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天ケ瀬三姉妹

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 そんなのは、プライドが許さないというべきか、体の震えが止まらなくなるくらいであろう。
「そんな暇があるなら、次回の応募に向かって、新しい作品を考えている方がマシだ」
 というくらいのものである。
「嫉妬が、自分を逞しくしてくれる」
 それくらいに思わないと、自分に先はないと感じるのだった。
 さらに今度も同じ理由で自分で認めたくないジャンルとしては、同人、二次創作なるジャンルである。
 これこそ、
「何が悲しくて、人の作品の続編であったり、下手をすれば、盗作まがいなことをしないといけないのか?」
 と感じるのだ。
 二次創作という名前のジャンルがあるのだから、盗作では決してないと分かっているのだが、自分の中で許せない。
「二次創作が許せないから、ノンフィクションが許せないのか、ノンフィクションが許せないから、二次創作が許せないのか」
 確かに、読者側からすれば、二次創作だろうが、ノンフィクションだろうが、
「面白ければ、どっちだっていい」
 ということになるだろう。
 しかし、それは、
「小説を書くことのできない連中の遠吠えでしかない」
 と考えると、小説を書ける人間からすれば、アイデアを丸パクリに近い、二次創作を許せないのだ。
 考えてみれば、小説執筆というのは、
「読者が読んでくれるから、書くのだ」
 ということで、
「読者ありき」
 なのだろうが、それをいうのであれば、
「作品がなければ、読者が読むことはできない」
 ということになる。
 この考え方は、売買契約に似ているような気がする。
「ものがあり、金でそれを買うというのだから、本来なら、同等なもののような気がするが、なぜか、金で物を買う方の人が立場は強い」
 ということになる。
 それはそれだけ金の価値が強いからなのだろうが、価値があるのは、作品のはずだ。それなら、なぜ、絶対的な立場が作者にないのか? これはあくまでも作者側から感じるものだが、理屈で考えれば、おかしいことではないはずだ。それが納得がいかない限り、読者の立場が強いというような考えは、やはり納得がいかないのだ。
 それでも、自分の経験に基づいたオリジナル小説が多い気がする作者のジレンマは、
「書きたくないもの」
 などの存在を考えると、それが今も絶えず書き続けている理由なのかも知れない。

                 天ケ瀬三姉妹

 F県の田舎町に、三姉妹が住んでいた。その三姉妹というのは、田舎町にいる間は、まだ皆小学生だった頃など、近所でも有名な美人三姉妹ということで、少し評判であった。
「小学生くらいで、何が美人だ」
 という口の悪いことをいう人もいたが、母親が評判の美人であり。三姉妹がそれぞれ、どんどん母親に似てくることから、誰が言い出したのか。
「美人三姉妹」
 という表現が定着してきた。
 だが、この三姉妹、いうほどそれぞれが似ているわけではない。それも成長とともに、明らかになってくることなのだが、やはり、思春期くらいから、その違いが顕著に見えてきた。
 三人、それぞれ形容が違っていた。長女はキレイ系で、次女は清楚系、三女は可愛い系という感じの言われ方をしてきた。ただ、
「美人」
 という表現に変わりはなく、それぞれに学校時代、ファンがついていたのだ。
 ただ、三人の男性の好みは結構似ていた。中学時代など、よく、次女と三女の間で、好きになった男の子が一緒だったようで、喧嘩になったりしていた。
 その時に、やっと、
「私たちって、男性の好みが一緒だったんだ」
 と感じるようになったようだ。
 実は長女は、ウスウス気づいていたが、
「下手にそれを口外して、わだかまりを作る必要もないわ」
 と思うのだった。
 ただ、長女が他の二人と男のことで喧嘩をすることはなかった。
 だからといって、好きな相手がバッティングしなかったわけではない。あくまでも長女が最初に気づいて、自分がそのまま諦めることで、事なきを得ていたのだ。
 長女は、二人の妹に対して、責任のようなものがあると思い込んでいた。小さい頃に母親から、
「あなたはお姉ちゃんなんだから、妹たちを大切にしなさい」
 と言われてきたからかも知れない。
 しかし、これは、この三姉妹に限らずであるが、兄弟姉妹がいれば、年上が一番多くもらえて、下に行くほど、冷遇されるというのは、昔からの「あるある」である。
 特に服などは、妹たちは、お姉ちゃんのおさがりを着せられるというのが、よくあることであった。
 昔のように、日本全体が貧しいわけではないので、普通に服は買ってもらえる時代にはなったのだが、
「長女優先」
 という考え方は、古くから受け継がれてきて、
「悪しき伝統」
 ということで、今でも息づいているのであった。
 そんな三人の姉妹も、世間一般の姉妹とそんなに変わらない。どこにでもいる三姉妹だったのだ。
 この三姉妹は、性格的には似ているのか似ていないのか、よく分からない。ただ、気性という面では、似通っているわけではない。それは、他の三姉妹と同じである。
 ただ、他の三姉妹と似ているところがあるように思うのは、
「三姉妹だったら、それぞれに、こういう気性なのだろうな?」
 という感覚を皆それぞれ持っているからではないだろうか。
 これは、姉妹に限ったことではなく、三兄弟にも言えることだ。
 ただ、三兄弟との違いも実はハッキリとしていて、その部分がこの三人に顕著に出ていることから、
「余計に、他の三姉妹とよく似ているんだ」
 と思われるようになったのだろう。
 この三姉妹を、皆、
「天ケ瀬三姉妹」
 と呼んでいたのだ。
 天ケ瀬三姉妹のうち、次女であるゆかりは大学一年生であった。
 彼女は、三人の中で一番活発だった。どちらかというと、思ったことを口に出さないと気が済まないタイプだったのだが、小学生の頃、学校で苛めに遭っていたのを知っている人はどれだけいるだろう。
 時期としては短いものだったので、兄弟二人にもギリギリ気づかれないくらいであったが、お姉ちゃんには、気づかれていたかも知れない。だが、それを気遣う前に苛めがなくなっていたので、姉もわざわざ気を遣う必要もなく、
「事なきを得た」
 という状況になったのだった。
 ゆかりを助けてくれたのは、三姉妹の幼馴染である、渡良瀬一郎という少年だった。
 少年といっても、それはゆかりと助けてくれた頃のことで、今は大学三年生の青年になっていた。大学三年生というと、姉と同じ学年であり、元々姉とクラスメイトだったのだ。
渡良瀬少年も天ケ瀬三姉妹と仲良くなり、子供の頃はよく遊んでいたりしたものだ。
 親同士も仲が良く、母親同士は、よく一緒に出かけていたりしたものだ。小学校の頃は、よく母親が学校行事に参加していたこともあって、子供が仲良くなると同じくらいに、母親の方でも親交があった。
 姉が家に帰ってきて、
「遊びに行ってきます」
 というと、
「どこに行くの?」
 と聞かれて、
「お友達のところ」
「お友達というと?」
「渡良瀬君のところ。最近仲良くなった」
「うんうん、渡良瀬君なら大丈夫ね。お母さんにもよろしく伝えてね」
 と母親がいうのを聞いて、姉は少し怪訝だった。
作品名:天ケ瀬三姉妹 作家名:森本晃次