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奴隷世界の神々

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 正直、
「昔のままでいいのでは?」
 と思う人も少なくないだろう。
 男女で統一すると、それこそ、就職などで、男女のどっちが必要なのか、曖昧で分からない。年齢表記と同じで、募集性別も書いてはいけないのだ。それを思うと、ややこしくて仕方がない。
 また、コンプライアンスの問題から、
「ハラスメント」
 というのが、言われるようになり、上司が部下に言った言葉が、
「セクハラだ」
「パワハラだ」
 と言われるのもどうであろうか?
 そこまでの問題でもないものが大げさになるだけだ。そうなると、今までの復讐を企てる女性も出てくるかも知れない。
 昔のことを持ち出して、それを復讐のネタにして、上司を陥れようという、過剰防衛ともいえるようなことが行われるかも知れない。
 確かに昔のように、男だから許されるなどというのは、いけないことだが、今のように男女平等ということをかさに着て、
「今こそ、昔の恨みを」
 などと言って、復讐でもされた日には、目も当てられない。
 そういう意味で、この国における差別の神というものは、差別をする人に対して戒める神というわけでも、差別を受けた人間を救うというものでもない。
 あくまでも、平等という観点が、過剰になり、逆差別にならないということを律する神であった。
「差別の神」
 という言葉を聞いて、閉口した人には、永遠に分からない発想なのかも知れない。
 行き過ぎに制御を掛けるというのも、神としての大切な仕事なのであった。

                 性欲の神

 全能の神の息子が差別に神であるなら、娘はどうなのだろう?
 全能の神には、娘もいたのだ、その娘は、
「性欲の神」
 と呼ばれている。
 そもそも、性欲という言葉はあまりいい使い方をされているわけではない。コンプライアンスの問題などもあって、
「男性の性欲が、性犯罪を招く」
 と言われていて、性欲の強さは、ロクな意味にとられない。
 しかし、最近では、
「草食男子」
 などと言われて、男性が性欲を持たないことが多くなった。
 それは、きっと道徳教育などで、
「性欲というのは、性犯罪に直接結びつく」
 などと言われて、男性が尻込みしてしまい、自分から女性に行けなくなった。
 女性の側としては、せっかく、男性が来るのを待っているのに、全然見向きもしないので、逆に女性からアプローチをするようになってきた。
 しかし、男性側の防御本能はすごいもので、女性が寄ってくると、反射的に逃げ腰になってしまう。
 もちろん、性欲絶倫の男もいる。そんな男は、昔からいるように犯罪に走ってしまうのだ。
 女性が変に、自分たちの今まで弱かった立場を、急に強くしてしまおうと、男女平等を叫ぶようになってから、このような弊害が出てきたのだ。
 昔からのワルはそのままのさばるが、せっかく、正常だった男性が、今度は女性離れを起こし、女性を怖いと思うようになる。
「下手に近づいたら、痴漢呼ばわりされたり、変質者扱いにされてしまう。今は、男女同権ということで、女性が、被害者面すれば、男性が圧倒的に不利だ。コンプライアンスの問題にしてもそうであり、女性がちょっとしたことでも大げさに叫ぶと、怖くて、上司も、女子社員に何も頼めなくなってしまう。
 性欲に限らず、ほとんどの男性が女性恐怖症になると、性欲など湧いてくるはずもない。
 しかも、不倫しているわけでもないのに、疑われたりなどすると、奥さんに対して、
「なんとか疑いを晴らそう」
 と思うよりも、
「離婚した方がましだ」
 と思うに違いない。
「自分を信用もしてくれず、男は皆浮気をするものだ」
 などと思われているとすれば、離婚した方がいいに決まっている。
「だったら、何のために結婚したというのか?」
 そう考えると、再婚に踏み切ることもできなくなる。
 一回、うまくいかなければ、男性は、
「もういい」
 と思ってあきらめる。
 女性の側は、生活をしていかなければいけないので、離婚してからしばらくは、恋愛どころではなくなってくるのだろう。
 そうなると、女性も中年くらいに差し掛かると、性欲が増してくると、聞いたことがあった。
 きっと、もう自分と同じくらいの年齢にはうんざりしているだろうから、結婚するわけでなければ、イケメンの若い男を捕まえる方がいいと思うことだろう。
 男の中には、そんな女から、むしり取ろうとする輩がいる。そんな連中からすれば、中年の独身女はカモではないだろうか?
「まるで、ホストに狂う女」
 を見ているようだ。
 このあたりの一番の原因が、男女平等などという発想が巻き起こした歪なのだろうと思うのだが、それだけではない。
 人間が、そもそも持っている、
「性欲」
 というものを、正しく使えないこと、そして、その性欲に対しての偏見の目が、世の中を狂わせてきたのだろう。
 さらに、性欲が薄れていったことで、問題になっているのが、
「少子高齢化問題」
 である。
 世間では、結婚しない人が増えた。結婚しても、三組に一組は離婚するという世の中。
 さらには、せっかく結婚したのに、子供を作らない夫婦が増えている。それだけ、子供を作っても、育てていけない状態なのだ。
 日本では、ほとんどの夫婦が共稼ぎをしている。共稼ぎをしないと生活していけないのだ。
 そうなると、子供を作るとどうなるか? 子供はどこかに預けなければいけない。
 昔のように、核家族ではないので、祖父母が見てくれるというわけにはいかない。そうなると、保育園などの施設に預けることになるのだろうが、保育園の数が絶対的に少なく、保母さんもほとんどいない。そうなると、預ける先がなく、
「待機児童」
 などという問題が露呈してしまうのだ。
 そうなると、無認可の保育園が増えたり、数十人の子供を、一人、二人の保母さんで管しなければいけなくなり、事故が発生したり、犠牲をこうむるのは、子供たちである。
 そうなると、
「子供は作らない」
「結婚もしない」
 ということになると、どんどん出生数は現象していく。
 しかし、今度は高齢者が元気になることで、少ない労働力で、老人たちを支えなければいけなくなり、経済の活性化も行き詰ってしまう。
 これが、
「少子高齢化」
 という問題なのだ。
 そんなことが問題になってくると、精神的に、
「子供がいらないのであれば、セックスも必要ないのではないか?」
 ということを考え始めると、肉体も、性を求めなくなってくる。
 そもそも、性欲というのは、種の保存という遺伝子の宿命によって受け継がれてきたものだろうから、その種の保存という問題が、目の前の生活とを比較した時、どっちが大切かと言われれば、それは当然、目の前の生活であろう。
 下手に性欲などを持っていると、悶々とした気持ちが、先に進もうという気持ちにしてくれることもなく、堂々巡りを繰り返してしまう。
 女性を好きになっても、ただ、遊ぶだけの性欲であれば、今の若い連中は持ちあわせていない。
作品名:奴隷世界の神々 作家名:森本晃次