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早朝と孤独

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 当時のトルコ風呂は、今のように、大衆店、激安店などのお店があるわけではなく、マンガにも、料金表が描かれていたが、百分で、総額で六万円などと言った決して安くはない値段であった。
 普通なら、
「ボーナスが入ったら」
 というのが、普通だったのではないだろうか。
 当時はまだ昭和の時代、バブルも弾けるどころか、これから、どんどんという景気の上り調子の時代。今と比較しても、全然景気のよかった時代だっただけに、そんな人たちが、
「ボーナスが入ったら」
 と言っているくらいなので、一般市民からすれば、風俗というのは、かなり敷居が高かったのだろう。
 それは金銭的にというよりも、どうしても、まだまだ、
「いかがわしい」
 というイメージが強く、当時は、まだ市民権もあるわけではなかった。
 これも、マンガに乗っていたことなのだが、当時の風俗街というと、通りに呼び込みの人がたくさんいて、
「おにいさん、三十分、〇〇ポッキリでっせ」
 と言っては呼び込んでいるというそんな時代だった。
 しかも、呼び込まれて中に入ると、暗い部屋に、テーブルとソファーがあり、ソファーに座って待っていると、女の子(いや、おばさん)がやってきて、ズボンの上から、足を触ったりしてくる。
「おビールでいいかしら?」
 と言いながら、ビールを注文し、
「私もいいかしら?」
 と言って、もう一本注文する。
「手なら、これだけ、口なら、これだけ」
 と売って、指で示している。
 このあたりをウロウロしている男なので、意味は分かっているので、その値段を高いと思うのだが、ここまで来て、何もしないというのも、我慢の限界がある、そうなると、そのおばさんのテクニック(?)いや、強引なしごきによって、まったく気持ちのよくない状態で、放出させられる。身体は強引な状態なので、感覚がマヒしているようだ。
 そして、スッキリもしていないのに、
「お会計は、三万五千円です」
 などと、法外な値段を吹っかけてくる。
 最初の触れ込みは、三十分で、請求額のゼロが一つなかったはずだった。
 ここで、文句をいうと、裏から用心棒というのか、チンピラが数人出てきて、裏に連れ込まれ、ゴミ箱のあたりで、ぼこぼこにされ、強引に財布からお金を抜かれて、そこにそのまま放り出されるというのが、お決まりだろう。
「ぼったくり」
 と言われるもので、
 それこそ、
「ボロい商売」
 というものだ。
 今ではまだ存在しているのか、あるとしても、ここまでひどい商売ではないのだろうが、いわゆる、
「ピンサロ」
 と呼ばれるお店だった。
 マンガでもしっかり描かれていたことで、中学生だった一人の少年には、かなりの衝撃だったという記憶があった。
 今では、そのようなお店はほとんどないだろう。
 風俗営業法も厳しくなってきたのだが、それでも、当時のピンサロのような店はいつ頃まであっただろうか? 今でもあるかも知れないが、少なくとも呼び込みによる、あのようなぼったくりはほとんどないに違いない。
 それだけ、当時は風俗街というと、トルコ風呂から変わったソープランド、そして、男性クリニック、ファッションヘルスと言った、
「本番なし」
 の風俗があったりした。
 今でも、継続しているが、若干彩が変わってきているかも知れない。
 ソープランドも昔のように高級店ばかりで、敷居が高いというような店は少なくなってきた。
 ほとんどが、大衆店だったり、格安店などが主流になってきていて、総額、五万円もいかないところが増えてきている。
 特に最近は、昔との一番の違いは、
「お店にそれぞれ、コンセプトがしっかりと出来上がっている」
 ということである。
 これだけ、大衆店、格安店が増えてくると、何らかの差別化を図らなければいけない。
 料金や割引で差別化を図るとしても、経営との問題を考えると、なかなか難しい。
 そこで考えられたのが、
「コンセプトの確立」
 というものである。
 それぞれにコンセプトが違えば、客層の差別化も図ることができる。
 たとえば、
「コスプレができるお店」
「マット専門店」
「恋人気分を味わせるお店」
 などと、それぞれのコンセプトに合わせた趣向を店側が示せば、それぞれに趣向を持った客が行く店はある程度限られてくる。
 そうなると、値段的に変わらなくとも、コンセプトが自分にあったお店であれば、通いたくなるというものだ。
 SMがしたければ、SMクラブにいけばいいのだろうが、そこにソープがコラボしたり、マッサージなど、リラクゼーションやアロマテラピーとコラボするお店も出てきているくらいだ。
「一粒で二度おいしい」
 と、前述とは違う意味での、さらにリアルな感覚になっている言葉であった、
 さらに最近では、昔はなかったお店も出てきている。
 それは、
「早朝サービス」
 だった。
 早朝サービスというのは、実は結構メリットが客側にはあるもので、店側としても、その時間帯から稼げるというのは、いいことなのだ。
 早朝ソープがいつから始まったのかは分からないが、店舗型の風俗営業には時間が決まっていて、朝の六時から、夜の0時までというのが、風俗営業法で決められている営業時間である。
 さすがに夕方からの時間よりも、客は少ないが、それでも、真昼間とあまり変わらないくらいなのかも知れない。
 サラリーマンの中には、九時から出勤の人は、朝出勤前に、ソープに行き、その足で会社に行くという人も少なくないだろう。
 時間的にも、ちょうどいいではないだろうか。
 ただ、問題は早朝六時から入ろうと思うと、
「果たして交通機関が動いているか?」
 という問題があるが、マイカー通勤であれば、朝のラッシュ前に都会まで出てこれるので、却ってメリットと言ってもいいかも知れない。
 そんな早朝を狙っていく客は、店に入る時など、変な目で見られることもないので、気軽に行けるというものだ。
 昔の六時といえば、朝、店の前を従業員が掃除をしているのが見られるくらいで、まったくゴーストタウンだった。そういう意味では、六時からの営業はある意味、健全なのかも知れない。
 早朝ソープにあるメリットとして少し列挙してみよう。
「予約がスムーズ」
 というところがある。
 そもそも、早朝には、客が少なく、対象の女の子も少ないが、ほぼ、バッティングすることはないだろう。
「待ち時間が少ない」
 というのがあるが、これは、最初からのお客さんなので、女の子も、六時を目指して準備をしているので、前の人がなどという問題もなく、ほとんど待たされることもない。
「口明けができる」
 つまり、最初だから、誰とも接客していない女の子と相手ができるというところのメリットである。
「疲れていない」
 当然最初なので、若干眠いかも知れないが、まったりできると思えば許容藩にであろう。自分だって眠たいのだろうから、ちょうどいいかも知れない
「いつも同じ子になる場合もあるが、すぐに仲良くなれる」
 ということもあるだろう。
 ただ、デメリットもないわけではない。それでも、メリットに比べれば、許容範囲だと思えるのは、自分だけだろうか?
「高級店のようなサービスは受ければ位」
作品名:早朝と孤独 作家名:森本晃次