小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

夜が訪れるとき 探偵奇談24

INDEX|25ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 


ごめん、と繰り返して、弟の頭をくしゃと撫でた。俯いた瑞が声を震わせて続けた。

「本当は、ずっと、そうやってわかってほしかった…」
「うん。そうだな…」
「俺は見えるだけ。強い子になんてなれなかったし、これからもなれない。弱い自分を否定されるのが、つらかったし怖かった…」

初めて聴いた瑞の本音だった。こんな風に思わせていたなんて。胸が締め付けられる思いだった。

「怖いのに、助けてくれて、ありがとう」

大きくなったけれど、今だけは、幼い頃のままの姿なのだと紫暮にはわかった。こうしてありのままを受け入れるまでに、ずいぶん時間が掛かったし遠回りしたけれど。

「…もー離して、」

頭を撫で続ける紫暮に、しびれをきらしたのか瑞が呟く。たぶん照れくさいのだろう。

「もう少しだけ、兄ちゃんらしいことさせてくれ」
「ヤダ!兄ちゃんシツコイ!嫌いだ!」

瑞は手を振り払って、紫暮を置いて駆けだしてしまった。振り払われたその手はしかし、いつまでも温かく紫暮の胸を満たした。





.