばいいのか」
 というのだった。
「何となく分かりにくいですめ」
 というと、
「そうだね、歴史的に言うと、中世の封建制度に似たところがあるのかも知れないな。上下関係はハッキリしているんだけど、双方にそれぞれの利点がある。つまりは、土地を守ってもらう代わりに、戦争の時は、真っ先に兵を出すというような、主従関係だね。それが平衡が取れている間は、うまく行くんじゃないかな?」
 と、上司は言った。
「じゃあ、今はどうなんですかね?」
 と聞くと、
作品名:連鎖の結末 作家名:森本晃次