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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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夜が訪れるとき 探偵奇談24

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翌日。月曜日特有のけだるげな教室で、紫暮は授業をすすめる。いまいちピリッとしないのは、週末への未練とこれから始まる一週間へのやるせない思いのためだろう。瑞や同じ弓道部の郁もまた例外ではない。朝練の疲れもあるのか、一限目は瞼が重くなるのも無理はない。
チャイムが鳴り、日直が号令をかけた。ざわめきが戻る教室の中、紫暮は成瀬に声をかけた。

「成瀬、ちょっといいか」
「はあい」

教卓までやってきた彼女に、紫暮は尋ねる。

「なあ、展示会の会場に一つ変な絵あるだろ?」

芸術に変って失礼、と成瀬が苦笑する。

「でも先生の言いたいことわかる。あのおっきいやつね。椅子に腰かけてまっすぐこっちを見てる女性の絵でしょ?」
「それ」
「あの絵、作者も描かれた時期も何もかも不詳なんです」
「え?」
「市内っていま、空き家っていうの?それが結構問題になってて。去年世帯主が亡くなって誰も相続しないまま放置されてる空き家を、市が一斉に撤去したらしいの。そのうちの一軒が、生前絵画を蒐集してた独居老人の家だったんです。膨大な数の絵画には結構な価値がついてたらしくて、今回何点か出展されてるんですよ。あの女の人の絵も、その中の一枚」

蒐集された絵の一枚。文化展に出品した誰かが描いたものではないようだ。確かに古めかしかった。

「価値のあるものは美術館に寄贈されるみたいだけど、だけどあの絵は作者も出所もわかんないし、価値があるのかないのかもわかんない。文化展が終わったら、どうするのかな。譲ってほしい人がいないなら捨てちゃうのかな」
「成瀬から見て、あの絵ってどうなの」
「どうって?」
「技法とか、そういう意味で」

うーん、と成瀬は腕を組んだ。

「上手だなとは思う。手の皺の感じとか、リアルでしょ。でも顔をはっきり描写してないあたり粗い描き方も混在してるっていうか…」

言わんとすることは何となくわかった。