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摂関主義宗教団体

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「前世の記憶もなければ、因縁すら感じないというのに、来世なんか考えたとして、それが何になるというのだ?」
 というものだ。
 冷静に考えれば、
「来世でいくら幸せになれたとしても、今の記憶がないのであれば、そこに何の意味があるのか?」
 と考えるのが普通ではないだろうか?
 ただ、最近の梶原は、宗教団体よりも、むしろ、政治やマスゴミの方を嫌になっていた。大学でも、友達との間でそんな発言が目立ち、ゼミに入っても、過激な発言をするようになった。
 特に今から数年前の世界的なパンデミックが襲ってきた時、まだ、高校一年生だったので、受験にまだそれほど影響はなかったが、学生生活あるいは、思春期の大切な時期が犠牲になったことで、かなり世間の理不尽さを考えさせられた時期だった。
 これは、梶原だけに限ったことではないだろうが、特に梶原には大きなトラウマとして残ったのだった。
 確かに、いきなり某国で発生した新種のウイルスが、あっという間に全世界に広がったというので、仕方のない部分もあったかも知れないが、何と言っても、水際対策がザルだったのは間違いのないことで、それによって、国内で流行してしまった。
 流行してしまってから、水際対策をとっても遅いのであって、これには賛否両論があったが、まず政府がやったことが、小中学校の全国閉鎖だった。
 しかも、ソーリ(人間としての資質のなさから、敬意を表して、総理大臣をそう呼ぶ)が独断でやったことで、側近も知らなかったという、お粗末さ。勝手に記者会見を行い決定してしまったことで、政府内からも、国民からも、指示されるわけはなかった。
 本来であれば、有事の際になれば、政府への支持率は上がるのが当たり前だった。
 下がったのは、そんな伝染病を、
「風邪とかわりがない」
 と言って、大した対策も取らずに、感染を急拡大させた国の指導者と、日本だけだったという、情けない結果になったのだった。
 さらに、困ったことには、マスクの決定的な不足があった。
 それ自体は政府が悪いわけではないのだが、その対策として、これまた、ソーリの、
「お友達」
 と呼ばれる連中に、マスク製造を委託し、粗末なマスクを作り、国民に配布したのだ。
 あまりにも小さすぎるし、専門家からは、
「布マスクは効果はない」
 と言われていたのに、その布マスクを製作を強引に推し進めた。
 そして、国民に配布したのだが、やはり、
「小さくて使えない」
 として、ほとんど使う人がおらず、国に在庫が残ってしまうという情けないことになった。
 これだって、血税の無駄遣いであった。しかも、
「お友達」
 を儲けさせることだけが目的という、国民を犠牲にして、自分の保身に走るという、このソーリのお家芸だったのだ。
 さらに、この伝染病蔓延の隙をついて、自分の保身のために味方になってくれるはずの検察の人間が定年となるのを、事もあろうに、自分のためだけに、法律を変えようとまでしたのだから、とんでもないソーリだ。結局、その検察の人間は、自らのスキャンダルで辞任することになったが、結果それが命取りになったのだろう。
 政権通算記録を樹立した数日後、いきなり病気と称し、病院に逃げ込むことで、総理大臣の座を放棄したのだった。
 さらに、いきなり放棄されて焦った政府は、すぐにソーリの首を挿げ替えたのだが、正直結果は、さらにひどいことになった。
 伝染病対策は、さらに悲惨なことになり、対策としてはことごとく失敗。
 さらには、ちょうど東京でのオリンピックがあったということで、それを強行に押し通してしまったことで、その後の流行を招いてしまい、他の党内の重鎮から、
「次の総裁選には、立候補しないでくれ」
 と言われ、実質、こちらも、ソーリの座を明け渡すことになった。
 次のソーリには、皆が期待した人間がなった(はずだった)。
 しかし、実際にはもっとひどいことになってしまったのだ。伝染病に関してはまだしも、問題は国際情勢にあった。
 元々、連邦国家を築いていた仲間だった国を、超大国が、隣国に攻め込み、戦争状態になったのだ。
 欧州の国や、米国は、
「それを暴挙だ」
 といい、批判をし、さらには、経済制裁を行った。
 日本はというと、右に倣えで、欧米列強と同じように、経済制裁を行い、防衛のための物資を提供したりした。もちろ、金銭的な援助も大量に行ったのだ。
 しかし、これが日本の国を追い込むことになるのを誰も分からないのだろうか?
 相手は戦争をしているのである。基本的に、同盟も組んでいるわけでもないのに、片方の国に支援し。片方の国を批判するやり方は、明らかに片方とは敵対しているのと同じことである。
 攻め込まれたとしても、文句が言えない状態なのかも知れないということをなぜ分からないのだろう?
 とにかく、ばかげていたと思ったのは、攻め込まれた国のダイトーリョー(こちらも、ソーリと同じ意味での敬意を表する呼び方)が日本の国会にビデオ演説で支援を訴えてきた時。国会議員の全員が、スタンディングおべージョンを行った。
 これを見た時、目を疑ってしまった。
「ここは、ドイツか? ナチスなのか?」
 とである。
 まるで、独裁者を支援する状態を見た時、日本は、まるでナチスドイツの悪いところをマネしていると思って愕然としたのだ。しかも、この国の、ダイトーリョーは、アメリカ議会でも同じようにビデオ出演で、アメリカ議会に訴えた時、説得材料の言葉をして、
「真珠湾を忘れるな」
 と言ったのだ。
 これは、日本に対しての侮辱ではないか? 歴史認識のなさにもほどがあるというものだ。
 それでも、日本政府はここまで言われておいて、スタンディングおべージョンとは、どこまで舐められても、ヘラヘラ笑っているというのか、それこそ、日本のコッカイギインというものだ。
 さらに、日本政府が決めたこととして、攻め込まれている国の主要都市の呼び方を、世間一般には、攻め込んでいる国の発音で言っていたものを、わざわざどうでもいいことなのに、攻め込まれている国の表記に変えたのだった。
 そんな状態において、政府はなんと、攻め込んでいる国の外交官を国外追放にしたのだ。それこそ、最後通牒を行ったのと同じで、これは、宣戦布告とみなされても仕方がない。そんなことも分からないというのだろうか?
 国民も、バカではない。さすがに最初は、非人道的なことをする国家が一方的に悪いとしていたが。途中から、
「情報が錯そう」
 して、何がどうなっているのか分からなくなってきていることに気が付いた。
 マスゴミが煽っていることに気づいてきたのだ。
 というのも、先の伝染病対策の時、マスゴミがどれだけ世間を困難に陥れたのかを、国民が忘れていないということだ。
 一つのことを右に倣えで、すべてが正しいことのように宣伝したが、次の瞬間には手のひらを返して違うことをいう。
 そして、前に報道したことが間違っていたにも関わらず、それを謝罪しようともしない。
 それが、世間をどれほど混乱に陥れ、一定の産業の人たちを追い詰め苦しめたのか、本当に分かっているのだろうか?
作品名:摂関主義宗教団体 作家名:森本晃次