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歴史の傀儡真実

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 相手に援軍が飛びこんできただけで、相手は浮足立つのだ。これは、いつ来るか分からない援軍が来たわけではなく、最初から計算していたことなので、作戦のうちである。十分に寝られ。さらに戦法として訓練を重ねた熟練した作戦なのである。
 相手は、向こうが寡兵だということで油断した時点で、すでに勝敗は決していたといってもいいだろう。
 ただ、これは、成功すれば、褒められる作戦だが、失敗する可能性も大きい。
 もし、相手が油断しなければ、相手の方が兵力は上なので、どうすることもできないだろう。
 それどころか。相手も、別動隊を組織して、本体を挟み撃ちにしたつもりで、さらに、そのまわりから攻め込まれると、どちらが袋のネズミなのか分からなくなってしまう。つまりこの作戦は。
「諸刃の剣」
 だといってもいいだろう。
 とはいえ、油断を引き起こさせるのも、先述の一つ。油断を起こさせるという意味で、こちらが
「烏合の衆だ」
 と相手に思い込ませるのも、その一つではないだろうか。
 繊維がまったく感じられないように見えるのもそうだし、やり方としては、相手に、
「こちらが油断していると、相手に油断させる」
 という方法もあったりするだろう。
 また現代の戦争においてであるが、普通に考えて勝ち目のない相手とどうしても、戦争をしないといけないまでに追い込まれてしまうと、
「いかに、負けないか?」
 ということが重要になってくる。
 たとえば、日露戦争であったり、大東亜戦争のように、日本のような小国で、さらには資源に乏しい国が、世界の大国に挑むのであるから、勝つというよりも、
「負けない戦争」
 をする必要があるのだった。
 その方法としては、
「まず、初戦で、奇襲でもいいので、相手に衝撃的な痛手を与え、戦意を喪失させたまま戦争を行い、一気呵成に勝てる時にできるだけ勝っておき、その時点で、相手に和平を申し込む。このまま戦争を続ければ、相手が勢力を盛り返してくることが分かっているのであるから、いわゆる、勝ち逃げをするしか、小国が大国に勝つ、いや負けない方法はそれしかない」
 ということである。
 日露戦争の時はそれでうまくいき、できるだけの好条件で講和を結んだ。ただ、戦争賠償金を得られなかったことで、日比谷公園焼き討ちなどとうう事件も起こったが、それも仕方のないことであった。
 しかし、大東亜戦争の時は、せっかく、計画通りに行っていたのに、軍部や政府は、戦争のやめ時を見誤ったのだ。
「戦争は、始める時よりも終わる時の方が数段難しい」
 と言われる、
 話は変わるが、
「離婚は、結婚する時よりも数倍のエネルギーがいる」
 と言われるのと、同じなのであろうか。
 政府の役人が、当時の東条首相に、
「和平を持ちかけるなら今です」
 と進言した。
 この進言は、実に的確で、
「なるほど、今なら最高の条件で講和が結べるかも知れない」
 というものであったが、ソーリの頭の中には、
「何をいう。ここまで来て戦争をやめられるか」
 ということがあった。
 要するに。
「勝ちすぎた」
 のである。
 勝ちすぎるというのも、油断に繋がり、負けない戦争をしないとおけないのに、勝つ戦争に戦争自体の主旨が変わってしまったのだから、本末転倒である。
 ここがピークだということを分かっていないと、ここから先はどんどん、追い込まれていき、一度は最初に負けない戦争を始めていて、途中から、勝てる戦争に方向転換したのだから、意地でも引くに引けなくなったのだろう。
 戦争継続を主張した自分の責任転嫁をしたいというのもあったであろうし、何よりも、天皇の戦争責任と、天皇制自体の、国体維持ができるのかどうか。そのあたりも難しくなってしまうだろう。
 そんなことを考えていると、戦争は泥沼化してしまう。ここでの敗戦の一番の原因は、
「勝ち過ぎたことによる戦局を見失った」
 ということで、油断と言っていいのか分からないが、東条英機たるものが、アメリカの軍事力を過小評価していたとも思えない。
 ひょっとすると、民衆の戦争への高揚と、さらには、それを煽るマスゴミによって、
「もう自分ではどうすることもできない」
 というほどに、世間が戦争遂行するしかないと思ったに違いない。
 もし、あそこで講和に持ち込んでいれば、日本の滅亡はあの時点ではなかったかも知れないが、果たして群衆が黙っているだろうか?
 日比谷公園の焼き討ちくらいでは済まされないに違いない。
 それは、国家というものの興亡を考えると、あの時に、戦争をやめるという選択を、一国の首相ができたのかどうか。実に難しいところである。
 今も昔も、戦争における、世論とマスコミというものは、敵に回してはいけないものだ。そのことを一番分かっていたのは、当の、東条英機だったのかも知れない。
 だからこそ、情報統制によって、戦争遂行に突き進んだのだとすれば、その方法は戦争を始めてしまった以上、やめることができないという中で、できる最大の方法だったのかも知れない。
 一つ、不思議なことがあるのだが、史実の中にある
「本能寺の変」
 という事件があるが、この事件を、
「歴史上の不可解な事件」
 として言われている。
 もう一つの大きなものとしての、坂本龍馬暗殺事件と比較されることになるのだろうが、その一番不可解なこととして言われるのが、
「黒幕は誰か?」
 ということである。
 言われている話としては、
「朝廷黒幕説」
「室町将軍黒幕説」
「羽柴秀吉設」
「宗教団体設」
 さらには、
「長曾我部元親設」
 というものもあった。
 朝廷というと、一つ気になるのが、信長が建立した安土城において、天皇を招き、宿泊できるところを作っているが、それが信長の住まいよりも低いとことにつくられたということで、
「信長は天下統一のために、朝廷を従わせようとしているのではないか?」
 と言われていることであた。
 しかし、考え方を変えると、
「自分が天皇よりも上だということを、家臣たちに示すことで、自分の権勢を絶対のものにすることで、平和を武力によって統一するという「天下布武」を実践しようとしているのかも知れない」
 ということである。
 もし、朝廷がたくらんだとしても、信長を倒して、光秀を担いだとして、権威が朝廷に戻ってくるとも考えにくい。
 その次としては、足利幕府という考えである、
 なるほど、十五代将軍、足利義昭は、信長の力によって、京に戻り、将軍につくことができたのだが、その権威を信長に示そうとしても、信長は靡かない。
「副将軍にしてやろう」
 と言われても、所望するものは、
「堺の港」
 というだけだった。
 確かに堺の港は、商人の力が強く、他とは違った、
「特区」
 としての、体制がつくられていた・
 商人を味方につけておけば、経済的に困ることはない。しかも、鉄砲を手に入れるには、堺の町を手中にしておくと、直輸入もできる。
 信長は、堺の町で、鉄砲鍛冶を育成することも行った。自国製造と、輸入の二本立てである。
 しかし、さすがの信長も、それよりも前に、イギリス人の手によって、蝦夷地に鉄砲が伝わっていたということを知る由もなかった。
作品名:歴史の傀儡真実 作家名:森本晃次