紫に暮れる空 探偵奇談25 前編
校舎から出て来た郁と紫暮も、異変に気づいて駆けて来た。
「どうしたの、大丈夫?」
「だめなの!!優しくしないで!!」
絶叫が響いた。
「あたしのせいで死んだの!!あたしが殺したの!!あたしが、あたしが!!あの子を殺したの!!」
その言葉に呑まれたのか、郁がびくりと動きを止める。同じように言葉を失っている伊吹と、わけがわからず体を支えるしかない瑞。紫暮だけが冷静だった。
「大丈夫だから」
背中をさする紫暮に、恵麻が抱き付いた。
わんわん泣き声をあげる恵麻。その号泣の合間に、怖い、怖い、と繰り返している。
「もう許して、出てこないで、ごめんなさい、ごめんなさい…!」
彼女は何を恐れているのだろう。何が見えているだろう。
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作品名:紫に暮れる空 探偵奇談25 前編 作家名:ひなた眞白