小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

INDEX|2ページ/37ページ|

次のページ前のページ
 


月曜日の一限目は、郁と同じ弓道部でクラスメイトである、須丸瑞(すまるみず)の兄が教育実習生として教鞭をとる日本史である。実習生とは思えぬ落ち着きと貫禄。そして私語とお昼寝は許さないというスタンスで緊張感がある授業だ。だが内容は非常にわかりやすく面白いと好評で、殆どの生徒は真剣に向き合っている。瑞は兄が怖いという理由で、朝練後の重たい瞼を何とか開けていなければと、毎週それなりの覚悟を持って授業に挑んでいるらしい。郁らには優しい先生なのだが、瑞は苦手だとしょっちゅう口にしているのだった。

「おはよう」

チャイムが鳴り紫暮(しぐれ)が入ってくる。隣に女子生徒を伴っていた。小さなざわめきが、さざなみの様に教室に広がる。

(あっ、さっきの子だ…)

女子生徒は、先ほど玄関で見た制服姿の子だった。長身の紫暮と並んでも遜色のない、背が高くスタイルのよい子だった。明るい栗色のセミロング。耳に掛けた髪の内側に、ピンクのインナーカラー。瞬きするのが重たそうなくらいの濃いまつげ。薄いが美しいアイメイクも、濃いリップもトレンドカラー。短いスカートから覗く細くて長い脚。モデルのような子だ。

(すっごいキレーな子…)

同級生とは思えない。しかし誰が見ても美人で派手な彼女の表情は、どこか仄暗く見えた。

「転校生だ。自己紹介して」

紫暮に促され、彼女は少し戸惑ったように郁らを見渡してから、「岡崎恵麻です」と言った。緊張しているのだろうか。小さな声だった。

「急なことで制服は間に合わなかったそうだ。机…は、まだか。学級委員長」
「はーい俺です」
「教材庫から一式持ってきてやって」
「喜んでェ!」

学級委員は美人の登場に舞い上がっているのか、小走りで出て行った。