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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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ひみつ



翌朝の弓道場で郁に会う。ゆうべの恵麻の様子を聞くと、風呂に入ったあとすぐに眠ってしまったという。瑞は、伊吹と共にその報告を聞く。

「寝不足って感じだった。家ではあんまり寝られないみたい。夜中に何度も目を覚ましていたし、うちのお母さんも心配してたよ」

郁が目覚めたときには彼女ももう起きており、化粧を始めていたという。

「ちゃんとメイクして、髪も綺麗に巻いて…。それがなんか鬼気迫るんだよね」

男の瑞にはわからない。化粧をする時間があるなら少しでも寝ていればいいのにと思う。しかし郁は、それを深刻な意味と捉えていた。

「自分を守るためにするって言ってた。自分にはこれしかないって。メイクしなくなったら、もう本当の意味で何もかも失くしちゃうって、今朝そう言ってたの」

恵麻は男から見ても女から見ても、魅力的な容姿をしていると思う。だが、それを心を病むに等しい脅迫めいた気持ちで保つことに、一体どんな意味があるというのだろう。

「今日も泊まっていいからねって言ったんだけど、迷惑だから帰るの一点張り。何があったかは話してくれなかった…」
「そっか。あいつもう登校してる?」
「うん、一緒に家でたから。教室にいるんじゃないかな」

一人で、どんなことを考えているのだろう。

「あの、須丸くん…」
「ん」
「岡崎さんね、やっぱり何か視えてるみたい。おばけ…だと思うんだけど」

昨日も、教室でも、そんなふうに怖がる姿を瑞も見ていた。

「今までの事件みたいに、そういう怖い物が関係しているのかな…」

郁は心底心配そうだ。