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マイナスの相乗効果

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「一歩間違っていれば、これが自分だったかも知れない」
 と感じていた。
 確かに中学の頃から、
「警察官になりたい」
 という思いはあったが、確かに、そお信憑性は次第になくなっていた。それを確定させたのは、大学時代に所属していたミステリーサークルだった。
「小説を考えていると、中学時代に警察官になりたいと思ったことを思い出してきた。本当は探偵になりたかったが、探偵というのは、なかなか実用的ではない。それなら警察官になろうと思った」
 というのが、今、刑事として、警察官をしている理由である。
 そうやって考えてみると、身元不明の被害者が誰であるかということを、いろいろ想像できるのは、
「今の自分だからではないか?」
 と、感じるようになっていた。
 だが、逆に考えれば、
「考えるだけ考えて、結局分からない」
 という結論になることにも繋がるのだろうと思うのだった。

                 犯罪の考え方

 犯人がどのような考え方をしているのか分からない。だが、この時、新山刑事は、
「この3つの事件は、必ず、どこかで繋がっている」
 という思いを持っていた。
 もちろん、根拠があるわけでもないし、確証があるわけでもない。ただ、どこかに3つの事件を結び付ける何かがあると考えていた。
 学生時代のミステリーサークルで、自分で小説を考えていたことが生きてきたのか、それとも、中学、高校時代に読んだ、戦前から戦後にかけての探偵小説を読んでいた時に感じていたものが、そう言わせるのかであった。
 探偵小説を読んでいると、まず最初委感じるのは、今との時代の差であった。
 普通では考えられないような時代背景。さらには、風俗の問題。さらには、コンプライアンスなどを考えれば、絶対に映像化ができないものだってあるだろう。
 特に、差別用語などは、今江は明らかなコンプライアンスに反する。今でいう、身体障碍者と呼ばれる人で、昔でいえば、奇形であったり、不具者などという言葉も使ってはいけないということになっているのかも知れない。パソコンの返還で、「ふぐしゃ」と打てば、
「フグ者」
 としか、変換されないくらいである。
 これはいわゆる、
「放送禁止用語」
 と呼ばれるものであろうか?
 放送禁止用語というのは、別に法律で禁止されているものではない。放送倫理には反sテイルのかもしれないが、使ったからと言って、罪に問われるわけではない。
 よく、昔の放送などで、一回目の放送は普通にされたが、再放送になると、その回の放送はカットされることが多い。
 それは、基本的に、視聴者からの苦情や、指摘によって、自主的に放送局側が、コンプライアンスを認め、今後放送しないようにするという決定から、苦情を言ってきた人に対しての謝罪を混ぜての対応ということになるだろう。
 ただ、最近のように、有料放送化が進むと、昔のドラマを放送する際、
「放送倫理にそぐわない内容もありますが、あくまでも、当時の時代背景等を考慮に入れ、なるべく番組制作時のオリジナルを尊重し、放送します」
 というテロップを最初に出して、今では明らかなコンプライアンス違反であっても、放送しようというのが主流なのかも知れない。
 もちろん、新作ではできないが、昭和の時代のドラマなど、今ではNGとなるような番組であっても、あえて最初にテロップを流すことで、放送している。それを問題なしとしているのは、
「最初にテロップを流しているのだから、嫌なら見なければいい」
 という考えであろうか。
 民放と有料放送の一番の違いを考えればわかることだ。
 民放の場合の、資金源は、あくまでも、スポンサーである。スポンサーを怒らせてはいけないというのは、なんといっても、放送することで、視聴者に番組に対しての嫌悪感を与える。
 それはまさに、スポンサーに対しての苦情でもあるわけだ。
 せっかく宣伝のために番組を提供しているのに、なぜ視聴者を敵に回さなければいけないのか? そうなると、
「視聴者は神様です」
 といわんばかりに、スポンサーは視聴者には完全に弱いのだった。
 しかも、番組はそのスポンサーに完全に弱い。そうなってしまうと、放送できないということ一択でしかないだろう。
 だが、これが有料放送ということになればどうだろう?
 有料放送というのは、基本的に、民放のように、視聴料がただというわけではない。視聴者から月額でお金を取って、放送番組を制作し、提供するというもの、あるいは、昔の番組を流したりして、視聴者が、見たい番組をチャンネル側が作成し、お金を払うことになるわけだから、有料放送の場合は立場が逆転するわけだ、
 今まではスポンサーが一番強く、スポンサーの意向で番組が作られるわけなので、視聴者はおざなりにされる。しかし、今度は視聴者がスポンサーなのだ。だから、視聴者のために番組を作る。だから、余計なコマーシャルはほどんどない。たまに、テレビショッピング系のものはあるが、それ以外は完全に視聴者優先なのだ。
 そういう意味で、昔の番組で民放であれば、放送できないようなものでも、テロップを流すことで放送ができるというものである。
 昭和初期の探偵小説というと、そういうものが結構あったりした。何しろもののない時代、戦前などは、ほぼ毎月といっていいくらいに、いろいろな事件が発生していた。世界は、植民地時代であり、日本はまわりの国に乗り遅れないようにしないといけなかった。
 明治時代には、日清、日露の2大戦争を乗り切り、世界の大国に肩を並べた。何といっても、隣国中国への乗り遅れと、ソ連の脅威から、時代は、混迷を呈していた。
 朝鮮半島を手に入れ、満州を手中にしたと言っても、そこから南下して、北京攻略路線に走るか、満州を固めて、ソ連の脅威に対するかで、陸軍内部でも、もめていた李したものだ。
 そんな状態から、大正末期に起こった
「関東大震災」
 さらには、その混乱の中での、昭和恐慌、さらには、ニューヨークにおける株の大暴落からの世界恐慌と、混乱が続いたことで、資源の少ない日本が、中国に進出し、
「宣戦布告のないシナ事変」
 を引き起こしてしまったことで、すっかり、日本は孤立していった。
 大東亜戦争は、昭和16年から起こったが、その前のシナ事変などから、日本の国は、
「戦時体制」
 に突入していた。
 すでに、防空訓練であったり、国家総動員体制であったり、物資も配給制となり、
「欲しがりません、勝つまでは」
 などという、戦時体制が確立していたといってもいいだろう。
 そんな時代のことなど、普通は気にしないだろうが、新山刑事は、中学時代から、歴史が好きだった。
 特に明治維新から以降、戦後すぐくらいまでの歴史に興味があったのだ。
 新山刑事が、中学時代くらいに、親がテレビを有料放送が映るように、スカパーと契約をした。
 元々は、野球が好きな父だったので、
「好きなチームのホームゲームを、試合開始から終了まで見ることができる」
 という触れ込みで、契約したのだった。
 その時代は父に限らず、結構まわりの人も、スカパー契約をしていた。
作品名:マイナスの相乗効果 作家名:森本晃次