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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 後編

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「おまえそんなとこ屈んで邪魔」

伊吹と並んで出て来た紫暮に冷たく言い放たれても、瑞は立ち上がれなかった。

「すまるせんせえ~!」

松前が泣きべそかきながら走ってくるのが見えた。まだ元カノとの問題が片付いていないらしい。

「元カノに復縁しよって伝えたら、東郷平八郎似のイケオジと付き合ってるから無理って言われたあ~!誰すか東郷平八郎って~!」
「…俺は明日の授業の準備があるから、受験生の伊吹くんにお聞き」

いよいよ面倒くさくなったのか、紫暮は伊吹ににっこり笑いかけた。

「ええ、俺!?えっと…確か、日本海軍の指揮官で…」
「日本海軍すか!?」
「連合艦隊を率いて、ロシアのバルチック艦隊を撃破したひと」
「艦隊もってんすか!俺そんな奴に勝てません!!」
「あの、日露戦争のときの話だから…」
「戦争すか!!」
「ちょっと落ち着けよ!!」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ先輩と、自転車を押しながら前を行く郁。瑞の視線に気づいたのか、振り返った郁が少し照れくさそうに笑う。

紫の夕焼けは消えて、零れ落ちるような星の夜がやってくる。

空はどんな人間にも平等に、移り変わる色と景色を見せてくれる。生きている限り、空がそこにある限り。





                    END.