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二重人格の螺旋連鎖

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 ということになり、年金などというのは、
「過去の遺物」
 となることだろう。
 そんな時代に、どうして子供を晒すことができるというのだろう。
 どうせ先のない世の中だったら、自分の関係者をそんなところに晒したくないと思うのは当たり前のこと、自分が生きるだけで精いっぱいの世の中を、ただ生きているというのが、今の時代なのだろう。
 そして生きていくためには、仕事はしないといけない。そのためにたまったストレスは自分で何とかしなければならないのであるから、なりふり構ってはいられないということだろう。
 男である以上、性欲があるのは当たり前のこと。癒しを求めるには、公営風俗を使うのが、一番いいだろう。
 下手に彼女など作ってしまうと、結婚問題が出てくると、厄介でしかない。
 特に相手が、
「子供がほしい」
 などと言い出すと、自分の計画がまるっきり変わってしまうことになるだろう。
 だから、彼女が欲しいとは思わない。今のいわゆる男女ともに結婚適齢期と言われるこの時期であれば、特にそうである。
 桜井の家族は、結構あっさりとしていた。母親は実の母親なのだが、父親は再婚相手だった。
「お母さんの結婚適齢期の頃には、成田離婚などと言って、離婚する夫婦が急増していた時代だったんだよ」
 と母は言っていた。
「どうしてなんだい?」
 と聞くと、
「結婚には、自分たちの価値観が大切だと思っている人が多かったんだろうね。付き合っている頃には分からなかったことが、結婚して一緒に暮らし始めると、それまで見えていなかったことが、一気に見えるようになってきて、そうなってしまうと、お互いに離婚ということに抵抗がなくなってしまって、簡単に離婚する人が増えてきた。前は、戸籍に傷がつくなんて言って、躊躇うことが多かったけど、成田離婚などと言われるようになると、離婚をためらう人は減ってきたんだろうね。そのうちに、バツイチの方が恰好いいなどと言われるようになっていってね。離婚したことを棚に上げて、なんて時代になったんだって感じたものだったよ」
 と、母親は言ったのだ。
 そんな母親の話を聞いていて、しかも、10年前の年金を消した政府への諦めの心境。
「政府をあてになんかできない」
 という思いがあり、さらに、環境問題などを考えていくと、とても、子供たちに、
「未来がある世の中」
 などということをいうことができるわけのない時代になってきたのだ。
 きっと政治家も分かっているのだろう。
 だから、自分が権力を持っている間、いかに自分のためにということを各々が考えてしまうことで、世の中を動かしていく立場として、血税で暮らしている分際にも関わらず、自分勝手に生きようとするのだから、よくなるわけなどないというものだ。
「政治家が最後は、世の中に引導を渡すことになるんだろうな」
 と、桜井は感じていた。
 そうなると、結婚や、子供を作ることにどんな意味があるというのか、逆に結婚したり子供を作ることは罪だと思うようになってくると、あとは個人でいかに、この世を楽しむかということになるのだ。
 どんなに政府や、マスゴミがきれいごとを並び立てようとも、結局は、滅亡しかなく、それがいつになるかというだけのことだ。
「盛者必衰のことわりを表す」
 という言葉、まさにその通りである。
 そういう意味では、現代人というのは、ある意味、
「平家一門」
 といっても過言ではないだろう。
 源氏によって滅ぼされるわけではなく、自分たちで自分たちの首を絞めていた。知らなかったことも多かったとはいえ、良かれと思っていろいろな開発が、自分の首を絞めてきたのだ。
 権力を持ったものは、いくら民主主義の時代だとはいえ。いや、民主主義であるからこそ、余計に、自由奔放になることが、正義ということになり、誰も気づかないという自由の弊害が、
「時すでに遅し」
 という状況を作りだしてしまうのであろう。
「たぶん、とっくに、ピークという意味の飽和状態は過ぎてしまい、それがバブルが弾けた時とは違い、今度は徐々に萎んでいく」
 そうなると、何も知らずに、どんどん小さくなってきていることに気づかずにいると、気づいてしまったその時には、もう誰にもどうすることもできなくなってしまうのだ。
「どうせ、助からないのであれば、自分たちが生きている間、何もなければそれでいい」
 と考える人が増えてくるだろう。
 年配の人は、
「ある程度生きてこられたのだから、もういいだろう」
 と思っているかも知れないが、若者とすればたまったものではない。
 親の代、いや、その前の世代から、世の中を少しずつ壊していったのだから、
「そのつけを、どうして自分たちが払わされることになるんだ?」
 と考えると、もし、自分たちの代が大丈夫であっても、その先の代が破滅に向かうのだとすれば、
「世の中、自分たちの代で終わればそれでいいではないか?」
 と考えるようになり、子供を育てるという、そんな面倒なことをしたくないと思うのは当たり前のことだ。
 だが、今の若い連中にそこまでの考えがあるのだろうか? 単純に、結婚しても、子供ができれば、面倒臭いだけでhないか。
 と考えているだけなのかも知れない。
 問題は本能として残っている性欲をどうするかということであるが、それは、金が解決してくれる。
「お金で、時間と癒しを買うんだ」
 と思えば、別に問題はないではないか。昔は、
「お金で女を買う」
 ということへの罪悪感のようなものがあったというが、今は逆に後腐れがないという意味で割り切っているといってもいいではないか、
 好きになってしまうと、精神的にきついかも知れないが、お互いに、
「疑似恋愛」
 として、癒しを求めると考えれば、ある意味、友達感覚であったり、恋人気分を味わうということであれば、割り切ったという意味で問題もないだろう。
 下手に出会い系などを使って、素人と出会ったりすると、少し前であったりすれば、美人局などがあったりして、問題になることだってあっただろう。
 その点、ソープランドであれば、公的に市民権があるものなので、風営法という法律の定める範囲内であれば、合法なのだ。そういう意味では、煩わしさもないし、お金さえあれば、癒しを受けることができる。マッサージであったり、アロマテラピー、さらに、リラクゼーションなどというものと変わらないといってもいいのではないだろうか。
 昔からある、
「売春防止法」
 という法律との間で、判断が難しいところもあるのかも知れないが、風俗営業という意味で、
「法律の範囲内」
 であれば、問題ないのであろう。
 ただ、金銭的にそんなに安いものではない。普通のサラリーマンであれば、月に一度いければ、いい方なのではないだろうか。
 そんな、給料から無理のない範囲で、
「遊んでいる」
 桜井であったが、最近、古風なものに興味を持つようになった。
 最近では、かなり減ってきた、
「ストリップ劇場」
 というものである。
作品名:二重人格の螺旋連鎖 作家名:森本晃次