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逆さに映る

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 その場合は、エロを前面に押し出してしまうと、読者の方で飽食状態に陥ってしまい、却って、吐き気を催してしまうのであれば、まったく書いている意味がないと言えるのではないだろうか。
 官能小説一つとっても、シチュエーションはいくつもあり、それがジャンルになったりするのではないだろうか。レンタルショップでのアダルトビデオの設定によるジャンル分けにどれほどたくさんあるか、それを考えると分かってくるというものだ。
 もちろん、その中にはSMというものもある。性格的なものもさることながら、官能小説のSMというのは、プレイが基本である。緊縛やロウソク、ムチなどと言ったプレイで、ご主人様と奴隷という関係は、どちらが男でありどちらが女でもありである。
 しかも、女性同士というのも、そそるものがあるが、さすがに、男性同士というのは、性質的に受け付けないものがあり、想像しただけで、嘔吐を催してきそうであった。
 小説の書き方などというハウツー本であったり、ネット検索などで出てくる。同種の内容の投稿などを見ていると、最初に総論として、全般的な書き方というものがあり、その後で各論として、いくつかのジャンルのそれぞれの書き方というのが書かれていたりするが、一般的なのは、ミステリーやホラー、そして恋愛小説であろうか。そして、それと同じように、官能小説というのもあったりする。それだけ、小説の書き方としては、難しい部類になるのだろうと、彰浩は感じたのだ。
 さすがに官能小説は書いたことがなかったが、他のジャンルの小説を書いている時、数ページにわたって、性的描写を書くことはあった。
 数ページくらいであれば、別に意識することもないだろう。小説を書いていると、
「このあたりで、性的描写を入れたいな」
 と思うような場面を感じたりする。
 これは、小説を書いてきて、自然と感じるようになったからなのか、それとも、
「官能小説を書いてみたい」
 という願望が自分の中にあるからなのかではないかと思っていた。
 しかし、
「別に両方を感じたとしても、それはそれでいいではないか?」
 と思うようになっていて、官能小説を書いてみたいと思う気持ちがある限り、小説はこれ以降の書き続けるという思いを強く感じるようになったのだった。
 大学を卒業する頃には、妹は、十歳になっていた。それまで意識したこともなかったが、すでに、
「大人の女」
 という雰囲気を醸し出していたのだ。
 最初に付き合った女性とは、二年くらいで別れた。最初は、
「二年というのは、早かったのではないか?」
 と思っていたが、時間が経つにつれて、
「自分の性格からすれば、結構続いたうちに入るよな」
 と思ったのだ。
 それは、高校時代までと、卒業して大学生活を送るようになってからの時間の経ち方がまったく違ったからだった。
 高校時代までは、一日一日が結構長い感じがしたのだが、時間が経ってしまうと、結構あっという間に過ぎてしまったという感覚になっていた。
 逆に、高校を卒業してからは、毎日があっという間だったにも関わらず、過ぎてみると、結構時間がかかったと思うのだ。この感覚は子供の頃からあり、過ごしている時間と過ぎ去ってからの時間とでは、感じ方がまるで違うのだった。
 そういう意味で、高校時代の二年間というのは、過ごしている間は二年というのは長く感じられ、過ぎてしまうとあっという間だったと思うのも、当たり前のことではないだろうか。
 初恋は、咲江さんだったと思うので、二年間付き合った相手ではあるが、自分の中で、本当に彼女として意識したのは、最初の半年くらいではなかっただろうか。後の一年半は下手をすると、
「そんなに好きではなかった。惰性で付き合っていると言っても過言ではないだろう」
 と思っていたような気がした。
「好きなところばかりが見えていた最初の半年、それ以降は、嫌いなところばかりが目立ってしまって。好きだったところを忘れてしまうほどであった」
 と感じていると、
「二年間もよく続いたな」
 と感じた。
 それはあくまでも、いいことではなく、惰性で付き合うくらいなら、どこかで別れてしまった方がよかったのではないかと思わせるくらいだったのだ。
 そういう意味では、その時の二年間というのは、自分にとって良かったわけではないと思っている。
 つまりは、二年間というのは、これ以上ないというほどに、中途半端な時間だったのではないかと思うのだった。
 なぜなら、惰性がなければ、まだ好きだった感覚を持ったまま別れられたであろうに、惰性になっている間に見えてくるものは、嫌いなところばかりであった。そうなると、彼女に対しての想い出の多くは、嫌いなところということになり、せっかくいい思い出もあったはずなのに、最終的には悪い思い出しか残らないことになる。
 嫌いになって別れたわけではないのに、嫌いで別れたというような、後味の悪さをかんじさせることに、
「不器用な別れ方だった」
 と言えるのではないだろうか。
 彰浩は、その時の別れ方が衝撃的で、寂しさから、
「新しい彼女がほしい」
 という思いと、別れ方が衝撃的だったことで、
「本当は自然消滅に近い形だったのに、後味の悪さから、衝撃的だと感じたことで、もう新しい彼女がほしいという感覚にならない気がする」
 という思いの両面を持っていた。
 もっとも自分がどう思おうが、知り合うきっかけがなければ、彼女ができるなどというのはありえない。
 きっかけがあって、相手を好きになって、そしてどちらからかアプローチをしないと付き合うことには発展しないのだ。
 いくつもの段階があるのが、恋愛なのだ。お互いに引き合うものがなければ、なかなか付き合うまでに行き着かない。行き着いたとしても、付き合い始める前に、相手から愛想を尽かされるということもあるだろう。
 実際に、大学に入ってアルバイトをした時、お互いに意識しあっていた女の子とデートをするようになったのだが、一回目のデートの後に、
「せっかく、あなたとは、いい関係になれると思ったけど、私の勘違いだったようね」
 と言われ、
「えっ? どうしてそんなことを思ったの?」
 と聞くと、彼女は意外な素振りを見せて、
「あなたは、何も感じないの?」
 とビックリしているではないか。
「うん、なんで、別れ中ればいけないの?」
 と聞くと、
「あなたは、私とのデートの間に、かつての彼女だか何だか知らないけど、他の人と私を比較していたでしょう?」
 というではないか。
「僕は、単純にそう思ったからなんだけど。前の彼女に比べて、君のこういうところがいいというようにいうことで、僕がどれだけ君のことを気にしているかということを分かってくれると思ったんだ」
 というと、
「それがあなたの性格なのよ。相手のことを考えようともせず、自分だけの領域の中に私を押し込んで考えようとする。まるでクモが張り巡らせた巣に餌になる蝶を張り付けて、後はじっくりと食べていくような感じなのよ。想像しただけで、吐き気を催すようなものよね」
 というのだった。
「僕はそんな気持ちはサラサラないんだけど」
作品名:逆さに映る 作家名:森本晃次