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予知能力としての螺旋階段

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 どちらから先に距離を取ってしまったとしても、そこに、大きな溝があることには変わりなく、逆に一緒に勉強をしていたとしても、結局レベルの違いなどもあり、勉強する時は自分ひとりなのだ。
 何と言っても、人と勉強するのは、孤独ではないと思うからであり、実際に勉強を一緒にしたとしても、そこで出てくるのは、
「一緒に勉強していても、孤独感が否めない」
 という思いであり、勉強が一段落して、本来であれば感じることができるはずの、満足感や達成感を感じることができないという、何ともやるせない気持ちではないだろうか。
 そんな時に感じるのが、
「賢者モード」
 というものであった。
 高校生くらいというとm思春期真っただ中、えっちな話にも興味深々で、身体も反応したしまう時期だ。男も女も、そんなムラムラした思いを、自慰行為で満たそうとするのではないだろうか。
 だが、自慰行為というのは、絶頂を迎えると、あとからやってくるのは、脱力感からくる憔悴感。そして、罪悪感である。そんな思いが襲ってくると、まるで仙人が悟りを開いた時のような、無の気持ちが溢れているように見える光景であった。
 それを、
「賢者モード」
 というのだが、これは、男子であっても、女性であっても、それぞれにあることだが、身体の作り、精神状態の持ち方、さらに成長の度合いの近いに、個人差があることから、人それぞれであるのは、想像もつくだろう。
 男女の違いは歴然としていて、何度でも絶頂を迎えることができる女性と、一度絶頂を迎えると、元の状態に戻るまでに、かなりの時間を要してしまう男性とでは、そもそも、身体の作りからして違っているに違いない。
 本来であれば、達成感や満足感に浸りたいのに、そんな、
「賢者モード」
 を、友達との勉強で感じることになるなど、思ってもみなかった。
 それでも、苛まれる孤独感から解放されたい一心で、また友達と勉強するということになるのだが、それこそが、
「負のスパイラル」
 というものではないだろうか。
 そんな賢者モードを知っていることから、大学に入ると、
「できた友達とは、なるべくトラブルは起こさないにしよう」
 と、ちひろは思っていた。
 そのため、最初から友達を作るということにも、慎重だったので、できた友達というのは、自分から作ったものではなく、向こうから寄ってきた人が多かったのだ。
 そういう意味では、
「押し付けられた友達関係だ」
 と言ってもいいかも知れない。
 かえでという女の子も確かにその類ではあったが、趣味が合うことで、他の人たちとは一線を画していた。
「ちひろとは、もし、今のタイミングで友達にならなかったとしても、いずれどこかで友達になっていたような気がするわ」
 という、ちひろにとっては、心に刺さるようなセリフを、さりげなく口から発することができるかえでに対して、ちひろは敬意を表していた。
 ちひろは、自分よりも優れているところだと思うことを持っている人に対して、大いなる感情を抱くことがあった。そういう意味で、かえでという女の子は、
「私のツボをしっかりつかんでいる」
 と言える友達ではないかと思うのだった。
 だから、かえでに彼氏ができたと聞いた時、一瞬、
「取られるような気がする」
 という気がして、嫌な気分になったのだが、その気持ちが顔に出ていたのかも知れない。
 その時、かえでの顔がそれまで見たこともないような怪訝な表情になったからだ。ただ、それも、
「こちらが最初にしちゃったからな」
 と感じたことで、すぐに表情を戻すことができた。
 そう思っていると、一瞬怪訝な顔になった、かえでの表情も、いつものような天真爛漫な雰囲気に戻ったのだ。
「やっぱり、以心伝心なところがあるのかな?」
 と感じたが、それも、かえでという情勢が持ってうまれた天性の勘のようなものではないかと思うと、
「やはり、かえでには適わない」
 と感じさせられたのだった。
 彼との関係は、表から見ている分には、別に問題なく進んでいるように見えた。ただ、あまりにも、平和に見えることで、かえでが、安心しきっているのか気になっていた。
「かえでは、人を信用しすぎるところがあるから、気を付けた方がいいよ」
 と忠告したことがあったが、それは、表情からも仕草からも溢れ出ている雰囲気が気になったからだ。
「あまり人を信用しすぎてはいけない」
 と、いうことを言われて育ってきたちひろにとって、天真爛漫に見えるかえでの姿は羨ましいと思う反面、見ていてハラハラさせられるところがあるので、不安の方が強かった。
 自分がかえでのようになろうとしてもなれないことは分かっているのに、それでも必要以上に羨ましく感じないのは、それを含めても、不安に感じる方が大きいからだ。
「もし、かえでが誰かに騙されるようなことになれば、私はどんな感情を抱くだろうか?」
 と、ちひろは感じた。
「私のことだから、かえでと一緒に怒りに震えるかも知れないが、当の本人である、かえでの方が、先に忘れてしまうかも知れない。喉元過ぎれば熱さも忘れるという言葉は、まさにかえでのためにあるような気がする」
 と感じたからだ。
 だが、かえでと付き合っていた彼が、今は露骨にかえでの友達を物色し始めたということを、かえでは自覚しているのだろうか?
 ちひろに対しても、モーションをかけてきた。ちひろはさすがに親友の彼に手を出すようなことはできないという自覚が最初からあったので相手にはしていなかった。
「まさか、この男がここまで露骨にひどい男だったなんて、思ってもみなかった」
 と感じると、
「かえでは、一体どう思っているのだろう?」
 と考えるようになった。
 かえでは相変わらずであるが、その心境は、穏やかではないはずだ。
 ちひろのほうでは 、なるべく冷静に考えているようだが、それでも相手がかえでであれば、そんな慎重さが知らず知らずのうちに、消えていくのを感じていた。
 では、かえでの砲ではどうなのであろうか?
 ちひろと最初に知り合った時、ちひろの方では運命のようなものを感じたようだが、かえではそこまでの感覚はなかった。むしろ冷静に接していたつもりだったが、そのことをかえで自身は自覚していた。
 そもそも、かえでが天真爛漫になったのは、高校時代までは、ちひろと同じような慎重派の女の子だったのだが、友達と一緒にいるうちに、自分だけが一人まわりから取り残されていることに気づいたのだ。
 かといって、自分から話しかける勇気もない。
 そんな時、一人の女の子が、かえでに、
「相談があるんだけど」
 ということで、相談してきたことがあった。
 それは、彼氏のことで、自分には彼氏がいないので、
「私、男性とお付き合いしたことがないんだけど、それでもいいの?」
 と正直に告げると、その子は、