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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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「同じクラスの一之瀬さんも、何か気になって気晴らしみたいな意味で連れて来てくれたんだと思う。大丈夫だとは思うけど、少し注意して見てやってくれるか」
「承知しました」

事情はわからないが、紫暮が言うなら何か心配ごとがあるのだろう。伊吹は詳しいことは聞かずに承諾した。


.


六時。部活が終了し、各々片付けや着替えに入る。ぎりぎりまで残って自主練習をする者もおり、主将や瑞はその中の一人だった。

「どうだった、岡崎さん」

隅の方で正座していた恵麻に、郁は話しかけた。

「すごかった…郁ちゃんもすごくかっこよかった…」
「え、そうかなあ~。昔よりはましになってるんだ、嬉しいなあ」
「あたし弓道って見るのも初めてだったからびっくりしたよ」

努力してるんだね、と恵麻は言った。ほんの少し興奮気味だった。郁にはそれが嬉しい。

「弓を引いてるとね、弱い自分と向き合えるの」

郁は恵麻の隣に座って言った。

「自分の駄目なとことか、足りないとことかそういうのがよく見えるんだ。射は常に本質を示す、って主将がよく言うんだけど、最近その意味がよくわかる。焦ってるな、とか、迷ってるなとか、自分の射に出ちゃうんだ」

そこから目を逸らさずに向き合うためには、弱さを知るのは絶対に必要なことなのだ。よくなりたい、少しでも成長したい。そう思えるから、ずっと弓を引いている。

「すごいね…」

ぽつんと言う横顔に、あの憂いが見え隠れしている。郁はその理由を知りたい。

「あの、岡崎さん…」
「主将の射だ!」
「見たい見たい!」