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後悔の意味

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 何が悪かったのか分からないが、最初はいいのに、なぜ、数か月でここまで変わってしまうのか、見当もつかない。自分が悪いという意識がないから、これも仕方のないことだが、とにかくいつもいきなりなのだ。
 態度なのか、言動なのか分からない。いや、キレた彼女たちのいうように、理由が分からないところがイライラするのか、とにかく、その時に自分にはまったく分からなかった。
 そんな湧川だったが、知り合ったのは、偶然だった。友達と飲みに行った時だったが、その友達というのは、同じ大学から、一緒に今の会社に入社したやつだったのだが、彼は家が家業をしていて、いずれは、家業の方に入社するということの条件で入ってきていたやつで、一種の修行のような形だったのだが、ちょうどその期限がきたということで、会社を辞めて、家業である、製造メーカーの方に入った。
 最初は平扱いだったが、2年も経てば、すでに部長職のようで、その分、羽振りもそれなりにいい。
 親も、相当なもので、
「若いうちに、遊びを知っておくのは大切なことだ」
 ということで、少々の、
「おいた」
 は、親が許してくれていた。
 その分の給料は貰っているようで、湧川は、その恩恵にあずかっていたというわけだ。
 大学時代、女の子と付き合っても、ほとんどが数か月では、どうしようもない。だから、大学卒業するまで、童貞だったのだ。
 この友達とも、同じ会社に就職したことで、お互いに意識するようになったわけで、学生時代のお互いを知ることはなかった。就職してから、
「見たことがあるやつだ」
 とお互いに思っていたようで、入社式の日から、仲良くなり、赴任先がバラバラになったが、連絡だけは取り合っていた。
 すでに、研修を終えて、経営学に関わるような、
「帝王学」
 を学ぶために、本部勤務となっていた友達と、2年ぶりに本部で一緒になったということだ。
 しかし、それから少しして、友達は自分の会社の経営に参加するために、退職していった。
 それでも、仲は相変わらず良く、連絡も取り合っていた。しかも、連絡は湧川よりも相手からよこすことが多く、よく、街に繰り出したものだ。
 すでに、友達の驕りで、風俗ではあったが、童貞は卒業していた。
 風俗の感想を聞かれた時、
「まあ、こんなものかというところかな?」
 と、曖昧に答えたが、これはあくまでも照れ隠しであり、正直、
「どうしてもっと早く来ようと思わなかったんだろう?」
 と感じたほどだった。
 付き合った女性たちからは、謂れもない文句を言われて、皆自分から去っていったではないか。しかし、風俗の女の子は、優しく接してくれて、何よりも癒してくれる。
「そりゃあ。お客さんだからな」
 と言われればそれまでだが、お客であっても、優しくされると、これほど嬉しいものはないということを、いまさらながらに感じたものだった。
 いくら客と嬢ではないといっても、まるで相手の尊厳を考えない女よりも、風俗での関係とはいえ、求めていたものをすべて与えてくれる人がいるのであれば、
「俺は、風俗の方がよほどいい」
 と思っていたのだ。
「な、そうだろう? 風俗というのは、男を癒してくれて、欲望を満たしてくれるそんなところなんだよ。俺は思うんだが、それの何が悪いというんだ? お金を払って、欲望を満たすのが悪いのだといえば、食欲を満たしてくれる食堂はどうなるんだ? 買い物をするショッピングだって、同じじゃないか? 物が欲しいと思って、お金を出して買うわけだろう? それが悪くないのに、なぜ、風俗が悪いというんだ?」
 と友達は言った。
「でも、女を買うというのは、まるで人身売買のようじゃないか?」
 というと、
「そりゃあ、昔はそういう傾向があったけどね。でも、今はそうでもないさ。女の子は好きでこの仕事をしている子も多いし、それよりも、いろいろな理由でお金がほしいと思っている人だっているだろう? 売春防止法というのがあるから、悪いことのように見えるけど、ソープランドなどは、ちゃんと法律があって、それをキチンと守っていれば、それは立派な職業なんだよ。それを影でやっていたりするところがあるのが問題なだけで、立派に看板を出して営業しているところは、風営法さえ、守ればいいんじゃないのかな?」
 と友達は言っていた。
 湧川は、ちょっと興味があったので調べてみた。
 そもそも、風営法というのは、幅が広いもので、性風俗だけではなく、ギャンブルや、スナックやバー、さらにはゲームセンター、パチンコ屋などの娯楽施設も網羅しているものである。
 そんな中で、ソープランドや、ヘルスのような職業は、性風俗に特化した、
「特殊性風俗」
 と呼ばれる分野に属している。
 これらは、基本的に、
「風営法に守られている」
 のであり、風営法が基礎になり、各都道府県の条例によって、決められているというのが、ほとんどのようだ、
 例えば営業時間は、基本的に、
「深夜時間帯を除く」
 というものらしい。
 風営法でいうところの深夜時間というのは、
「午前0時から、6時まで」
 を差すのだという。
 つまり、逆にいえば、営業時間は、
「午前6時から、午後23時59分まで」
 ということになる。
 ただし、これは、店舗型の店に言われることであり、出張、派遣型として定着している、いわゆる、
「デリヘル」
 と言われるものは、24時間の営業が許されているということになるのだ。
 さらに、それぞれの都道府県では、店舗開設が許されている地区が一部しかなく、要するに、
「性風俗営業が営める地域は、自然と集中してしまう」
 ということである。
 東京でいえば、吉原、神奈川なら、川崎の堀之内、札幌のすすきの、神戸の福原、福岡の中州などと呼ばれるところである。
 ただ、これらの有名な場所のほとんどは、元々、遊郭があった場所だとされる。そう考えれば、都道府県が設立許可をしている場所が決まってくるのも分からなくもないというものだ。
 しかし、全国は広く、かつて遊郭でも何でもなかった、それこそ、何もなかったところに突如として、風俗街が出来上がったというところもある。
 それが、琵琶湖のほとりの、雄琴や、金津園と呼ばれる地域である。特に雄琴というと、関西では、
「神戸の福原と並び称される」
 と言ってもいい歓楽街である。
 だが、なぜそのようなことになったのかという理由の一つが、都道府県における、条例の問題だった。
 関西というと、大きさや規模の面で、
「都構想」
 という発想があったほどの大都市があるではないか?
 その大阪府の条例では、
「ソープランドを作ってはいけない」
 というものがあるようだ。
 だから、歓楽街を作るうえで、いろいろ紆余曲折があったのだろう。
「風紀が乱れないようにするべきか、それとも街の活性化を優先するか?」
 というところでお葛藤があった中で、温泉街としては有名だった、琵琶湖のほとりの雄琴がソープ(旧トルコ風呂)街として脚光を浴びたのだ。
 ここは、京都からも近く、琵琶湖のほとりという観光にも適している。近くには比叡山などもあり、街の活性化には十分に役立ったということだろう。
作品名:後悔の意味 作家名:森本晃次