夜が訪れるとき 探偵奇談24
黄昏の鼓動
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狭い部屋。
まるで独房だ。
古い絨毯はシミだらけ。木の家具はところどころ塗装が剥がれているし、天井には蜘蛛の巣が張っている。
唯一の救いは、視線の先になる小さな光。壁を通り抜け、光に触れることが出来れば、ここから出られるのに。
乾いたくちびるを動かして、「それ」を言葉にしようとする。だけどうまく声が出せない。絶望的な気分だ。だけどまだ希望はある。
希望は───
誰か足をとめて。
わたしを見て。
わたしを。
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作品名:夜が訪れるとき 探偵奇談24 作家名:ひなた眞白