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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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夜が訪れるとき 探偵奇談24

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紫暮は走って弟に追いつく。弟は少し煩わしそうに振り返ったものの、悪態をついたり一緒に歩くことを咎めたりはしなかった。

「ばあちゃんが、来てくれた」

あのとき、警告を発してくれたのは間違いなく祖母だ。

「…うん」
「今でも、守ってくれてるんだな」

黄昏る空の下を歩きながら、紫暮は祖母に思いを馳せた。祖母の警告は、きっと瑞のもとにも届いたに違いない。バス停までの道のりを、並んで歩く。互いに無言だった。静寂を壊したのは、瑞だった。

「…俺は」

瑞は囁くような声で語りはじめた。

「やっぱり今でも怖いんだ…だから、出来れば本当は、関わりたくない、って思ってる」

思えば、小さなころから弟は怖がりで泣き虫だった。

「颯馬みたいに、祓えるわけじゃない。目を瞑ってやりすごすのが、一番なんだって知ってる。でも」

大人びた横顔が、幼い頃の泣き虫の顔に戻っている。みるみるうちに心細そうな表情になっていくのを、紫暮は胸を突かれる思いで見た。

「ばあちゃんが、優しい子になってねって、言うから。助けられるなら、助けたいって、思うんだ…」

そうか。
怖がりなだけじゃなかったんだ。弟は、怖い気持ちを持ちながらも、助けたいという思いを持って戦っていたのか…。

「ごめんな…」

知っていてやれなくて。

「俺はずっと、瑞のことを否定してばかりだった。見えないものを、弱虫の隠れ蓑にしているんだと」