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連鎖の結末

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 他の企業から、融資をお願いされても、銀行が金を貸すはずがない。返してもらえるあてがないのだからである。
 この時期に融資を願ってくるのは、会社再建のための苦し紛れなので、当然、必死になってお願いにくるが、貸し付けると、間違いなく不良債権になるのだ。
「銀行がお金を貸さなくなったら、銀行としての機能がマヒしてしまう」
 ということで、経済を救うはずの銀行が潰れていくという連鎖反応は、当然、そこには、その銀行を取引銀行にしていた企業もすべてが、連鎖倒産となるだろう。
 それが、バブルが弾けた時の悲劇だったのだ。
 もっとも、倒産や経済の混乱の理由は、もっと複雑なところにあるのだろうが、それだけ、元をただせば、単純なことなのかも知れない。
 そんな時代において、あまり表に出ていなかったが、今回の、いわゆる、
「ダブルショック」
 というものは、半分有事に値するものである。
 国家テロともいうべき、パンデミックであったり、戦争という行為は、そのものズバリが有事である。
 ということになると、いろいろなところで暗躍をしてくるところがあるわけである。
 特に、
「戦争は金になる」
 などと言っている。
「死の商人」
 とでもいえる連中が、お金や物資を動かすことになると、いろいろなことができる。
 買占めであったり、価格操作など、簡単にできることであり、それによる混乱ははかり知れない。
 下手をすれば、彼らにとっても、
「想像以上の結果」
 になるかも知れない。
 ということは、自分たちが考えてもいなかったことが起こることで、リスクがさらに増すということを、分かっているのかどうかも怪しいものだ。
 しかも、暗躍している連中が一つではないのである。いろいろなところに。いろいろな手法を使う連中が出てくるということで、一体、どこまで当局も把握できるというのか、難しいところであろう。
 下手をすると、
「暗躍する連中を取り締まるために、さらに暗躍する連中を作り出すことに繋がるのではないか?」
 ということになる。
 最初は、公共機関の組織だったかも知れない。しかし、元々暗躍していた連中をやっつけることができたとすれば、今度は彼らが潰れた連中に成り代わって、同じような組織になるとすれば、それは本末転倒なことであって、対応として、どうすることもできないということになるに違いない。
 実際には、今、こうやっている瞬間にも、似たような動きがあるといってもいいだろう。
 実際に、元々の暗躍はできあがっていて、いろいろな詐欺組織などが存在する。
 元々あった、
「オレオレ詐欺」
 であったり、
「サイバーテロ組織」
 などが、今までとは違い、有事に際しての方法を身に着けてくると、もう警察当局ではどうにもならない。
 特に、石橋のいる街では、サイバー攻撃をもろに受けていた。
 石橋のいる街は、ある程度は、コンピュータ関係の会社が乱立していて、サイバー攻撃に狙われやすかった。
 ただ、やつらは、サイバー攻撃だけをやっていたわけではない。実は、相手の目をくらますという意味で、裏を掻いて、実に原始的な方法で攻撃を行っていた。
 マニュアルというべきなのか、人間のスパイを送り込み、そこで二重に観察することで、計画をうまく回そうとしているのだった。
 それを考えると、サイバー攻撃に対策を集中している間、実際の内部にはまさか、スパイが潜り込んでいるとは分からないことで、うまく情報を抜かれていたりしたのだ。
 ここは、コンピュータへの侵入に関しては、以前からかなりのセキュリティを強化していたが、人間によるマニュアル的なことに関しては、かなり昔に取り入れたシステムに頼り切っていて、まともにメンテナンスが行われていなかった。
 つまりは、
「すでに使わなくなったレコードやカセットの再生の機械の製造を打ち切っているのと同じなのである」
 ということは、それだけ、考え方が甘く、ザルだといってもいいのだが、そこには、経費の問題が絡んでくるので、一概に愚かだとは言えないが、こんなことがバレると、一気に社会問題になって、企業の存続が危ぶまれるので、この情報、流出については、ひた隠しに隠してきた。
 まさか、世間もマスゴミも、政府も、そんな子供だましのようなやり方に、天下の最先端技術を持った会社がやられるとは、夢にも思っていないからだった。
 だが、実際には、簡単に起こりえることで、そのことに気づかないほど、社会は混乱していて、当たり前のことが分からなくなっていたに違いない。
 そんな時代において、実際に、いくつかの会社にスパイが潜り込んでいるようだった。
 そのスパイが、元々同じところから、同時に送り込まれたのかどうか、そこまでは分からなかった。
「たぶん、全部同じところからではないだろう」
 というのが、大方の意見で、なぜそう思うのかというと、そのうちに一つのスパイ活動によって得られた情報を使って、ある会社が、脅迫を受けたからだった。
 彼らは、別に、
「このことを警察や、世間に言うなよ」
 といっているわけではない。
 むしろ、彼らの目的の一つは、
「世間に対しての公表」
 でもあったのだ。
 世間に公表することで、
「この会社は、こんなに簡単に、情報を引き出すことのできる、ザル会社だ」
 ということを公表し、世間から抹殺することを計画していたといってもいい。
 そういう意味で、得られた情報を使って、何かをするというのは、あくまでも二の次だったのだ。
 だが、他の会社の情報を得たところは、自分から公表をすることはなかった。ただ、このように、脅迫された会社があったということで、自分のところもいろいろ調べてみると、
「これはヤバイ」
 ということになったのだ。
 だが、他の会社には、脅迫が及んでいるわけではなかった。
 ただ、考えられることとして、最初のケースの様子を見て、うまく行けば他の会社も脅迫できるとでも思ったのかも知れない。
 これを聞いて思い出すのが、昭和の終わりの頃に起こった重大事件であった。
 あの事件は、解決しないままに、ほとんどの案件が時効を迎えてしまい、完全に、
「未解決事件」
 として、確定した感のある事件であった。
 その事件というのは、いわゆる、
「複数食品会社脅迫事件」
 とでもいえばいいのか。
 まずは、あるお菓子メーカーの社長の誘拐から始まった。
 身代金の要求などから、混乱を重ね、そのうちに違う食品メーカーの脅迫へと食指が伸びていくことになり。食品メーカー業界に激震が走った。
 ただ、それだけではなく、
「お前のところの食品に、毒を混入した」
 などという、ただの脅迫にとどまらず、
「無差別殺人事件」
 の様相の様相も呈してきたことで、今度は世間が震え上がった。
 実際に、いかにも怪しいと思われる食品が、スーパーで見つかり、調べてみると、青酸カリが混入されていることが分かり、ただの脅しでは済まないことがハッキリしたのだ。
 そんな状態において、世間もマスゴミも政府も、
「未曽有の大事件」
 ということで、捜査に乗り出した。
作品名:連鎖の結末 作家名:森本晃次