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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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「紫暮さんが言ってた。あの子が事情を話してくれたら助けてあげられるって」
「はい。あたし、少しずつでも信頼してもらって、先生に事情を話してもらえるように頑張ってみますね。無理強いはしないように、気を付けます」







朝練を終え、郁と並んで教室に向かう。今日も雨模様だ。梅雨入りはもう間もないだろう。途中で美波が合流する。

「雨やだね~髪ふくらむし」
「わかる。すぐうねってなるよね」
「そういや郁、前髪つくんないの?」

美波の言葉に、二人の後ろを歩いていた瑞はどきっとする。

「顔大きく見えるから前髪作ってるんだって、言ってたのに」
「うん、でも、もうしばらくは…これでいいかなあって…」

郁が前髪を切らないのは、瑞との約束があるからなのだ。誰にも切らせないで、と、瑞の身勝手な思いの押しつけを、郁が笑顔で受け入れてくれた。いつかちゃんと彼女の思いに答えられる日が来たら。

(情けない…)

まだ、郁の思いに答えられるだけの自信がないのだ。

(顔大きく見えるの気にしてんのか…別に大きくないし、かわいいけど。でも俺が待たせてるし…)

結局のところ、自分は意気地がないのだ。胸を張ってあの子に思いを伝えられたらいいのに。



「おはー。てか何、めっちゃ静か」

教室に入ると、いつもは賑やかな教室が静かで、美波が不審がった。ひそやかな声がさざなみのように広がり、不穏な空気が流れている。

「なに、どうしたの」

そばにいた級友に尋ねると、「いや、なんかこれが…」と手にしたスマホを見せて来た。ネットニュースのサイトだ。

『女子高生飛び降り。いじめを苦に自殺か』

「これが何」
「岡崎のいた学校らしくて」