小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

INDEX|15ページ/37ページ|

次のページ前のページ
 


(でもこの先生も、)

ぎゅっと自分の体を抱きしめる。

(知ったら、離れていく)

前の学校の教師も、親も、近所の人も、友達だと思っていた連中も、みんな恵麻から離れていった。だって恵麻は、取り返しのつかないことをしたのだ。

「…帰る」

恵麻は立ち上がった。根負けだ。教師は「そうか」とだけ言って自身も立ち上がる。

「家どこ」
「あっち」

歩き出す恵麻の頭上に傘が差し出された。そのまま並んで無言で歩き出す。足取りが重い。家に帰りたくない。でも、帰らないわけにもいかない。教師はもう何も言わないが、恵麻が濡れないように傘を掲げてくれていることは伝わった。20分ほど歩き、住宅街の一角にあるマンションの前で、恵麻は足を止める。

「家ここだから。じゃあ…」
「親御さんに説明してから帰る」
「え、いいよ…そんなの」
「転校初日から何してたって怒られたくないだろ」
「それはそうだけど…」

教師は譲らず、エレベーターに乗り恵麻の家の玄関のチャイムを鳴らす。

「…恵麻!あんた何したの今度は!」

教師が高校名を名乗ると、出て来た母親はきっと眦を上げて恵麻を睨んだ。唇を固く結んで、恵麻は俯く。

「申し訳ありません。転校の手続きや部活の見学や説明で、お帰しするのが遅くなりました。わたしの責任ですので、どうか叱らないであげてください」