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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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(このジャケット…)

返しそびれた。いや、クリーニングに出してから返さなくては。大きなジャケットは、体だけじゃなくて心も温めてくれた。冷たい雨や、諦めの気持ちや、絶対に消せない大きな罪から。

(部活…どうしよ、嫌だな。もう誰とも関わりたくない…)

ジャケットをかき抱いたまま、恵麻はベッドに寝そべった。目を閉じた耳もとで、誰かの息遣いを感じた。

「…ごめんね」

息遣いはやがてひそめられた声に変わる。

  ぜったいに ゆるさない
 
「お願い、許して…!」

耳を閉じても、声は脳内に響いてくる。逃げられない。部屋中に、ドンドンと壁をたたく音が鳴り響く。耳を閉じてうずくまり、ぎゅっと目を閉じてただ耐える。

「ごめんなさい、ごめんなさい…」

まさか。あんなことになるなんて。
思ってもみなかったの…。

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