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摂関主義宗教団体

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 実際に、その産業にとどめを刺しかけたのは、国民であるが、煽ったのは、明らかにマスゴミだった。
 忘れもしない、
「緊急事態宣言」
 なるものが発令され、全国で店に休業要請が出ている中、やむを得ず営業していたパチンコ店を、見せしめに攻撃し、
「自粛警察」
 なるものを生み出して、世間の目がすべて批判的な目で見ていたことである。
 戦争状態になったこの世界情勢で、マスゴミは、明らかに攻め込んだ側だけが悪いという単純な構図で片付けようとする。それは、本当にマスゴミだけの意思なのか? と疑ってしまいそうな気がする。
「まさか、裏で政府が情報統制しているのではないか?」
 と思えるのだ。
 何しろ、地名の呼び方を変えるくらいだからである。
 これも、
「大日本帝国の悪い部分を踏襲しているようではないか?」
 と言えるのではないか?
 つまりは、
「敵性語」
 を話してはいけないという、大東亜戦争の頃、国家を戦争に駆り立てるという意味での、実にくだらない政策の一つだったわけだが、今の時代にもなって同じことをするとは、何とも信じられない。
 しかも、自分たちが戦争に巻き込まれているわけでもなく、下手に挑発すると、そのせいで我が国が攻め込まれないとも限らないというのを、政府もマスゴミも分かっているというのだろうか。
 さらに、政府が支援支援と言っているのは、自分の支持率が下がっていることで、人道政策ということで、支援を続ければ、支持率が上がるだろうという、まるで小学生のような発想に。誰も気づかないのだろうか?
 一部の国民は気づいている。そして、きっとそのうちに、経済制裁の煽りのため、今でも物価の上昇が止まらないのに、さらに物価が上昇し、そして、スーパーの陳列棚に、食料や生活必需品が消え去ることで、やっと、自分たちが何を信じて、何をしているのか、その果てにあるものに気づくことだろう。
 気づいても、すでに遅しとなるかも知れない。暴動が起きて、政府の威信は地に落ちるだろう。
 完全に、亡国となってしまうのが、オチである。
 そんな状態の国やマスゴミに対して、言いたいことを大学生という立場で言ってきた。かなり過激なことを言ってきたのだが、世間は、
「大学生のたわごと」
 として見ているだけなのかも知れない。
 だが、そんな世の中ではあるが、次第に、梶原が言っていた方向に話が進んでいるのも間違いではなかった。
 人によっては、
「予言者:梶原」
 と言って、崇めるような人も現れた。
「いやいや、そんな。皆だって、冷静に全体を見れば、その行く末くらい、容易に想像がつくよ」
 というのだった。
「そうか? 難しいだろう?」
 と言われて、
「いやいや、基本は一方だけからの情報は信用するなということさ。情報操作されている可能性があるからな。特に政府やマスゴミの発表は気を付けないとな」
 と梶原は言ったが、
「確かに、マスコミというのは、それぞれの会社によって、まったく同じ事実でも、見解が逆だったりするからね」
 と言われると、
「うん、出版社、新聞社、放送局によって、支持体制が違っているからな。右寄りだとか、革新派だとかいうようなね。そこも把握しておかないと、情報操作に巻き込まれることになる」
 と、梶原がいう。
 梶原は独自の見方を持っていて、考え方も、極端ではあるが、それだけに、得る情報は多方面から収集している。そして、情報が偏らないように分析するように心がけているので、独自ではあるが、見方は冷静だと言ってもいい。ただ、過激な発言が目立ってしまうだけだったのだ。
 そんな梶原だったので、宗教に対しての偏見は次第に減っていった。
「政府やマスゴミよりもマシではないか?」
 と思うようになり、
「宗教だって、本当に一部の過激な団体だけがクローズアップされ、あたかもすべての宗教がいかがわしいと思わせるのも、これも、マスゴミの影響ではないだろうか?」 
 と思えてきた。
 一つの情報を、10にも20にも拡大してしまい、さらに、今のネット社会で、国民自体が拡散できる時代になったことで、世間も、マスゴミ化してしまっているという、
「負のスパイラル」
 が行われているのではないだろうか?
 それを思うと、梶原は末恐ろしくなってきた。
 何かの大きな力がどこかで働いていて、それが、亡国へと導くことになるのではないかという独自の考えである。
「どうせ、こんなことを考えている人は、俺だけなんだろうな?」
 と感じていたが、本当にそうなのだろうか?
 大学の中にも、宗教関係のサークルがあった。
「歎異抄」
 であったり、
「聖教徒会」
 などと言われるサークルが存在し、実際には、知られていない宗教サークルも5,6個-ではくだらないという話を聞いた。
 もちろん、大学のサークルであるので、それほどたいそうなものではなく、サークル仲間で、伝書の研究が行われたり、宗教研究が行われるようなもので、決して、実際の宗教団体と関りのあるものはなかったであろう。
 だが、それはあくまでも、表向きであり、実際には、新興宗教のようなサークルもあって、そこは、若干ヤバめのところだったのだ。
 そのサークルでは、まだ、完全な宗教団体として、登録されているわけではない。代表者はいるのだが、宗教団体として認められるだけの体裁が整っていなかったのだ。
 しかも、教祖のような人物がおらず、探しているところであった。
 もちろん、それは水面下で進められていて、サークル活動は、信者とともに、教祖のなりそうな人物を探すという目的もあった。
 ここの宗教団体は、基本的に、
「若い力を中心にした団体」
 を目指していた。
 現在の信者、スタッフを合わせても、100人ほどしかいない。まだまだ小規模な信仰宗教にすぎないが、誰が教祖になるかによって変わるというのが、幹部の考え方だった。
「なぜ幹部が自ら教祖にならないのか?」
 というと、
「教祖になってしまうと、汚い部分をこなすわけにはいかず、今のスタッフは汚い部分には長けているが、表に出て、信者を引っ張っていくだけの求心力がないのだ」
 ということのようだ。
 そもそも、この集団も、元々は、裏の世界の、さらにその汚い部分担当だった連中が、最初は集団の隠れ蓑としての外部団体を持っていたが、肝心の中央組織が分裂してしまったことで、自分たちが変えるところがなくなり、逆に狙われることになった。
 幸い、やつらにも、この影の存在を知られてはいなかったので、すぐに攻撃されることはなかったが、
「今のままではまずい」
 ということで、
「大学の宗教団体」
 ということにして、何とか存命を考えていた。
 クーデターを起こした一団から、とりあえず逃れることが先決だった。
 やつらは、完全な過激派で、倫理などよりも、感情で動く連中なので、組織内でも、恐れられていたといってもいいだろう。
 幸いにも表にいたので、潰されることはなかったが、クーデターを起こした方も、
「残党狩り」
 だけは、しっかりやっておかないといけないと思ったのだろう。
 大学内ではあくまでも仮の姿。ただ、ほとぼりが冷めてからのことまで考える余裕はなかった。
作品名:摂関主義宗教団体 作家名:森本晃次