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相対の羅列

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 お腹が減ったから食事をするにも、時間とお金が必要だ。そのためには、お金を儲けなければいけない。仕事をしたりして、その対価を受け取る必要がある。性欲にしてもそうだ。相手が好きだからといって、それだけではダメだ。相手に好かれなければいけない。
 つまりは、欲求を満たすためには、必ず何かの達成が必要だということである。
「達成と、欲求」
 これは相対したものではあるが、どちらかで見ても結びついてくる、
「双方向」
 のものだと言えるのではないだろうか。
 ただ、そこに嫉妬心というものが曲者であり、
「達成と欲求」
 の間に入り込んでくると、邪念が入ってくる。
 何か自分の目標を達成させることによって、初めて欲求を満たすことのできる権利を得るのである。それが一定額のお金を儲けることであったり、対価に見合う仕事であったりする。
 それらを達成することで、欲求を満たすだけの金銭や、力を得ることができるのだが、何かを達成させるためには、自分の普段表に出ている意識や力だけではなかなか敵わないことが多い。
 そういう意味で、欲求というものが力になることが往々にしてあるというものだ。
「おいしいものが食べたいから、そのために、お金を儲ける」
 あるいは、
「出世して、会社で自分の支配欲を満たさせるために、昇進試験に合格するための勉強を頑張る」
 などと言った、ことにより、目には見えない潜在した力が生まれてくるのである。
 だが、欲求を満たすということは、達成のための力になるということを忘れてしまうと、ついつい欲求が一人歩きしてしまい、欲求がまるで、人を羨む感情に結びつき、それが嫉妬になってしまうのではないかと思わせるのであった。
 嫉妬と、欲求というのは、微妙に似てはいるが、同じものではない。
 しかし、それぞれに、いい面も持っていれば悪い面もある。悪い面の方がどうしても目立ってしまうので、あまりよくは言われないが、それは、前述のように、悪い方の感情が、犯罪や事件に結びついてきてしまうという感情が生まれるからである。
 それを思うと、
「人間の感情は、同じ人間であっても、勘違いさせることが大いにあり、それが犯罪や事件に結びつくことになるのではないか」
 と感じられた。
 それだけ一人一人の考えは複雑であって、脆弱なところがある。高等動物と言われる人間であるが、何が一体高等なのか? 一体高等というのは、何を指して高等というのか? 思わす考えさせられるものである。
 達成や欲求、そして嫉妬などという人間の感情であったり感覚というものは、微妙に密接に結びついていて、相対していると言ってもいいだろう。
 しかし、それらのことを結び付けることで、抑制しなければいけないものもある。それらをしっかりコントロールできなければ、そこにルールというものは生まれず、人間が生活していく上で必要な、
「秩序」
 というものが発生しなくなる。
 秩序がなければ、皆が勝手に思い思いのことを始めてしまい、統制が取れなくなってしまう。
 そうなってしまうと、
「力の強い者」
 が勝手に頂点となり、本来、それぞれ相対するものがキチンと結びついていなければ、皆が生きていくために必要なものを得ることができなくなってしまう。
 人間が生きていくために必要なものは、食料であったり、住むところ、衣服などといった、いわゆる、
「衣食住」
 などを中心に、皆が働くことで手に入れるものである。
 昔であれば、奴隷などという制度があり、支配階級が、好き勝手にふるまうことができたが、奴隷であっても、最低限の衣食住がなければ、何もできない。
 中世になると、
「封建制度」
 というものが成立し、この封建制度の成り立ちというのが、主従関係にある立場のものが、それぞれに役目を持つことで成立する。相対的な需給によるものが、存在し、それがそのまま主従関係として結びつくことになる。
 主人は、従者に向かって、生きていく上で必要な食料を作るための土地を与える。従者は主人に向かって、主人が困った時、たとえば、隣国との争いになった時、兵役として、主人に尽くす、あるいは、年貢として、与えられた土地から生産された穀物の一定量を、差し出すという関係である。
 いわゆる、領主による。
「領有統治権」
 と、臣従による、
「貢納と軍事奉仕」
 という形で、双方に義務付けられる形である。
 これは一種の契約のようなもので、その担保となるのが、土地と考えればいいであろう。基本的にこれらの封建制度は、世襲によって受け継がれ、封建制では、
「職業選択の自由はない」
 と言ってもいいだろう。
 そういう意味で、封建制度の一番の欠点は、
「自由がない」
 ということであり、それは、
「絶対的な中央集権ではない」
 ということを示している。
 幕末から明治維新にかけて、封建制度が崩壊し、急速な中央集権が確立されていったが、それは、それまで確率されてきた、
「鎖国制度」
 が諸外国に脅かされ、隣国である清国のような、
「植民地にされないようにするにはどうすればいいか?」
 ということが問題になったのだ。
 そのため、
「日本国の中で、内乱が続いていたりすれば、諸外国から簡単に植民地にされてしまう」
 という懸念から考えられたのが、日本特有で、万世一系の皇祖のある、
「天皇制による、強力な中央集権国家の設立」
 ということであった。
 だから、日本における明治維新のスローガンは、
「殖産興業と富国強兵」
 であった。
 産業を奨励し、国を豊かにすること、そして、国防を整えることで、侵略を防ぐという考え方である。
「力の強いものが社会に君臨し、その力を背景に国家運営をしていく」
 という考えが一つの秩序として生まれてきた。
 それは、それぞれに立ち振る舞っていては、秩序が守れないということと、個々の都合を考えていれば、外敵から身を守ることができないということであり、そもそもの明治維新の目的である、
「自由を求めることと、外敵からの侵略を防ぐ」
 という意味で、秩序を守るための強い力が必要なのだ。
 そのためには、外敵とみなしている相手を勉強しなければいけない。
 敵を、ただ仇敵だという意識で見るのではなく、
「見習うべきところは、しっかりと見習う」
 ということが必要になってくるのだ。
 そういう意味で、外国がどのような統治をおこなっているかということが研究され、民主主義というものが考えられるようになった。
「議会政治」
 であったり、
「立憲君主」
 のような、法治国家を作る必要があった。
 そのためには、憲法を制定し、国会や議会を作るために尽力を惜しまないことが大切だったのだ。
「外に学ぶこと」
 という考えが柔軟であったからこそ、その後、日本は世界有数の先進国に上りつめ、軍事国家としても、強力な軍隊を持つことができた。
 歴史の歯車がうまく絡み合わなかったこともあって、いずれ日本は軍国主義化していき、第二次世界大戦においては、大東亜戦争に突入せざるおえないという、悲劇的な歴史に突入しなければならなかったのは、残念なことであった。
作品名:相対の羅列 作家名:森本晃次