小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

INDEX|37ページ/37ページ|

前のページ
 


そんな言い分が通用するのかと思ったが、教師は「OK」とあっさり許可を出した。

(須丸くん無茶するなあ)

恵麻の手を引いて小走りに掛け乍ら、郁は瑞にそう声をかけた。ハラハラしてしまった。階段をあがって渡り廊下を走り、三階の社会化準備室をノックする。

「失礼します」

中に入ると、紫暮がいた。他の社会科教師は授業で不在のようで、都合よく一人だ。よくよく考えると、授業を抜けてこんなことをしていることを咎められるかもと、ここへ来てようやく郁は思い立つ。

(でも、怒られてもいい)

こんな状態の恵麻を、教室に置いておくことなどできないから。

紫暮は机に向かって資料を読んでいるようだったが、郁らの姿を認めて立ちあがった。

「先生、あの…」

郁が事情を説明しようとしたが、紫暮はすべてわかっているというように頷き、泣きじゃくる恵麻の前に立った。そして。

「やっと来た」

と、少し安堵したように言った。

「本当はあの夜、バス停で聞いてやるべきだった」
「先生…」

恵麻はしゃくりあげながら、紫暮のワイシャツの裾を両手でつかんだ。そうしなければ、もう立っていられないというように。


「いま、電話、かけてもいい…?」


紫暮は彼女の肩に手をおいて、かけなくていい、と声をかけた。


「ここにいるから」



                          

後編へ続く


.