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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 後編

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さすがの郁も、今日の部活ばかりはあまり集中できない様子だった。瑞は瑞でそれが気になってしまって集中を欠いた。

これが自分達にできる精一杯だったと思うしかない。恵麻を加害者だと責め立てることも、理解しがたいと遠ざけることも、自分には無関係だからと突き放すことも出来なかった。

他者の命を奪うほどの攻撃は絶対に許されない。だけど恵麻が望んでいたのは許しではなかった。犯した罪から逃げたくない、目を逸らしたくない、そのために強くなりたいと、彼女はそう願っていた。彼女は自分の今後の人生への責任を果たしたいのだ。

(だから、これでよかった)

郁にもそう思ってもらいたかった。どうか元気を出してほしい。




「お疲れさまでした」
「また明日~」

鍵占めを当番に任せて弓道場を出た。今日は居残りする元気がない。伊吹も同様だったようだ。さすがの紫暮も、早々に着替えを済ませて帰り支度を整えていた。

「ちょっと郁~、なんでスカートの下にジャージ履いてんの」

女子の笑い声が背後から聞こえて、瑞は立ち止まる。

「えっと、あ~…今日、自転車だから?」

誤魔化す様に郁が笑うのが聞こえ、瑞はへなへなと座り込んだ。

(ちょっともうあの子は…)

以前の会話を思い出し瑞は頭を抱えた。お父さんみたいな自分の忠告を、こんな形でちゃんと素直に聞いてくれたのかと思うと。

(だめ、まじで…どうしよ…かわいい…)

末期症状だ。あいつのやることなしこと、どうしようもないくらいかわいいと思えてしまう。どうしようもないくらい心を揺さぶられてしまう。