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奴隷世界の神々

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 これは、自由競争を否定し、貧富の差をなくすのが目的であるが、とにかく国家による統制がすべてであり、国家の拘束力は、絶対なのだ。
 そのため、政府には、独裁政権が生まれることが多くなってくる。
 これは独裁政権にはありがちなことなのだが、政権を握ってしまうと、それを失うのを恐れて、強権政治を行うようになってしまう。
 それは、内部的には、何とか政権維持はできるかも知れないが、民主主義国家にとっては、目障りで仕方がない。
「民主主義と社会主義のどちらがいいのか?」
 という答えはハッキリとしないが、実際に今の世界情勢としては、第二次世界大戦後に、あれだけ世界地図上にあった社会主義国は、すでに数か国しかなく、盟主と言われた国家もすでになくなっているのである。
 それを思うと、
「社会主義というのは、長続きはしない」
 と言えるだろう。
 ひょっとすると、将来において、
「ネオ社会主義」
 などという態勢が生まれるかも知れない。
 過去の社会主義から失敗を学び、民主主義の欠点を今度こそ凌駕するような体制になるであろうが、果たして、元々社会主義を継承しているのであれば、本当に長続きするであろうか?
 それを思うと、どのような国家になるかということは分からない、
 国家というものは、本当は封建主義のように、主君と配下が、双方向の関係になっていることが理想なのではないだろうか? 今の世界の会社というのもそうではないか。ただ、目立たないまでも、どんな国家体制であっても、主君と配下が存在すれば、そこに生まれるのは、
「双方向の関係」
 なのではないだろうか?
 それを分かっていないと、配下のストレスが爆発し、クーデターが起こる。それを起こさせないようにするために、君主は、治安を守るためと称して、国民を締め付けようとする。
 それが結果として、
「負のスパイラル」
 を形成してしまい、国家が永遠でないということを証明しているのだろう。
 今までの歴史で、滅亡しないまま続いている国がどれだけあるだろう。
 日本でも、江戸幕府の二百六十年くらいだろうが、そもそも、その奥には、万世一系の皇族支配がある。
 それを考えると、日本という国が、いかに例外的な国であり、国民感情も他とは違っているかということがよく分かる。
 だから、
「神風特攻隊」
 であったり、
「戦陣訓」
 に基づいた、玉砕というものが考えられることになるのだ。
「国民がたった一人になろうとも、戦い続ける」
 という、信じられないようなことであっても、大日本帝国での国民であれば、ありえることに違いない。
 封建制度のあと、諸外国から侵略されないようにするため、富国強兵策をとった日本は、中央集権を勧め、万世一系の天皇を神と崇めて、その実は、政府の要人たちが、日本を動かしていたのである。
 安全保障の問題から、軍部が台頭してきたが、それもm憲法で決まっている
「天皇の統帥権」
 というものが、大きかった。
「日本の軍部は、天皇直轄による組織であり、政府を介していない」
 ということで、政府、首相であっても、軍の作戦に口を出すことはできないし、大東亜戦争中には、政府の人間に、軍部の作戦が知られることはなかった。
 なぜなら、外交の手段として使われては困るからだ。
 あくまでも、外交は外交、軍部の作戦は作戦なのだ。いくら外交がうまくいきそうだとしても、軍部の準備を妨げることはできない。ある程度まで準備ができてしまうと、いくら外交で戦争回避がうまくいったとしても、下手をすれば、
「軍隊の士気に影響する」
 ということで、強硬に攻撃に入るかも知れない。
 それが、大日本帝国の限界でもあったのではないだろうか。
 統帥権のしがらみで、政府は軍部に口を出せない。だから、軍部は秘密主義に走り、ミッドウェイの敗戦をひた隠しに隠したため、生存者を、離島で隔離したりまでしていたのだ。
 つまり、軍部や政府などの支配階が、自分たちの都合のいいように情報を操作したり、隠蔽に走ったりすれば、国家は終わりだということだ。
 そういう意味で、パンデミックが起こった時のソーリだった男が、数々の自分にかかわる汚職事件を隠ぺいしたり、さらには、そんな自分の有利に動いてくれる検察のお偉いさんを定年退職させないようにしようと、自分の都合で、法律を変えようとまでした男だった。
 汚職事件の際も、
「もし、私がかかわっていれば、首相どころか、国会議員も辞職します」
 と、国会でぬけぬけと言っていたくせに、結局、その男は、歴代一位の首相在籍年数を誇ったのだ。
「他に誰もやれる人がいない」
 という消去法でなった首相の座、ただしがみついていただけのことである。
 隠ぺいに、政府内での強硬姿勢、さらには、緊急事態においての、すべった政策の滑稽さを考えると、
「ソーリなんて、誰がやっても同じだ」
 と言えるのではないだろうか?
 そういえば、ちょうどその頃、ネットで、皮肉を込めて、ソーリの写真を切る抜いて、それを募集高校のようにして、
「次期首相募集」
 という見出しの後ろに、応募条件がいくつか書かれていた。
「国会に出席し、ただ原稿を読むだけの簡単なお仕事です」
「自分で意見を述べなくても、原稿さえ読めるだけの感じの読解力さえあれば、あなたにもできます。それで、月収百万以上」
「失敗すれば、部下に責任を押し付けて。自分は黙っていればいい職業です」
 などと、完全に、そのソーリをディスっていたのだ。
 さらに、
「自分を守るためなら、法律を変えることもできます。それがどーりという職業です」
 と書かれていた。
 パンデミックの最中に、国民の注意を引いて、
「首相は、俺たちのために頑張ってくれているんだ」
 などと思ってもらいたかったのか。
 それを思うと、
「そんなソーリだから、諸外国から舐められるんだ」
 と、誰もが感じただろう。
 かといって。代わりはいない。どうすればいいのかと思っていると、首相としての通算人気が歴代一位になったとたんに、
「身体が悪くなり。病院に行くと、ドクターストップがかかった」
 と言って、逃げ出したのだ。
 明らかに、時期的に考えれば、理由は病気などではない。
 なぜなら、その男は、過去にも一度首相をしていて、その時も都合が悪くなると、
「持病が悪化した:
 などといって、病院に逃げ込んだことがあった。
 前科一犯の、確信犯なのである。
 国民からみれば、大した男ではないように見えるのだが、政党の中では他に代わりがいないほどの大物である。ただ、日本の場合は、
「世襲の政治家」
 というものが多く、そのほとんどは、父親の地盤を引き継ぐ形で、
「裸一貫から」
 というようなことはないのだ。
 つまり、最初から土台があって、それを継続させるだけでいいのだ。
 ただ、逆にいえば、自分という人間を支持してくれているわけではなく、
「父親がよくしてくれたので、息子にも票を入れておけば、今までどおり、よくしてくれる」
 という考え方である。
 そんな政治家が政権を握っている国家が日本なのだ。最終的に、
「選挙は消去法でしかない」
 と言われるゆえんなのであろう。
 そんな、
作品名:奴隷世界の神々 作家名:森本晃次