マイナスとマイナスの交わり
ということは、言葉のニュアンスは似ているが、正直まったく違ったことなのである、
特に、今は、SNSなどが普及していることもあり、女の子と、客の間で、一定の会話ができるようなところもある、
あまりの人気嬢ともなると、さすがに全員には難しいが、そうでもなければ、何度か通って仲良くなれば、ダイレクトメールなども可能である、優先的に予約ができたりもするのであった。
だが、それだけに、変に思い入れが激しいと、ややこしいことになることもある、今でこそ、ストーカー防止法などがあったりするが、昔はなかった。店の前で出待ちをしている人や、店から出てきたところを、後から追いかけたりして、家を突き止めるなどというとんでもない輩がいたりするのではないだろうか?
今であれば、警察にいえば、それなりの処置をしてくれるだろう。生活安全課というところで、ストーキング被害に遭っている場合など、もし、相手がどこの誰なのかがハッキリと分かっている場合は、警察が連絡をし、それなりの説得を試みるだろう。
もちろん、今でも罪になっているというこお¥とをしっかりと説明したうえでのことであろう。
もし、それでも止まらなかったり、相手がどこの誰か分からなかった場合には、警察がパトロールを強化するなどの措置が取られることだろう。
三枝が、大学生の時、同じクラスの女の子にストーカー被害に遭っている女の子がいると聞かされて、その時、友達が一緒に警察まで行ったのだが、その時の話に、
「警察がどういうことをしてくれたのか?」
ということを教えてくれたのだった。
今から、ちょうど10年くらい前のことなので、今はまた少し変わっているかも知れない。
その時は、彼女のケイタイ番号を登録しておいて、その番号から掛かってきた時は、警察は、緊急事態として扱うようにしておくような措置を取っていたという。
まだ、その頃はスマホもそれほど普及していなかったので、GPSなどというものもなかなか利用できなかった。
今では、個人のプライバシーとの絡みもあるが、本当にストーカーからの攻撃が怖いと思えば、警察に、GPSで監視もしてもらえるのではないだろうか?
それを思うと、元々、なかった、
「個人情報保護法」
と、
「ストーカー犯罪防止法」
というものが、ほぼ同じくらいの時期にできたというのも、実に皮肉なことである。
そういう意味で、昔のように怪しい行動や、手を出しにくくなったというのも事実である。
しかも、今はコンプライアンスの問題などもあることで、昔であれば、
「放送禁止用語」
なるものくらいが、タブーなワードだったりするが、今では、男女雇用均等法の観点からか、男女の問題に限らず、差別的な発言となるものは、ダメだと言われるようになっていた。
男女雇用均等の問題から、昔から言われていた、慣れ親しんていた、
「スチュワーデス」
などという言葉を使うと、煩くなった。
実際には、放送禁止用語と同じで、法律違反ではないが、倫理的な意味で禁止ワードになっているのだった。
差別的なものとしては、就職活動などにおいても、会社側がしっかりと見ておかなければいけないところがいくつかある。
例えば、募集要項に年齢制限を載せないとか、履歴書に、本籍や、家族構成などを書かせてはいけなかったり、今では最終学歴などもまずいのではないだろうか?
さらに、最近では、いろいろなハラスメントなどという言葉もあり、それが大きな問題になっているというのだ。
そういう意味で、
「手を出してはいけない」
ということは、あらゆる場面で存在するのではないだろうか?
ドッペルゲンガー
元々、会社は、ハラスメントと呼ばれるものが、横行していた。
上司が、仕事をしていると、部下は帰ることができないという風潮であったり、行きたくもない飲み会をセッティングされ、
「部内交流のため」
といって、定時の後のプライベイトな時間を、飲み会で潰されて、しかも、その飲み会も、上司に癪をさせられたり、自慢話を聞かされたりと、苦痛でしかなかった。
さらには、新入社員には恒例の、
「花見の場所取り」
というのがあった。
花見の名所ともなると、だいぶ前から場所取りをしないと、いいところは取られてしまっているということになりかねないので、時期的にも新入社員がまだ会社にも慣れていない時期ということで、
「入社後の最初の仕事が、花見の場所取り」
というのが、本当に多かった。
これらは、一種のパワハラと言われるものだろう。
また、昔のOLというと、一般的に、
「コピーと茶汲み」
と言われていたように、女性社員の仕事というと、朝来てから、事務所の机の上を拭いたり、男性社員が出社してきた時に飲むためのお茶を入れるというのが、恒例の朝の仕事になっていた。
当番制にしたりして、女性社員も、その日は、いつもよりも早く出社してくるという、今から思えば、何とも封建的なやり方だったのである。
余談であるが、封建的という言葉、今ではあまりいい意味ではない。
「古臭い風習に凝り固まった」
というイメージを総称して言っているのだろうが、本当はそうではない。
封建制度というのは、元々は、主従関係において、どちらも、イーブンな関係だったはずだ。
主人が家来の土地や生活を保障する代わりに、主人が戦をするとなると、兵を出すというようなやり方で、
「恩賞と、奉公」
という形のバランスが取れているというものだ。
しかし、今の時代に、
「封建的」
という言葉を使うということは、それだけで、
「主人に搾取されている」
ということを示しているに過ぎないのだった。
さらに、セクハラとしては、
「最近、きれいになったね」
などという以前であれば、上司が部下に向かって、
「気を遣って言っている」
と思われるようなことでも、最近では、
「セクハラだ」
と言われるようになったのだった。
そのうちに、文句を言われる方だけではなく、文句を言う方も、
「何のハラスメントになるんだろう?」
と思えるほとではないだろうか。
それほど、ハラスメントというのは、種類が多く、それぞれに、かぶさっているというのも多いということだろう。
そもそも、それぞれで多いのだから、もっと言えば、ハラスメントという言葉もかぶっている部分が多いのだから、たくさん分ける必要もないということではないだろうか?
それを考えると、面白いといってもいいだろう。
世の中というものが、どのような仕組みになっているのか分からないが、このあたりのことも、昔から言われてきた、
「男女平等」
という観点が、例えば、痴漢事件や覗き、さらには今のストーカー問題などと結びつき、総合的に問題になったことで、話が大きくなったのだろう。
確かに、痴漢事件や、強姦事件などというのは、昔は親告罪であり、
「被害者が訴えでなければ、罪として加害者が、警察から尋問されることすらなかった」
といってもいいだろう。
親告罪というのは、他の罪のように、第三者が見て、
「これは犯罪だ」
作品名:マイナスとマイナスの交わり 作家名:森本晃次