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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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夜が訪れるとき 探偵奇談24

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「でもあたし、あんまちゃんと見てないかも」
「そうなのか」
「てか先生がじっくり見すぎ」

絵画に興味あるなんて知らなかった、と屈託なく成瀬が笑う。紫暮は背筋が粟立つのを感じた。

興味をもつな。見て見ぬ振りも大事。

警告に反し、自分は無意識に興味をもち凝視している。あの絵を。振り払うように会話を終わらせようと、紫暮は礼を言って教科書と資料を持った。

「ありがとう成瀬」
「いいえ~。でも先生、気を付けてね」

成瀬は笑う。

「絵って、けっこう怖いんだよ。どんな思いが塗りこめられてるか、わかんないもんね」
「思い…」
「あるじゃん、その絵を飾った家が燃えちゃう絵とか、絵を削ったら下から全然別の怖い絵が出てきちゃったとか」

怪談染みた話になってきた。成瀬は自分で言って怖くなったのか、苦笑する。

「成瀬の絵を見たよ。どんな思いで描いたのか知りたくなるような絵だった」

話題を変えて紫暮は言った。あの絵は素直に美しいと思えた。

「えー嬉しいなあ。ありがと先生!」

思いが塗りこめられている。あのくすんだ部屋の中にいる女にも、何らかの思いがこめられているのだろうか。考えまいとしても、脳裏にこびりついて離れなかった。






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