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歴史の傀儡真実

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 という考えが浮かんでくるのだ。
 そう思うと、比叡山を焼き討ちにされたりした僧兵や僧侶たちが協力して、
「打倒信長」
 で結束したとも考えられる。
 では、そこで、
「信長をそそのかしたキリスト教を後ろ盾にしたのは、どこの国だろうか?」
 ということになる。
 当然、キリスト教を広めた張本人である、
「スペイン人」 
 あるいは、
「ポルトガル人」
 ではないだろうか。
 彼らは別に聖人君子ではない。
「植民地獲得のための工作員」
 といってもいいのではないだろうか。
 実際に東南アジアの国などは、キリスト教を広めるために、その国内で信者を増やしていく。そのうちに、国が混乱するようなことを信者に吹き込んで、実際に国が混乱してくると、そこに自分たちの国の軍隊が入ってきて、制圧することになり、気が付けば、植民地にされていたということである。
 つまり、キリスト教布教のための宣教師は、ただのクーデターの工作員だということになる。
 信長はそのことをわかっていたのだろうか?
 一応、不況を許しながらも、
「政治への口出しは許さん」
 とは言っている。
 たぶん、危険性は気にはしていたが、貿易での利益と天秤にかけたのであろう。どっちが重たかったのかは、ハッキリとはわからないが、貿易による利益だったのだろう。
 布教に関しては、目を光らせていれば大丈夫だし、何よりも、仏教の坊主たちに対しての刺激になると考えたのではないだろうか。
「ひょっとすると、キリスト教と、仏教の衝突を考え、キリスト教が、仏教の抑えとして使えると考えたのかも知れない」
 とも思えるのだ。
 共倒れでもしてくれればいいと考えたとすれば、信長も、なかなかの策士ではないだろうか。
 そんな状態で、
「均衡を守ってきた」
 のであるが、今回の均衡を招いた調本人が、信長だということに気づいたのだとすれば、いや、それよりも、このことを密告したのが、光秀だとすれば、光秀と宗教団体とでは、結びつきがあったと考えられ、光秀をそそのかしたのが、宗教団体だとすれば、信長を葬ることで、キリスト教も追い出すことができると考えたのだといえるだろう。
 キリスト教が、どれほどのものなのか、彼らにはもわかっていないが、まずは、信長を倒すことを優先し、そのあと天下を握るのが、光秀だとすれば、自分たちにとって、操りやすい人物でもあり、天下取りに一役買ったということで、これから有利にふるまえるということになるのだろう。
 ただ、キリスト教の方も、そう簡単に信長がやられるのを見過ごしたとも考えられない。
 確かに信長を立てておけば、自分たちの立場は安泰だと思ったのも事実だが、スペイン人には、それ以外にも、別の問題を抱えていたのかも知れない。
 そし、それが、蝦夷地のイギリス人と絡んでいるとすれば、面白いといえるのではないだろうか?
 本国では、イギリスと、スペイン、ポルトガル系の民族では、争っていたはずだ。キリスト教布教においてもそうだが、元々、蝦夷地でイギリスが暗躍しているのも、スペインとしては、気に入らなかったのかもしれない。
 しかし、だからと言って、イギリスのやっていることを表立って避難もできない。なぜなら、イギリスが推している
「南部蝦夷地」
 というものが、ロシアの推す、
「北部蝦夷地」
 と対峙しているからである。
 それぞれの国の立場を考えると、この二つの均衡を今崩すのは得策ではない。蝦夷地で緊張してくれている間に、日本本土を植民地にしてしまえば、北部蝦夷地だけを根拠地として、ロシアも簡単には攻め込んでくることもできないだずだからである。
 だが、スペインが知っていたかどうか分からないが、イギリスが、本土において、ひそかに暗躍している動きがあるのだった。
 もし、それを知っている人間がいるとすれば、信長ではなかったか。だから、日本において仏教が余計な力を持つのを嫌ったのだ。
「もし、仏教勢力に、イギリスが絡んでくると、我々としても、勝ち目はないかも知れない」
 と思っていたのだ。
 スペインの方も、利用するだけ利用しようと思っているので、海外勢力をやたらに増やして騒動を起こすのは、望ましくないと思っていたはずである。
「宗教団体は、内外を問わず、厄介なものだ」
 と、信長は感じていたことだろう。
「いらない部分は徹底的に排除して、利用できるところは利用する」
 というのが、一番であった。
 そうやって考えてくると、
「本能寺の変」
 という事件の黒幕がいるという説はかなり信憑性があるのだが、まさk、
「海外勢力の覇権争い」
 という構図が見えてくるとは、思ってもみないことだろう。
 しかも、日本本土としては、
「イギリスとスペイン」
 というのは、想像がついているだろうが、まさかそこにロシアという国が絡んでいるとは思ってもいないだろう。
 そもそも当時の日本には、ロシアなどという国が存在しているということすら、分かっていないのだから。
 ロシアの暗躍を一番懸念しているのがイギリスである。もちろん、スペインもロシアを警戒はしている。そういう意味で、イギリスとの共通の利害があるとすれば、
「ロシア対策」
 ということであろうか。
 今のところ、ロシアが、何の目的で、北部蝦夷地を占領しているのかということはイギリスにもわかっていない。
 だから、イギリスが表だって出てくるのではなく、南部にアイヌ民族によって築かれるという、
「南部蝦夷地」
 を、かつての本土の武将にやらせるとう方法をとったのだ。
 集団で何かをするには、アイヌに任せておけばいいが、曽その場所を占領し、統率できる人間は、アイヌにはいない。
 そこで、内地からの武将を利用して、この土地をおさめさせようというのだ。
 イギリスが表に出てきていないので、ロシアの方も、
「アイヌ民族も、侮れない」
 と思わせることができるのだ。
 決して油断しているわけではないだろうが、ロシアも、自分たちが占領し、奴隷のように扱っているアイヌ人に、いつ寝首を掛かれるか分からないということで、なかなか、動くことができないでいるのだった。
 イギリスとスペインは、最初、お互いに睨み合っていたが、蝦夷地の沙汰を考えているうちに、それぞれ話し合いを持つようになっていた。
 そこで考えたのが、日本本土への政治介入だった。
 得意の諜報戦略を使って、当時の日本の体制を調べ上げた。
 封建制度の元、京都の室町に幕府を築いた足利氏であったが、次第に勢力が衰えてきて、応仁の乱において、決定的なダメージを受け、そこから先は衰退の一途だった。
 諸国には、元々守護大名というものがあって、それが群雄割拠お戦国大名となり、戦に明け暮れる、戦国の世となってしまった。
 日本には、昔からの、万世一系である、
「天皇」
 というものがいて、
 いくら幕府の勢力が強くても、日本の元首といえるものは、天皇でしかないということになっているのだ。同じ王国でも、イギリスや他の国とは大違い。実に感慨深い国だということだ。
 そこでスペインも、イギリスも考えたこととして、問題なのは、
「信長の使い方」
 だった。
作品名:歴史の傀儡真実 作家名:森本晃次