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「軍人の魂」と、「知恵ある悪魔」

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 なぜなら、封建制度というのは、上下関係で社会が成り立っているわけで、支配されるものたちが生産したものから年後を取り立て、それが、支配階級の、給与となるわけだ。
 その見返りに、支配階級は、支配される連中の土地を保証し、本来であれば、安心して農民であれば、田畑を耕し、コメを生産することができる環境を保証するものであった。
 政治体制というのは、うまくいっている時が、それが正義となるもので、いくさがあった時など、石高によって、兵士を供出し、支配階級による指揮によって行動し、自分たちで自分たちの土地を守るということをしていたのだ。
 ただ、問題は外敵であり、いくさに勝っても、領土が得られない環境であったりすれば、この封建制度というのは、根本から崩壊する。
 また、気象変化などによって、日照りが続いたり、豪雨に見舞われたりして不作となれば。それは予期せぬ出来事として、年貢が免除されればいいが、そんなことはない。支配階級は、それでも年貢を収めさせるようにして、農民を縛るのだ。
 それでも支配階級が食べていけないほどになれば、農家も悲惨なことになり、
「土地を捨てて、逃げ出す」
 という者もたくさん出てくるだろう。
 そうなると、本末転倒というもので、
「農民がいないのだから、土地があっても、天候は良好であっても、農作物はできるわけがない」
 ということになるだろう。
 そういう意味で、幕府や藩の支配階級とすれば、
「農民を土地に縛り付けておかなければならない」
 ということから、職業選択の自由というものを奪うしかないのだった。
 だから、
「士農工商」
 という身分制度は、いわゆる奴隷制度というものとは、最初から考え方が違っていて、そういう意味で、身分制度というものの存在は、
「理由は一つではない」
 と言えるのではないだろうか。
 それを考えると、勉強もしていなければ、身分制度と奴隷制度を単純に同じようなものだと一絡げにして考えて、本当の意味を見失ってしまうことになるだろう。
 だから、
「歴史の勉強」
 というのは、必要なことだといえるのではないだろうか。
「過去に学ぶことで、これから先の自分がいかに判断していくか?」
 ということを学ぶ学問を、歴史というのだ。
 これが、前章での、
「禅問答」
 に繋がってきているのかも知れない。
 それを思うと、禅問答というものを勉強するのも、歴史を勉強するのも、同じところに到達するのではないだろうか。もし、そこに宗教が存在しているとするならば、それこそが宗教の存在意義なのかも知れない。

 ある時、ある国で、急に株価が上昇したことがあった。株価というのは、信用があれば、買いに走り、市場に数が少なくなり、株価が上がる、しかも、誰かが買い占めに走ったということは、
「株価が上がることを見越しての買い占め」
 ということであり、そこには、その株を発行する企業が、絶対の信用を示さなければ生まれないものである。
 この時、株価上昇に対して、全体的に株価が上昇したわけではなく、一つの企業が数日の間に、急に株価が下落したことで始まった。
 何が原因なのか、その時は分からなかったが、その会社の株価が数日間下落を始め、
「このままでは、この会社は潰れてしまう」
 というのは目に見えていた。
 ただ、これくらいのことは株価市場では、別に珍しいことではない。却って、目に見えないところで毎日のように出ては消えていっていることだった。
「いつの間にか、倒産していた」
 などというのはよくあることで、それが、広範囲における株価への影響を及ぼすようになって、投資家や経済専門家が騒ぎ出すことで、社会問題になるのだろう。
 そんなことは分かり切っていることなので、この現象の最中には誰も何も言わなかった。逆に騒ぎ立てる理由があるわけではないので、騒ぐ理由もないし、騒いだとしても、そこは、
「オオカミ少年」
 で終わってしまうということだろう。
 ただ、実際には、
「何か変だ」
 と思っている人もいるにはいた。
 しかし、
「オオカミ少年」
 になることを恐れたのか、オオカミ少年になることで、経済がガタガタになってしまうことを恐れたのか、何も言えなかったのだ。
 本当であれば、その会社の業績から言って、株価は上昇することはあっても、下落することはない。しかも、ここまで一気に下落するのは、おかしいということである。
 怪しいと感じた人がそこで感じたのは、
「裏で糸を引いている何かがあるんだ」
 ということであった。
 それが何なのか分からない。分からない以上、下手に騒ぎ立てられないし、
「騒ぎ立てることで、相手の思うつぼになってしまったら、どうしよう?」
 という思いがあったのだ。
 彼の考えは半分当たっていて、本来であれば、誰かひとりくらいは怪しんでほしいとおもっていたのだった。
 だが、それは伏線としての考えであって、本筋は、
「誰にも分からないところで、株価が動いている」
 と、いう状態にするのがベストだったのだ。
 誰かが気づくとすれば、絶妙のタイミングでなければいけない。
 そのことを誰が分かるというのだろう? 株価の専門家の人たち、誰ひとりとして、おかしな状況に気づかなかったというのも、実におかしなもので、裏で操っていた連中が、かなり以前から入園に組み立てた計画に違いなかった。
「株価なんて、いくらでもどうにでもなるというものさ」
 と考えていたのかどうかまでは分からないが、少なくとも、
「今回の計画は、もしどこかで露呈したとしても、最初に株価が下落した時点で、もう取り返しがつかないんだ」
 と考えていた。
 それが影のフィクサーであり、本当のプロだといってもいいのだろう。
 株価が上昇したことで、政府の任期は上昇した。最近また政府が倒れそうになっていたので、この上昇で何とか延命できたといってもいいかも知れない。
 そもそも、この政府は、定期的に政府の倒壊を示す支持率ラインぎりぎりまで行くので、ほとんどの人は、
「またか」
 という程度で、心配も何もしていない。
 ただ、それでも、オオカミ少年のような感覚に陥ることで、
「油断はできない」
 と考える専門家もいた。
 この専門家は、心配性ではあるが、あまりまわりから嫌われることはない。
「こういう人が一人でもいてくれる方が、皆油断しきってしまった時の抑えになる」
 という、ストッパーのような役目を負っていたのだ。
 だが、最近では、この人がいるおかげで、却って危ないかも知れない。この人自身がオオカミ少年になりかねないとは言えないからだ。
 だが、今回は、最初に抑えとしての機能を果たしていたが、途中から、
「今回は大丈夫だ」
 と言って、今までとは違った反応をしたのだ。
「いつも慎重な、あの人が、今回は太鼓判を押すなんて」
 と、投資家は皆、不安に感じていた。
 それまでは、慎重派がいても、お構いなしに、株価は上がり続けたが、今回は、ストッパーである専門家が、逆の意味でのストッパーになり、株価の上昇が、早い段階で横ばいになったのだった。