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思いやりの交錯

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「マサト君は、女というものを知らないから、よく分かっていないんでしょうね? 確かマサト君は童貞だったわよね? でも、彼がちゃんと教えてくれるから安心ね。だから、大丈夫よ」
 と言っていた。
 妖艶な雰囲気がありながら、
「頼れるお姉さん」
 である。
 だから、先輩もマサトと彼女さんが一緒にいても、何も言わない。それは、マサトを信じているというよりも、それだけ彼女さんを信じているからだろう。
 二人の間で感じたことは、お互いに思いやる気持ちが強いことだった。思いやるというよりも、お互いに信頼し合っていることが、思いやることに通じるということ。それが、最先端の距離にあるということに繋がっているからだと、口を揃えていうのだった。
 別にお互いが一緒にいる時にいうのではない。一緒にいれば、恥ずかしくて言える言葉ではないだろう。
 ただ。二人の間に、
「恥ずかしい」
 という言葉は超越したものではないだろうか?
 もし、この二人であれば、遠距離恋愛をしていたとしても、絶対に別れるというようなことなどないに違いない。
 と言い切れるのではないかと思えるほどだった。
 どこから、お互いにそんな気持ちになり切れるのか?
 そのことは、二人とも、
「言葉では言い表せない」
 と言っていた。
「彼がソープに行くのは、私のことを再認識するために通ってくれていると思うのよ」
 と彼女さんが言っていた。
 普通なら、
「なんて、自惚れが強いものか?」
 と普通なら思うのだろうが、この二人に限っては。自惚れがあるくらいが、自然であり、まわりに癒しを与えるくらいに感じられる。
 マサトが彼女ができないのは、
「この二人を見ているからかも知れない」
 と、感じたことがあった。
 というおは、二人の中の睦まじさを見ていると、
「俺もこんなカップルになれればな」
 と思ってしまう。
 二人に何の障害があるというのか、ツーと言えばカーという仲を見せつけられていると、カップルというのは、
「これ以上でも、これ以下でもない」
 と感じさせられるのだった。
「先輩の性格がいい、彼女さんの性格がいい」
 というよりも、
「お互いがお互いを思いやり、それが、実に自然にできていることが、まわりに安心感を与えるのだ」
 ということであり、
「自分にも、そんなカップルになれる相手がきっと現れる」
 と思い込むことで、他の女性に行く気にはなれないのだろう。
 人から見れば、
「お前程度の男が選り好みなんかしてたら、一生彼女なんかできやしないぞ」
 と言われるかも知れない。
 しかし、先輩はそんなことは言わない。
「お前には、お前にふさわしい相手がきっと現れる」
 と言ってくれた。
 先輩の言葉なので、信用できる。
「何も焦って、彼女を作る必要なんかないんだ。焦れば焦るほど、同じように焦っている相手しか見えてこないので、そんな相手とカップルになったって、ロクなことはないさ。彼氏、彼女ができると、気持ちに余裕ができて、もっといい人がいたのではないか? と思い始めると、ギクシャクしてきて、すぐに別れることになったとしても、それは無理のないことだからな」
 と先輩はいうのだった。
 それを聞いた時、
「ああ、もっともだ。さすが先輩。俺も先輩のようになりたいな」
 と思ったことが、
「先輩についていけば、間違いない」
 と感じた一番だった。
 だから、今回のソープにての童貞喪失であったが、これでよかったと思っている。彼女ができた時、童貞でいる必要はなく、逆に経験があった方がいいのかも知れないと、感じるほどになっていた。
 ただ、どうして、先輩が風俗遊びをやめられないのか、不思議ではあった。
「あんなに素敵な彼女がいるのに?」
 という思いがあって、まさか、
「彼女公認」
 として、風俗通いをしているとは思わなかった。
 彼女さんがどこまでも寛大なのか、それとも、それだけ先輩の人徳なのかとも思ったが、もちろん、それもあるのだろうが、それだけではなく、二人の間に存在する絆と、阿吽の呼吸というものが、二人の間には存在し、それが、寛大に見えるほどの関係を示しているのだろう。
 そんな風に思うと、他の連中が、
「選り好み」
 などと言っている言葉の方が、まるでハイエナが吠えているかのように思えて、実に低俗な言葉にしか聞こえないのだった。
 そう思うと、
「俺も彼女が早くほしい」
 と思うのは、身体が反応するからであって、彼女と思える人が見つかるまで、身体が反応してしまった時は、
「風俗に行ってもいいだろう」
 と考えた。
 もちろん、金銭的に安いものではないので、その分、貯めておく必要がある。
 しかし、そのためのお金を貯めるためにバイトをすると思うと、バイトも苦痛ではないような気がした。使い道が分かっているバイトは、目的があるだけに、苦痛と感じずに済むことだろう。
「そういえば、昨日の、えりなさん、よかったな」
 と、えりなのことを思い出していた。
 身体を重ねた時の、感動や興奮よりも、一緒に会話をした時の方が、時間が経てば、思い出すことのようだった。
「どんなことを話したんだっけ?」
 とすぐには思い出せないほど、緊張していたということだろうか?
 会話で緊張するということは、彼女のことを風俗嬢と感じていたというよりも、まるで彼女として意識してしまっていたことが、会話に緊張を生んだのであろうか?
 そう思うと、嫌な思いはしないが、そんなにも、女性を前にしただけで、優しくされただけで、相手を彼女のように思うという、いわゆる、
「ガチ恋状態」
 に陥ってしまったのかと思うと、少し怖い気もした。
 だが、相手の女の子もそれくらいのつもりで相手しているのではないだろうか?
 さすがに、相手がマジ恋をしてしまって、ストーカーのようになり、出待ちしたり、後をつけられたりして、身バレなどということになるのは困るだろうが、リピートしてもらえることで、その分、お金になれば、それこそ、仕事での営業成果と同じことになるのではないだろうか?
 ホストクラブや、キャバクラなどは、そうやって営業祖力を重ねて、ナンバー1を目指していると聞く。
 そのあたりの話も、先輩からの受け売りであった。
 ホストやキャバクラの話もそうだが、ソープに関しての用語も、先輩から前もって聞いていた。
 最初は。
「聞きたくもないのに、話をするから」
 ということで、あまり嬉しくはなかったが、それでも、知識がついてくるというのは、嫌な気がしないもので、ただ、まるで耳年魔のようになっていくというのが、若干こそばゆいという感じだったのだ。
「ソープなどでは、指名にもいろいろあるんだよ」
 と言われた。
「というと?」
 と聞き返すと、
作品名:思いやりの交錯 作家名:森本晃次