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逆さに映る

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「うん、なるほど、そういうことであれば、それなりに説得力があるような気がするね。だけど、両極端になるかも知れない意見を同時に聞いて、ちゃんと自分の中で租借できなければ、どちらかの意見に寄ってしまう可能性もあるよね。それで本当に大丈夫なのだろうか?」
 と考えた。
「お兄ちゃんだって人を好きになれば相談しないと気が済まない性格なんじゃないの? だとすれば、一人でも焚くSなの意見を聞いてみたいと思うのではないかと思うんだけど違うかしら?」
 と言われた。
「確かにそうなんだけど、そのせいで、考えがまとまらないことだって十分にある。それを思うと、人を好きになるのって無理があることなんじゃないだろうか?」
 と、彰浩は言った。
「いちかは、どんな男性が好きなんだい?」
 と彰浩に言われて、
「うーん、これと言って、どんな人が好きっていう感じではないの。でもね、まわりの女の子がキャーキャー言っているような、男性アイドルには興味がないの。まだ声変わりもしていないような子をどうして推しとして、追いかけまわさなければいけないのか、理解に苦しむわ」
 といちかは言った。
「それは俺も同じことを感じるんだ。でも。女性は男性に比べて発育が早いって言われているだろう? だから、同い年くらいの男の子を頼りなく思っているから、逆に自分が主導権を握れるのではないかって思うんだろうね。男性アイドルの男の子たちというのは、女の子が感じる男の子というラインにちょうど乗っているくらいの子が多いんじゃないかな? そう思うと、アイドル事務所にうまく嵌められてしまっているようで、なんだか、情けなく感じるくらいだね。もっともそれは女性アイドルを追いかけまわすヲタクの連中にも言えることなんだろうけどね」
 と、彰浩は言った。
「そうなのよ。私もそれが何か嫌で、特にアイドルというと、私たちとは違う世界で生きている人というイメージがあるでしょう? それがいいと思っているのに、中には、どこにでもいるような女の子がアイドルだって言っていることもあるけど、それって少数派なのよね? 基本的にはアイドルというと、握手会やコンサートなどで、グッズ販売などで収益を挙げるのが商売なのよね。それを思えば、、写真写りも決してあなどれない。だとすると、どこにでもいるような女の子で、グッズが売れるのかって思うんだけど、どうなのかしらね?」
 といちかは、言った。
「俺はあまりアイドル業界については知らないんだけど、十数年前に出てきたアイドルグループで、今ではどこにでもあるような、楽曲に対しての選抜メンバー制というのがあるよね? あれってどうして選抜メンバー制になったか知ってるかい?」
 と聞かれたいちかは、
「分からないわ」
 というので、
「元々、地下アイドルで数十人のグループだったんだけど、ある時、メジャーデビューした時に、ある歌番組で、今話題のアーチストというっコーナーがあったんだけど、その時に、最初は全員で出たんだけど、どうしても、カメラの問題や会場の広さの問題で、プロデューサーから、人数を絞ってくれと言われたらしいんだ。それで、テレビに出るメンバーを選抜制にすればいいのではないかということを、グループのプロデューサーが言ったところから、今の選抜メンバー制というのが始まったというんだ。今でこそ当たり前のようになってきたけど、せっかくアイドルとして一緒に絵ビューしたのに。テレビに出れるメンバーと出れないメンバーで差が生まれるというのもね」
 と彰浩が言った。
「でも、どうやって選ぶというの?」
 と、いちかに聞かれた彰浩は、
「そこは、先ほど言ったように、握手会の人数だったり、チェキを撮る時の券の売り上げであったり、グッズの販売実績などを考慮にしてではないかな? そのうちに、CDを買ってくれた人に、その中に応募券があって、そこに推しの名前を書いて送ると、それが一票になるというやり方をしていたんだよ。ただ、それをすると、熱狂的なファンは、推しのために、CDをたくさん買って、その応募券に推しの名前を書いて送るという、いわゆる組織票というのもあっただろうね。それでCDが売れたりグッズも売れるのだから、事務所としては、ホクホクだったんじゃないかな? だけど、熱狂的なファンは、それで何百万も使う人が出てきたりして、問題になったりしたこともあっただろうね」
 と、ため息をつきながら彰浩がいうと、いちかは、怒りがこみあげてくるのか、
「何か釈然としないわね、どんなにお金を使っても、アイドルに近づけるわけもないし、熱狂的過ぎると犯罪になったりしないのかしら?」
 といういちかに、
「それはあっただろう。包丁を持ち出して、切りつけたなんて事件もあったりしたしね。それを見たとき、アイドルというのも、命がけなんだなって思ったんだよ」
「本当にそうよね」
 というので、
「ああ、そうさ。だから、今のアイドルにはいろいろなしがらみがあったりするだろう? たとえば、恋愛禁止という制約ね。あれを見た時、アイドルってそんな思いまでしないといけないのかって思ったけど、アイドルになりたいと思うと、覚悟がいるのだということを示しているようで、理解できた気がしたんだよ」
「どういうこと?」
「恋愛禁止というのは、二つの意味があると思うんだ。一つはファンの期待を裏切らないようにするため。何といっても、アイドルはその容姿であったり、パフォーマンスでファンを魅了するものでしょう? だから、ファンになってグッズやCDが売れる。そして、ファンはお金を使うことで、アイドルと繋がっているという妄想を抱かせることが、事務所とアイドルの務めではないだろうか? それなのに、彼氏がいます。などというと、ファンは失望するよね? ファンはファンであって、誰もが平等だと思っていると思うんだ。だからグッズの売り上げ貢献などで自分が他の人よりも勝っているという小さな自己満足を感じることができる。だけど、彼氏がいるなんていうと、ファンは二の次になってしまい。ファンとすれば、裏切られたと思うに決まっているからね。恋愛したいなら、アイドルになりたいなんて思ってはいけないということ。アイドルになるには、捨てなければいけないものもあるということだね」
 と彰浩は言った。
「何か可哀そう」
 と、いちかがいうので、
「そんなことはないさ。もう一つの理由としては、彼女たちを守るということも含まれているからね。裏切られたと思ったファンは、先ほどのナイフを持ち出した事件のようなことが起こらないとも限らない。だから、アイドルというのは、言い方は悪いけど、アイドルという名の商売道具ということになるんだ。事務所は彼女たちを売り出すために、かなりのお金を使っているだろうし、ファンだって、お気に入りにトップをとってほしいという思いから、相当なお金を使うことになる。それを思うと、かわいそうというのは、少し違うような気がするな」
 と彰浩は説明した。
作品名:逆さに映る 作家名:森本晃次