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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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休み時間になり、またあの微妙な空気が教室中を包んでいる。誰もが恵麻への興味を持ちながら、それを必死に隠しているのがわかる。先ほどの瑞の一括は、誰もが抱えている思いなのだ。それでも、見なかったことにして平然と出来るほど、郁らは大人ではない。

教科書を見せるために、郁と恵麻は机をくっつけている。郁は彼女を一人にはできず、かといって声をかけることもできず、ただ隣に座っていた。遠巻きに感じるクラスメイト達の視線。
センセーショナルに飛び交った噂は嘘でも真実でも、それが恵麻を追い詰めているのは本当で、郁は何も言えない自分が悔しかった。

10分の休み時間が終わり、チャイムが鳴る。英語教師が入ってきて、二限目が始まったとき。

「郁ちゃん…」

消え入りそうな声で、彼女は郁を呼んだ。

「お願い…」

彼女の目からは涙がぽろぽろ零れていた。


「先生のところに、連れていって…」


郁は、ほっそりしたその綺麗な手を握って立ち上がる。

「先生!!!」
「ミス一之瀬?ワツハップン?」
「岡崎さんが体調悪いので、保健室に行ってきます!あたし保健係なんです!」
「oh…わかりました」

先生、と前の席で立ちあがったのは瑞だ。

「ミスタ須丸?」
「俺も一緒に行ってきます」
「でも、あなたは保健係ではないのでは?」
「お願いします。岡崎は昨日弓道部の見学に来て、そのときから体調が悪そうだったから気掛かりなんです。保健の先生に事情を説明してきます」