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少年の覚醒

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 ということで、この考えもそれ以降反対する人はいなかった。
 活動範囲も基本的には学校の内部で行う。練習試合などを行う場合は、必ず学校の許可と、保護者の許可を必要とする。満場一致でなければ、学校外での活動は禁止だということになった。
 つまりは、練習のためのランニングだと言って、学校の外で行うことも基本的には禁止だということだ。
 また、部活は、学校行事に限らず、家庭の事情であっても、そちらを優先させることというのが、決まりとなった、
 家族で食事ということであっても、家族が賛成しなければ、部活を優先することはできない。家庭の事情を優先させるのも、保護者との間でのもめた時、決めたものだった。
 したがって、部活を定期的に開催する場合は、基本的に、毎回、保護者の許可がいるということだ。考えてみればまだ小学生。中学生であっても高校生であっても、未成年である限り、必ず何かをする時は、法定代理人である家族の同意が必要なのだ。
 しかも、小学生の場合は、同意だけではダメで、代理してもらう必要があるものが相当数あると言ってもいいだろう。
 小学校での部活というのは、最初に考えていたよりも、想像以上に難しいことのようだ。
 ここまで保護者に歩み寄ってしまうと、小学生というのは、学校とすれば、非常に扱いにくいものだということになってくる。
 必ず、バックには保護者がいて、保護者の立場はかなり重たい。
 法定代理人である以上、それは当たり前のことであり、学校はむやみに、それらへの強制力はないものだった。
 学校で授業をしている時は、先生は親よりも立場的には強いのだが、こと部活となると、学校が行わなければいけないことではないので、それを行おうとすると、当然保護者や、他の利害関係者が問題になってくる。
 生徒と先生の関係が、学校ではどのようになっているのか、保護者も分かっていない。保護者の中には、
「うちの子は、学校側に洗脳されやしないかしら?」
 と思っている保護者もいるかも知れない。
 小学生の親というと、まだまだ過保護であり、中には、
「子供は親のいうことを聞くのが当たり前」
 と平然と考えている人もいるだろう。
 学校が生徒を洗脳するというのは、実に行き過ぎた考えであるが、生徒の親とすれば、学校に子供を取られるのではないと思うと、気が気ではないだろう。
 特に、この学校の高学年の先生は、まだ若い人が多く、ほとんどの先生がまだ未婚であった。
 親の方からすれば、
「子供もいないのに、いくら学校とはいえ、親の代わりなんか、できるわけはない」
 と思っていることだろう。
 そんな保護者に対して、先生たちはどうすることもできない。抗うこともできないわけなので、先生たちに文句をつけられると、どうしようもなくなってしまうのだ。
 教頭先生に頼るしかないというのが、実情である。
 教頭先生は、年齢としては、四十歳代後半くらいであろうか。家に帰れば、中学生の息子が一人と、小学六年生の娘が一人いる。勉強に関しては何も言わないが、勉強以外のことには、どうしても口出しをしてしまいたくなる。
 母親が、教頭の奥さんの割には、子供たちを放任主義で育てていて、学校のことは、たまに、
「最近、学校はどう?」
 と聞く程度で、それ以上何も言おうとしない。
 それだけ子供たちを信頼しているのであろうが、今の学校がどのような状態になっているのかということを分かっていないようだった。
 だが、それを母親が知ったからと言ってどうなのだろうか?
 教頭は、なるべく家庭に仕事のことを持ち込みたくはないという信念を持っていた。教頭は自分が子供の頃、父親が仕事のことを家庭に持ち帰ってしまい、しょっちゅう喧嘩をしていて、みっともないと思っているのだから、余計に仕事を家庭に持ち込みたくないという気持ちになるのも、無理もないことであろう。
 その分、教頭は学校内で、改革的なことを行うことが多かった。
 ちょうど、自分が教頭をしている小学校は、自分の前任者であった前の教頭が、教育委員会に引っ張られたことで、教育委員会とのパイプも深かった。
 そのこともあってか、学校側がやりたいと思っていることも、教育委員会側の提案に対して答えるのも、この学校が利用されることも多かった。
 一種のモデル校のようなイメージで、その分、教育委員会から、テスト学校としての協力金ももらえるし、モデル校としては、いい宣伝にもなっている。だから、この小学校がモデル校であるということは、結構な人が知っていたのだ。
 知らなかったのは、この学校に関係はあるが、モデル校としての宣伝にかかわっていない人が多かったのだ。
 この小学校の部活というのは、何も運動系ばかりではない。文科系のサークルのような部活も結構あり、こちらの方が、運動系の部活よりも多いくらいだった。
 小学生で、英会話のサークルがあったり、囲碁将棋と言った、高年齢の人が楽しみがちなことでも、サークルとして存在していた。
 ここは、中学、高校における部活と同じ決め事なのだが、
「部は、部員が五人になった時点で、申請方式で部活として、部室も与えられるが、五人を割り込むと、部としては解散となる」
 ということにしていた。
 五人を割って部から降格しても、
「また募集して五人を超えれば、申請して部に戻ることができる」
 というもので、この時の申請から部活が再開できるまでは、かなり簡易な手続きで行えれることができるのだった。
「どうしても、女性教師は文科系の部活の顧問をしたがるものだけど、スポーツで、女子が分かれていたり、女子が基本の協議には、女性の教師が顧問になるのが基本である」
 という決まりもあった。
 いくら小学生でも、女子の協議を男子がというところに抵抗があるようだ。
 ただ、この規則は学校側から出たものではなく、保護者からの意見だった。
 しかし、それも、保護者の一人が最初に強硬に言い出したもので、保護者側でも、別にかまわないのではないか」
 という意見もあり、この件に関しては、結構もめたようだった。
 そういう意味で、聖羅先生が女子バスケットの顧問になったのも、いいタイミングであり、もし、このまま顧問が保留のままで決まらなければ、当然のことながら、部からの降格ということになってしまっていたことだろう。
 スポーツ系の部活では、小学生の大会も開かれているものもある。
 ただ、なかなか小学校単位で学校側が主催しての部活というのは、なかなかない。
 スポーツサークルの中でも、小学生から入れるところに所属している児童は、スポーツサークルからの参加ということで、参加ができることになっている。
 だが、スポーツサークルへの入部は、お金がかかるものであり、小学生から参加できる児童も限られているのだった。
 女子バスケットボールの小学生の部での参加は、ほとんどすべてと言っていいほど、スポーツサークルからの参加だった。
 スポーツサークルはお金をもらっているだけあって、そのレベルも結構高いところにある。
作品名:少年の覚醒 作家名:森本晃次